劇場公開日 2022年4月22日

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「【”山に溶け込んで生きる。”山窩の民と、孤独な都会の少年との素朴な交流を、山窩の民への蔑視や、第二次世界大戦後は”下”に下りて、その姿が消えて行った山窩の家族の姿と共に描く。】」山歌 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”山に溶け込んで生きる。”山窩の民と、孤独な都会の少年との素朴な交流を、山窩の民への蔑視や、第二次世界大戦後は”下”に下りて、その姿が消えて行った山窩の家族の姿と共に描く。】

2022年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 三角寛による山窩小説や、民俗学的見地に立った柳田邦夫の文章は、学生時代に読んだ事はあるが、山窩の民の生き方をテーマにした映画を観るのは初めてである。-

◆感想<Caution! やや、内容に触れています。>

・山窩の民は、第二次世界大戦後、高度成長期到来により、多くが”下”に下りて来たと言われている。つまり、昭和40年を舞台にした今作に登場する山窩の家族は、最後の山窩になるのであろう。

・山窩の男(渋川清彦:似合い過ぎである。)が、)東京からやって来た、受験に疲れた中学生の則夫(杉田雷麟)に魚釣りを教えるシーン。
ー 山窩の民は、劇中でも描かれているが竹細工で籠などを作り、川魚を採り、売る事で生計を立てていたのである。”下”の民も、その恩恵を受けていた。
  だが、高度成長期に入り、そのバランスが崩れていくのである。-

・山窩の娘ハナと、則夫とが徐々に交流を深めて行くシーンの数々も良いし、山窩の男の礼儀正しい姿も良い。
ー 則夫が既成概念に捕らわれずに生きる彼らに、惹かれる理由が良く分かる。-

・そして、ラスト。ハナも新品の制服に身を包み、則夫と畦道を、駆けていく姿も良い。

<ハナが劇中、脈々たる遥かなる山脈を観ながら時折口にする”あるんだよ、人間には見えない世界が・・”という台詞が印象的な作品である。>

<2022年6月4日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU