三姉妹のレビュー・感想・評価
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韓国・ソウルに暮らす三姉妹。 ミヨン(ムン・ソリ)は次女。熱心なキ...
韓国・ソウルに暮らす三姉妹。
ミヨン(ムン・ソリ)は次女。熱心なキリスト教系宗教の信者で、大学生の夫、一男一女に恵まれて、高級マンションで裕福な暮らしをしている。ただし、信仰熱は度が過ぎているようで、第一次反抗期を迎えた幼い娘からは日常、抵抗・反抗されている。
長女ヒスク(キム・ソニョン)は、別れた夫の借金を返済しながら、小さな花屋を営んでいる。客はほとんど来ない、ハイティーンの一人娘からも疎まれていて、日々の暮らしは暗い。
三女ミオク(チャン・ユンジュ)は劇作家だが、あまり売れていない。酒浸りの毎日だが、夫が人が好いのがせめてもの救い。夫の連れ子・ハイティーンの息子とは当然のことながら上手くいっていない。そして何かとミヨンに用もないのに電話をかけてくる・・・
といった物語で、それなりに幸福そうにみえた二女ミヨンにも夫の浮気が発覚し、徐々に暗い影をおとし、終盤へと突入します。
クライマックスは父親の誕生日祝賀の席。
引きこもりだった末弟も参列するのだが、大騒動になってしまう。
それもこれも父親の過去の悪行による。
熱心なクリスチャンだった父。
けれども、酒癖は悪く、女癖も悪い。長女と末弟は妾の子どもだったころもあり、しばしば暴力をふるっていた・・・
ミヨンは宗教二世、彼女の子どもたちは三世になるわけだ。
救いのない家庭でそだった姉妹と弟たち。
ズタボロ三姉妹、ズタボロ四姉弟。毎日が修羅場。
韓国映画特有のとてつもない熱量を感じる映画なのだけれど、個人的には小津安二郎監督『東京暮色』を思い出しました。
それにしても、現在はどうかはわからないが、30年ほど前の韓国の、家父長制度と女性蔑視の社会が、沸々と湧き上がる後半は、驚かされましたね。
三姉妹を演じた女優陣は、いずれも好演です。
痛々しくても 悩み苦しんでも…三姉妹diary
見てたら2本の是枝裕和監督作品が思い浮かんだ。
まず、『海街diary』。同じ姉妹の物語。が、あちらのような美人姉妹たちが織り成す様をずっと眺めていたいようなものではない。
それから、『歩いても 歩いても』。集った家族の内に抱える複雑な感情が炙り出されていく。
本作はさらに、辛辣と殺伐と…。
ソウルでそれぞれの生活を送る三姉妹。
長女ヒスク。花屋で働きながら、元夫の借金を返し続けている。娘からは邪険にされている。
次女ミヨン。裕福なマンション暮らしで、熱心なクリスチャン。子供たちにも厳しく、夫の浮気が発覚し…。
三女ミオク。劇作家だがスランプ中で酒浸りの自暴自棄。夫の連れ子との関係も拍車をかける。
それぞれの生活の中抱える悩み、問題、苦しみ…。
はっきり言って、いずれも共感出来なかった。
寧ろ、それで良かったかもしれない。狙いかもしれない。
そうする事で、それぞれが抱えるものが鮮烈に浮かび上がる。
生活は苦しく、娘から邪険にされるヒスクの姿は痛々しい。
食前の祈りをしない子供を叱ったり、何処か人を寄せ付けないミヨンは怖くもある。
四六時中飲んで食べて、時には嘔吐。乱れた生活の上、周囲に大声を上げて当たり散らすミオクはいらいらする。
時々見てるのがしんどくなったり、嫌になったほど。
その共感に至らない感情が、終盤には意味を成す。
何故この三姉妹は、悲しみや苦しみなど負の感情の中をのたうち回る…?
