かがみの孤城のレビュー・感想・評価
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子供たちだって闘っている
原作未読どころか、予告編以外の予備知識皆無で観賞。
朝イチ上映だったが、観客は小中学生の女の子、もしくはその家族といった感じで、「あ、そういう映画?」と思ってしまった。
結果的には「闘う子供達とそれを見守る大人達」の映画。
大人になって振り返ってみるとあんなに「ちっぽけな事」が、子供達にとっては生死に関わるほどの重要な問題…いや、それこそが「世の中のすべて」であると言ってよかった。
そんな子供たちの苦しみに優しく寄り添い、「我慢しろ」や「とにかく頑張れ」ではない方法で背中を押す、そんな作品だった。
おそらく原恵一監督作品と知らなければ観なかったかもだけど、ファンタジーでありSFっぽくもあり、ミステリ要素があってエンターテインメントとしても楽しめた。
孤城の鎖
原作を読んだときは始めから胸が痛くて辛かったのを思い出しました。娘がいじめにあって学校にいけずにいたときの親の私の姿がそこにあったからです。心に傷を負い悩んでいる娘にどう接していいのか手さぐりの中にいました。映画のお母さんもきっとどうしたらいいのかわからなくてあんな感じになっていたんだろうな。
そして、もっと苦しんでいたその時の娘の声にならない心がそこにあったからです。子どもにも社会があって必死にその中で生きようとしていたのでした。
映画の中の七人も必死に生きていて、大丈夫だよと声をかけてあげたくなりました。
現実的な不登校を扱うストーリーを物語らしくまとめあげているのは作りての側のエゴのようにも感じましたが、けっしてご都合趣味に感じなかったのは七人の状況が丁寧に描かれていたからです。シンプルに救いのある話で良かったと思えたのはさすがだと思います。その点に関しては分厚い重い原作を読んていたことで、映画で描かれきれないディテールをフォローしていたかもしれません。
あれだけのお話を一本の映画にするには取捨選択大変だったと思いますが原作未読の人にも伏線回収含め納得の心に響く良作に仕上がっていたと思います。
見に来て良かった
中学の時に、図書室のおすすめになってた本。
本屋大賞に選ばれた本はどんな感じなのか気になって読み始めた。ページ数は多い本だったが、あの時は夢中になって読み進めたのを今も覚えている。
映画になるとどう表現されるのか、気になって映画館に足を運んだ。自然と涙が出た。声優さんの表現の仕方も素敵だった。ぜひ多くの方に見て欲しい。
こころ
ファンタジー展開と設定の多さに思いやられる冒頭から、ひとつひとつのエピソードを重ねて、登場人物に心が寄せられ、シンプルな謎であるが万華鏡のように奥行きのある話に手繰り寄せられる。個人的には最悪のシチュエーションを想起したところ。それぞれの想いが積み重なって押し寄せ、涙腺が刺激される。
後から考えれば脆さのある話ではあるが、考えさせすぎることもなく、軽快に組み立てる。また、謎解きはこの話において重要でもなく、残るのは人の心に寄り添う温かさである。
劇場でボロ泣き、MyFavo劇場作品No1
原作未読勢ですが、劇場での予告や駅などでの広告を見かけ、製作陣の充実から間違いなく今年最大の傑作になると確信していました。
自分の中では2022年No1どころか、年代を飛び越え好きな映画ランキングを入れ替えなければいけません。(もちろん1位)
鑑賞後、原作者の辻村深月先生が同世代だと知って色々と納得。
上映中に何度も頬を涙が濡らしてくれました。
中学生という人間関係、進路、趣味や嗜好、家族との関係がとても難しい年頃。
原作は未読ですが、主人公たちの会話から推理小説がある程度好きな人なら物語の展開も予想通り。何処で泣かせに来るかも予想通り。
分かっていても、それでも心の琴線に優しく触れるのは製作陣の原作に対するリスペクトと、丁寧な作品作りと向き合うA-1Picturesの社風との相乗効果だと思います。
あの花でお馴染みの可愛くて優しいタッチのキャラクター、音響のリアリティ、作品世界に観る人が入り込んだような背景描写、登場人物の心の揺れを反映した音楽の美しい響き。
まだ観ていない人には是非、没入感の高い大画面と良い音響の中でエンドロールまで余韻に浸って欲しいです。
制作に関わった方々へ感謝。本当に素晴らしい作品をありがとうございます。
見応え。
ここ最近みたアニメの中でも一番面白かったかもしれない。
伏線は割と容易に想像できてしまったけれどそれでも面白いと思えた。
切実な、誰にでも起こりうるリアルな問題。
小さな世界での出来事。だけどそれが彼らには全部。
でも、それについてもちゃんと答えをくれている。
しっかり泣いてしまった。
欲を言えば皆現実世界で出会って欲しかった。
特典になっているより作品の中でみたかったなぁー。
素晴らしい! 心洗われる"救い"の物語
観た後 清々しい気分になれる良い作品です
不登校になって学校に行けなくなってしまった中学生達が、人智を超えた大いなる力によって心救われる壮大な物語
オープニングからぐいぐい引き込まれ、一時も中だるみせず感動のエンディングまで突っ走るストーリーテリングは辻村深月さんの傑作小説をベースに名匠・原恵一監督が映像化した、一流の才能による賜物、さすがです
いじめ、虐待、ハラスメントの描写はリアルでえげつない部分もありますが、重軽度を含めると多くの若年層が直面する実際に起きている事、みんなそこから目をそむけてはいけない
本作の主人公達には「そんな辛い思いするぐらいなら無理に学校なんて行かなくていいんだよ」って言ってあげたいし、その時期を経験してきた年長者は若年層のSOSをしっかり受け取って救いの手を差しのべないといけない
と、優しい気持ちになると共に襟をたださないとな、といろいろ考えさせられる作品でした
あと、全編に渡って音楽が良かったし、エンディングに流れる主題歌、優里さんの「メリーゴーランド」が心に染み渡り、最後の最後まで心地のいい時間を過ごせました
そして最後に
なんと言っても本作のキーエレメントは芦田愛菜さんの演じるキャラクター"オオカミさま"、声のトーン、張り方や立ち振舞いがキャラクターにマッチしていて完璧、すごい存在感でした
「善処する」、目頭が熱くなり鳥肌が立ちました
老若男女問わず、たくさんの人にオススメの名作です
2022年最後に相応しい良作
原作未読どころか、お恥ずかしながら小説があることを見終わってから知りました。。原監督はファンです。
導入部はこの時代にやけにありがちな設定だな〜なんか暗いし、微妙かなと思っていましたが
丁寧にストーリーを紡いでいく感覚が最近のアニメにはない心地良さもあり、非常に没入できた気がします。
物語は、最後の事件まではそこまで大きな展開はありませんが
そのぶん各個人の感情面に割く時間が多く、各キャラクターがどういう動機で孤城にやってきているかがよくわかり、それがミステリー部分とも直結しているので飽きさせないようになっています。
アキの服装や、マサムネとのゲーム関連の会話などで時代違いなのはなんとなく察していたので
途中、パラレルワールドだ!と推理されたときは面食らいましたが。笑
ストーリー的にも大満足だし、結末も押し付けがましくない味付けで良かったです。
最後にひとつ、たぶん私の見落としだと思うのですが
そもそもなぜオオカミ様があの姿で鏡と孤城を結ぶような力が使えるようになったのか?それがどうにも腑に落ちませんでした。腑に落ちないというか説明してましたっけ??
おそらく大事なとこじゃないからサラッと触れただけで小説にはキッチリ書いてることだとは思うのですが、わかる方いたら教えてほしいです。。
お城に集められた7人の若い男女。願いを叶えてくれるカギがお城の中になるそうなのだが…。観た後に優しい心になれるお話です。
原恵一監督作品です。 久しぶり。
辻村深月原作です。「ハケンアニメ」以来。
観ない訳には… ということで鑑賞です。
鑑賞スタート。 (2時間経過) …終了。
感情を揺さぶられる、なんと心地よい作品。
期待を遥かに上回る秀逸の作品でした。 はい。
大満足です。
原作を知らないで観たのですが
ちゃんと理解できました。 そして
色々な伏線があるのに、
それらは見事に回収されて終わっている
ことに驚きました。
原作はかなり長い小説のようですが
2時間の枠に良くまとめられていたと思います。
原恵一監督の会心作 かと。 うん。
※この作品は、予備知識を仕入れないで観て欲しい
そう感じましたので、エピソード紹介的な内容は
書くのを控えようと思います。
一つだけ。 (…書くのか)
カギを用意した者が7人に望んだのは
「何が願いとなること」 だったのかなぁ と。
原作を読むと理解が進むのかな。
で。
観ようか迷っている方がいたら
是非劇場でご鑑賞ください。
私には充実の2時間でした。
幸せな気分にまだ浸っています。
#入場者特典、いいですね。 何種類ある のかなぁ。
◇余談
こころの衣服
お城に来るときは私服なのですが
毎回違う服を着てたような気がします。 (他の子も かな?)
