山歌のレビュー・感想・評価
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小向なるの目力が素晴らしかった
高度経済成長期の1965年、東京で暮らしていた中学生の則夫は、受験勉強のため田舎の祖母の家へやって来た。ある日彼は、山から山へと旅を続け生活している流浪の民・山窩(サンカ)の家族と出会った。偏った価値観を押し付けられることにうんざりしていた則夫は、自然と共生する彼らの姿にひかれていった。
父とぶつかりながら、自己主張が出来る様になる則夫とサンカのハルの関係はどうなるか、てな話。
1964年の東京オリンピックの後にもまだサンカのような民がいたことに驚いた。
基本的には自給自足で、昔から山を駆け巡り暮らしていたのに、勝手にここは誰のもの、なんて線引きし、物を盗ったとインネンをつける方がおかしい気がした。
サンカの父役の渋川清彦はさすがの存在感だった。
娘のハル役の小向なるが目力が有って可愛くて素晴らしかった。
そして、雨に打たれてる時の表情がなんとも言えない輝きが有った。
1980年代から90年代にかけて、「サンカ研究会」というグループが...
1980年代から90年代にかけて、「サンカ研究会」というグループがあり、参加していたことがあります。そのグループが母体となって、「マージナル」という雑誌も発行していました。10冊で完結しました。80年代には五木寛之「風の王国」「戒厳令の夜」で三角寛の再評価が興ったのです。五木作品ではイメージとしてのサンカが、日本という国家の枠組を壊してくれました。その後、三角寛の娘婿の三浦大四郎氏が監修かプレデューサーとなって萩原健一主役の映画もできました。それ以来ですね。この映画ではイメージとしての「サンカ」と現実のサンカがごっちゃになっているのが気になりました。差別問題も。西日本では、いまでもサンカ部落は被差別だったりします。世間師(ショケンシ)という言葉もいまでも通じます。西日本では。また時代設定に無理があるように思います。ゴルフ場と結び付けたかったのでしょうが、大東亜戦争で日本人は全員戸籍が紐付られて、本当の意味で放浪民は、なくなったと考えてよいと思います。サンカの娘が「春駒」の唄を歌いますが、おそらく沖浦和光氏の本からのイメージでしょう。尾道のSさんが情報源だと思いますが、たぶん楽しい想い出につながる歌ではないように思います。いろいろ思い出させてもらって、刺激になりました。
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