家族のある過去が関係し…。
電話ではちょくちょく連絡取り合ったりしているが、同じ市内で暮らしているのに、直接会う事は少ない。
会うと思い出してしまうからだろう。
父親の誕生日。それぞれの家族も含め、久々に一堂に会する事に。
穏やか祝福ムード…いや、端からピリピリしていた。
そしてある事をきっかけに、抱え込む胸の内、今尚引き摺る所以の過去のトラウマが吐き出される…。
韓国は今も家父長制と言われる。それを扱った作品も多い。
三姉妹が幼い頃は尚更。
父親は絶対君主。逆らう事、歯向かう事すら出来ない。例え暴力を振るわれても。
三姉妹の下に弟が一人いる。ヒスクと弟は腹違い。父親から受けた暴力で、身体中痣だらけのヒスクと弟が抱き合ってる痛ましい姿…。
ミヨンとミオクは助けを求める。が、父親を通報するなんて!…と叱責を受ける。
誰も助けてくれない。父親に従え、寧ろ悪いのはお前たち子供とでも言うかのように…。
三姉妹が生きていく中で選んだのは…、
“フリ”をする事。
そうやって逃げ、隠れ、偽って生きていく事を選んだ。
そうしていれば、安全。何事もなく生きていける筈。
大丈夫なフリ。
完璧なフリ。
酔ってないフリ。
しかしそれは、静かに暮らせるどころか、より一層自分で自分の首を締める結果に。
あの時からずっと、息が詰まるような、幸せなど訪れた事無いような、自由なども無い閉じ込められたような人生。
その元凶である父親。古めかしい封建的な家族体制、そんな社会全体…。
もうあの頃と同じじゃない。
社会も家族の姿も私たち個人も変わろうとしている。
自分の意を、堂々と発言する事だって出来る。
父親からの謝罪の言葉が聞きたい。
ヒスクがすぐ謝る弱々しい性格になったのも、ミヨンが家族に対し厳格な性格になったのも、ミヨンが“逃げ”に走る性格になったのも、幼少時のトラウマから。
今家族との関係が不和なのも。
さらにヒスクは癌。父親から暴力を受け、不幸な人生を送り、このまま悪ければ死ぬかもしれないなんて、酷すぎる。
私たちをこんなにした父。
謝って!
謝ろうとしない父。今尚根強く残る韓国の家父長制を反映する。
母ヒスクを嫌ってた娘から発せられた言葉は意外なもの。
ミヨンがぶちまけた本音は衝撃なもの。
他人同士以上に、家族間の修羅場を見せ付けられるのは堪える。
が、そうやってしか癒す事の出来ない傷もある。
支え合って、思い合ってだけじゃないのも家族の姿。
ぶつけ合う事でしか分かり合えないのもまた家族の姿。
韓国の映画賞を総ナメにしたという女優たちの名演は迫真。
次女ムン・ソリのさすがの存在感。
下品な食べ方もいらいらさせる三女チャン・ユンジュも巧み。
妹二人に対し長女キム・ソニョンは控え目だが、かえってそれが悲哀を感じさせる佇まい。
見事なアンサンブル!
それらを捌き、苦悩や悲しみをまじまじと見せ付け、淡々ながらも実はヘビー級で、各々の描写から修羅場のクライマックスへと至っていく。
イ・スンウォンの演出力と脚本が光る。
名匠イ・チャンドンが絶賛。確かにこのヘビーな人間ドラマの雰囲気、同監督に通じるものがある。
三姉妹の会話の中でよく上がるのが、子供の頃の記憶。
いつぞや海辺の食堂で食べたホヤ。その味。その場所。
今も覚えてるような、忘れたような…。
ラスト、三人で赴く。
過去と向き合ってきた三姉妹の、過去への帰還のように感じた。
辛く、苦しい事ばかりだった過去。
そうじゃない記憶もある。
今やっと、行ける。
これから先、どんな人生がやって来るか分からない。が、
ラストの三姉妹の佇まいには、解き放たれた自由と射し込む希望が見えた。
ヘビーなだけの作品ではなかった。
韓国の三姉妹から、今を生きていく人々へ贈るエール。
ミュージシャン「血のウンチ」・・・大腸ガン検診を受けてください!