今度はこんな服だ~ と、楽しんで見てました。
◇最後に
この作品の対象年齢って何歳くらいなのでしょうね。
就学前のお子さん等の小さな子が観たら、
トラウマになりそうな場面もあったなぁ …と。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
演出がいまいち
シナリオは問題なし、子供たちの抱えてる問題と対応を見せていくところは違和感なし。
全員に時間をかけることはできなかった分は、人数合わせではなく映画の尺の都合で主人公が絡むとこだけに絞ったということかな。
演出が気になる。
BGMの選曲でシーンに対して盛り上げすぎる曲を選んだり、ミスマッチを感じる。
BGM以外も、もう少し色をたすとか特別感が欲しいシーンがある。
・主人公が友達と仲直りして、立ち向かうことを決意するシーンは
・クライマックスで主人公が秘密の場所へ進むとき
ここは盛り上げる場所だと思うが、画が動かない&表情やしぐさの演技が少なくていまいち乗れなかった。
重大なネタバレになる子供たちのファッションについて誰も突っ込みがないのは気になった。大人にならないと気にならないものなのかな
主役がへたくそなので演技は点数をつけれれない。
沢山の人に見てほしい
原作への愛情を深く感じる。
大好きな辻村深月先生の作品の中でも最高傑作だと思っている「かがみの孤城」がアニメ映画になると聞いた時、嬉しかったんだけど大好きゆえに不安もありました。
ただ、監督が原恵一さん、製作がA-1Picturesさんと聞いて流石の布陣だとは思いました。(いい方向にいけば…)
結果はいい方向にいきましたね!
しかも、かなり!!
まさにキャラクターたちの心情描写がとにかく丁寧で、ちゃんと、こころがアキが、オオカミさまがそこにはいました。
こころのお母さんも、喜多嶋先生もみんな
いました。(麻生久美子さんも宮崎あおいさん
もさすがの存在感でした)
あの長いお話を一本の映画にまとめて、ここまでに昇華させた原監督はやはりさすがですし、ついていった製作陣も凄いと思います。
ご苦労様でした。
よい作品をありがとうございました。
確かに他の大ヒットアニメに比べれば、地味かもしれません。
でもね、最初から最後までキャラクターに寄り添った丁寧な演出で原作への愛情を強く感じます。みな、そこに生きています。
城の床に反射するキャラの動きを描き込むなんてこだわり、原監督じゃなきゃやらんですよね😊
確かにこの映画には心に響く何かがあります。
まちがいなくあります。
これからの未来を生き抜く、君たち、
悩み大き若者にこそ観て欲しい。
きっと気持ちを楽にしてくれる何かが
確かにあるから。
ぜひ、この映画を見てください。
きっと幸せな気持ちになれるはずです。
大人だって、自己反省含めて何かが変わるはず。優しい気持ちになれるはず。
彼らをささえられるのは、理解できる僕らだけです。
素敵な素敵な原作が、この映画のおかげで、もっともっと多くの人に読まれることを祈ってます。
ロングランを希望します😊
ぜひみんなで見に行きましょう!
もちろん、僕もまた観に行きます。
やばい、いつの間にか、5時を余裕でまわってるー!!
うちのオオカミさまが吠えまくっとるー🤣許してえー。
“利己的な遺伝子”のプログラム
今年最後にもう一本位劇場で観たいと思い選んだのが本作。
漫画が原作のアニメだと思っていたら、本屋大賞に選ばれた小説のアニメ化という事で、原作者が映画ではアニメ化して欲しいとの要望があったらしい。
予告編からファンタジーであり思春期の少年少女の物語というのは分かっていたので、七十近い年寄りが観るのもどうかと思ったのだが、丁度読んでいる本と内容的に少しリンクするのでないかという興味から鑑賞しました。
それは私の贔屓インフルエンサーの岡田斗司夫氏が盛んに読め読めと推薦している橘玲著の『バカと無知』という本で(まだ読んでいる最中なのですが)、内容は人間社会の問題が何故起こるのか?の種明かし的なものでした。今回はその本と本作にどの様な繋がりがあるのか?を頭の中で整理したくなりました。
本作では思春期の中学生の心の問題が設定として横たわっているのですが、この問題って結局のところ人間社会全体の問題と変わらないという気がしたので、その確認のために観ておきたかったのです。
なので、今回は『バカと無知』と『かがみの孤城』両方の感想になると思います。
『バカと~』の最初の章で「生物は進化の過程で生存と生殖を最適化するように“設計”されてきた」「このきびしい競争“自然淘汰”に勝ち残る進化論では“利己的な遺伝子”のプログラムが生得的に埋め込まれている」とある。
これだけでこの本の概要は大体分かると思うのだが、人間にはバカ・普通・優秀と能力差は確実にあり、その分布は大体ベル状の曲線であるのだが、全ての人間に上記のプログラムは働いているため、社会に問題が絶えないのであり、イジメ・仲間外れ・誹謗中傷・ハラスメントなどの類も、確実にそのプログラムが正常に働いてるからこそ起きる問題であって、なのでそれは子供社会だけの問題では当然ないという事が言えます。
『バカと~』はまだ途中なので結論がどうなっているのか分かりませんが、本作の方は避けては通れない人間社会の只中で、深く傷つかず上手に生きる為の模索であり提示だったと思います。
大人は決して子供だけの問題として捉えず、子供はこの不幸が自分だけの問題だと捉えず、助けを求められる人も周りには必ずいる事を忘れなければ(絶望さえしなければ)何処かに解決の糸口はある筈だというのが、本作のメッセージだったように思います。
もっと話題になっていいと思う
時間があったので観ましたが、観てよかったです。
いじめや不登校、家族の問題などなかなか重いテーマが入っていますが、真摯に向き合い、乗り越えていく姿は見ていてとても気持ちが良かったです。
作中、嫌な人物も出てきますが、ほとんどの人が優しく温かい気持ちを持っていることも良かったです。
また特典のカードは視聴後に開けるように書かれていましたが、中身を見るとなるほど〜と思いました。
おすすめです。
ココロに寄り添う素敵な物語
良い作品でも★5つつけるのはためらうのですが、本作はためらいなく5つ
かつて学校で深く心に傷を受けた息子を伴って鑑賞しました
テーマ的に逆にココロの傷をさわるだけではないか?と心配をしていたのですが
本作はそういったものと正面から向かい合う勇気と乗り越えて浄化される物語が融合し、本当に心が洗われました
しかし、単にお涙をいただく共感だけではなく
謎に満ちたセカイにはられた緻密な伏線が親しみ深い物語のメタファーに昇華される後半は、ストーリーテリングとしても秀逸でした
見終わったあとに息子が清々しく、いいお話だったと笑うのを見て、当事者でも痛々しくない、ココロに寄り添ったお話だったのだなぁと感慨にふけりました
派手なスペクタクルのない小さなまちのちいさなお話ですが
今年最高傑作だと思います、ぜひご鑑賞を
原作好きの方がやや辛い点数をつけてらっしゃいますが、2時間足らずで語られる映像なので、ご容赦を
原作を読んでみたくなりました
最後に俯瞰される世界に驚かされる中学生版『ブレックファスト・クラブ』
同級生によるいじめが原因で学校に行けなくなった中学1年生のこころは5月のある日突然不思議な光を放ち始めた自室の鏡に吸い込まれて小さな孤島に建つ小さな城に辿り着く。そこにいたのは狼のお面を被った少女“オオカミさま”と6人の子供たち、アキ、スバル、リオン、フウカ、マサムネ、ウレシノ。オオカミさまは7人が選ばれた存在であり、城に隠された鍵を見つけることができた者のどんな願いでも叶えると告げる。城へは毎日来ることが出来るが午後5時には城を出なければいけない。期限は来年の3月末。7人は城に通ううちに学年が違うものの全員中学生であり、それぞれに深刻な問題を抱えていることを知り、そして彼らにとって城がかけがえのない場所になっていく。
まずいじめの描写が非常にリアルであることに驚かされます。穏やかな表情のキャラクターが突然辛辣なセリフを吐いたり不穏な行動に走ったりするのは強烈なインパクト。特にこころを追い込むことになる同級生の真田、担任の伊田先生の異様な存在感はホラー映画的とも言えます。7人が孤立することになる理由もまたしっかり描写されているので、自身の小学生時代のいじめ体験が想起され劇中で浮かび上がる無間地獄の凄惨さに身震いしました。7人は仲間たちが何を抱えているかを察するがお互いに決して深入りせず、それがゆえに7人の間にある微妙な違和感に気付かないことが物語のフックになっていて、ありきたりなファンタジーかと思いきや過去と未来を行き交うSF要素も効果的に取り込んだスリリングなジュブナイルになっています。
リオンだけがいじめに遭っていない、ハワイにいるリオン以外の6人が現実世界で会うことが出来ない、といった断片が導く展開やオオカミさまの正体などは途中で読めてしまいますが、いじめという辛辣なテーマを克明に描きながらも人間の醜さではなく逞しさに焦点を当てたドラマは途方なく優しく、最後の最後で俯瞰される世界の意外な構造にしっかり驚かされ、それゆえに大いに泣きました。
どのキャラクターも魅力的ですが、個人的には凄惨ないじめの連鎖の中で自分の立ち位置を弁えている同級生東条萌の存在が光って見えました。
つまるところ、これっていじめられっ子達が城に呼び出される中学生版『ブレックファスト・クラブ』。城はすなわち休日の図書室、オオカミさまはヴァーノン先生。これほどあからさまなリスペクトはディーン・イズラライト監督の『パワーレンジャー』以来、実に素晴らしい青春映画でした。
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