三姉妹とタイトルに謳ってあるのに序盤は人間関係を掴むのに苦労した。「陽性反応」が妊娠検査薬?コロナの抗体検査?などと色々想像してしまったこともあったが、どうしても次女ミヨン(ムン・ソリ)が長女っぽいしっかり者に映ったからだ。その謎は終盤に解ける。
封建的な家父長制が残る田舎だとか、児童虐待の問題も絡んできて彼女たちの複雑な人間模様が重苦しくのしかかる。彼女たちの子どもについての感情や行動もそれぞれ違っていて面白いし、自立の中の孤独がいっそう浮かんでくるのです。
最も興味深かったのは三女ミオク(チャン・ユンジュ)。周りからはなぜ子連れの夫と結婚したのか?と問われながらも脚本の仕事に精を出す。よくある作家のスランプものへと展開するかと思いきや、母親(継母)としての責務に目覚めていく。ちょっとファンキーな生き方。ファンキーといえば、長女ヒスクの娘ボミのエピソードも面白い。血のウンチって何だよ?!
三姉妹が故郷で集まり、もう一人の存在がクローズアップされる。弟もいたのか?!というところで大波乱。長女ヒスクと弟が異母姉弟であったことと児童虐待の事実。そして、裕福そうなミヨン家族も浮気が原因で破綻していく様子。どんだけ酷い夫やねん!そして、弟の気持ちが痛いほど伝わってくるのだけど、もうちょっと彼の過去も知りたかったな。
家父長制と宗教とアダルトチルドレン
本作のテーマは、家父長制と宗教と虐待の被害者であるアダルトチルドレンでした。
基本的に多くの宗教は家父長制を肯定していて、家父長制でない宗教を私は知りません。父親(男性)が絶対であり、教えが絶対です。安倍さんの事件を受けて、現在やっと統一教会の教義が報道され始めましたが、本作で描かれた子供達と新興宗教2世が被ってしまいました。彼らのことを思うと本当に可哀想で仕方ありません。
本作では、ラストで宗教という権威に依存してきた次女が父親と牧師という権威に楯突くシーンがありました。私はこのシーンで少しは救われた気がしましたし、救われた人も少なくないと思います。虐待や暴力は絶対にやったらダメなのです。後半からの物語の作り方も含めて、やはり韓国映画のメッセージ性は凄いと思いました。
よかった
長女の娘の何一ついいところのなさそうな表現が辛辣で、癒される。先日見た『恋は光』の輝かしい若者たちとは真逆の存在だ。弟もひどくていい。キリスト教もしんどいけど、長女は新興宗教で洗礼を受けていて、宗教色が強い。
父親のDVがひどいのだろうけど、現在も普通に子どもをひっぱたいている。
主人公の次女がスーパーの会計中に電話があって、店員を無視して電話で会話していて、そこは電話しながら会計できるだろと思う。夫の浮気の表現も工夫がない。
メインテーマが驚き
何となく3姉妹の人生をだらだら流す感じかな?と思ったものの、そんな簡単な映画じゃなかった。
宗教の感じも、再婚の感じも、貧困の感じも前振りで、圧倒的なDVでびっくり。
後半、すごくいい映画になった感じがしました。
観てる時はひたすら辛い
韓国の階級差みたいなものは本当にこんな感じなのかしら。韓流ドラマはこれに比べたら小綺麗ないいとこ取りの絵なんだなぁ…
みんな心が少しずつ歪んでしまってる。
その原因であろうことは最後の方に描かれてるからなるほどね、なんだけど…ちょっとね、苦しい。幸せになるのってこんなに難しいの?
なんか私自身色々落ち込むことあるけど、全然元気で幸せじゃん、と思ってしまった。
長女の卑屈さ、全然大丈夫じゃないのに薄ら笑顔だったり、娘が想いを寄せている男に対しての異様なほどに謙った物言いが特に観ていて辛くて嫌だったけど、そういうことだったのか。この長女はこの後二人の妹から温もりを与えてもらえてるはず。幼い頃から弟を身を挺して守り自分が犠牲になることで二人の妹には被害がなかったのだから。
次女のシーンで信仰がちっとも幸福に導かない描かれ方なのも絶妙です、怖いですね、特にカルトではないんですよね?普通の教会の様子だと思うけど怖かった…
お姉さんがカモられた二人組のは新興宗教っぽかったけど。
ちょっと三女の立ち居振る舞いや嘔吐や立ち○ョンとか絵的に嫌悪感がありますが、最後の海のシーンの爽やかさが眩しかった。
観終わった直後より時間が経ってからの方が心にじわじわ来る、そんな映画でした。
暗くて重い映画。三姉妹の仲の良さには救われる。
三姉妹というタイトルではあるが弟もいるので4人兄弟。日本よりも遥かに少子化問題が深刻な韓国の映画では兄弟が多い設定が多いと思うのだが韓国の人達は違和感を感じないのだろうか?韓国映画なので暗い映画だろうとは予想していたが暗いだけでなく重たい映画だった。皆自分なりに一所懸命生きてはいるが彼女達の人生は過酷。相対的に言えば一番幸せなのは三女なのだろう。三姉妹の仲が良いのに救われる。子供時代の回想シーンが出てくるが、よくもこんなに親によく似た子役達を見つけられたものだと関心してしまった。
観ていて苦しくなるのに目が離せない
予告編では三者三様の姉妹が、それぞれの問題を抱えながら姉妹としての絆を確かめ合う物語って感じがしていたがとんでもない勘違いだった。そんな枠にとどまらない、とてつもなくすごい映画だった。
序盤は三姉妹の現在が描かれるのだが、これが観ていてつらくなる。それは3人とも。仕事、夫婦関係、親子関係、観ている側が苦しいと感じる点は3人それぞれ違うのがうまい。アルコールへの依存、夫の浮気、癌の発覚…、さらにそんな仕打ちが待ち構えてんの?って感じだった。
でも後々、それらが後半につなげるための設定でしかなかったことがわかる。次女と三女が裸足でかけるシーンの理由はなんとなく予想できていたが、ポイントはその理由ではなく駆け込んだお店で受けた常連客の対応だったのか。酒癖が悪く、子どもに暴力をふるう父親に対して、当時の世間は甘かった。通報してくれと逃げ込む子どものほうが親不孝となじられる時代だった。いや、時代だけではなく韓国社会の問題とも言える。
そんな暴力をふるってきた三姉妹(プラス弟)の父親の誕生会が本作のクライマックス。このシーンがとにかく強烈だった。父親に対して、自分たちにしてきたことの謝罪を要求する次女。いつの間にか三姉妹(プラス弟)の側に立ってしまっている自分。そして父がとる態度と、母親と牧師の対応に怒りを覚え、さらに長女の娘がとった行動で私の感情はグチャグチャにかき回されてしまった。怒りと称賛と感動。まさかこんなに心を揺さぶられるとは思わなかった。
頭を窓にぶつけ血を流す父親に対しても、多分あの三姉妹(プラス弟)同様、しらけた気分になってしまった。もう完全に感情移入。
正直、長女の癌はどうなる?とは思うし、三女の状況も何も好転していない。でもあの三姉妹は間違いなく前を向いて歩きだした。映画って、ハッキリとしたとした結末が描かれなくてもスッキリとした気持ちで観終わることができるんだな。色んな人とこの映画の感想を話し合ってみたい。そんな気持ちにさせる映画だ。
観た後はサウナの後みたいな…
ポスターのほのぼの感とまったく違う、エグくて激しすぎる、ある意味韓国映画らしい三姉妹とその一族の物語。前半はあえて姉妹を分断して描き、故郷に集まってから姉妹の過去の傷や絆がしっかりと浮かび上がり胸をえぐる。姉妹ものではあるが韓国の家父長制やキリスト教信仰の側面を炙り出す。
三姉妹はもとより、出てくる人みんな激動の人生を送り感情をときに日本人では有り得ないくらいに大爆発させるんだけど、誰しもあんな風に叫び出したいことあるよね…しないでだけで。なんだか観たあとは激暑のサウナから出たようなすっきり感wラストもすごくよかった。欲を言えば、もう少し早く物語を畳み始めた方がよかったかな?
なんだろうね。。この清々しさは。
数年に一度位、こんな作品に出会えるのよね。
身体の大部分が傷みの為に悲鳴をあげそうになる
心がぐちゃぐちゃになり、イライラするのだけど、嫌ではない。
何とも凄いな。。
ラスト最高だし。。
予告編観たときは、どうだろうね?と思っていた私。。ごめんよ😅
#ヒューマントラスト有楽町
銀座ではしご💓
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