劇場公開日 2023年8月11日

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「気になる点も一応あるものの、今週の本命枠。」リボルバー・リリー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5気になる点も一応あるものの、今週の本命枠。

2023年8月11日
PCから投稿

今年272本目(合計922本目/今月(2023年8月度)11本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。

 今週はどうしても「バービー」か本作品、あるいは「ミンナのウタ」の混戦モード(一方でお盆という事情なのか新規作品は少な目で先週からの持ち越しも多い)といったところです。

 まず私は原作を知らないので、一般的な知識を応用してみたところです。
それほど原作を前提とした映画になっておらず、ある程度説明が必要であろうと思えるところは前提として字幕等での補足がある(実は序盤1分までは字幕ばかりで世界観説明)等、かなり「人を選ばせない」作りになっている点は高く評価できます。また、小説の範囲内とはいえ、扱っている内容は常識的に理解できる歴史の範囲なので、多少は史実や歴史学等と異なる点はあろうとしても、極端に異なるわけではないので、???という展開にはならないといった点は良いところです。

 詳細はネタバレになるので避けるところ、続編を想定した作りになっている点も良かったところで、この扱う映画の時代(大正時代)は作品として少なく、一方で、「ある程度」の逸脱はあっても、世界観としては一般常識の範囲で見ることができるため混乱も少なく、今週迷ったらおすすめ、といったところです(といっても、2時間超えなので要注意)。

 原作小説はあるようですが、原作ファンはもちろんのこと、原作をしらなくても、一般的に義務教育で習う範囲の近代原題日本史(世界史)の範囲で収まっている点、さらに、後半は事実上アクションシーンばかりになるので、深い知識までは要求されない点なども良かったかな、というところです。

 気になった点は以下のところですが、かなり細かい点です。

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 (減点0.3/弁護士の方が出てくるところの意味が(現在の基準からすると)微妙)

 ・ 弁護士役の方は出てくることは出ても、法律ワードは一切飛んでこず、ただ単に弁護士役という扱い(当時は司法書士、行政書士という考え方は(リアル日本では)なかった)で登場しますが、ただ単にその役というだけで出てくるだけで、当時の旧憲法や旧民法等の話は一切出てこない一方で、一応法律系資格持ちからすると、なぜ出したんたんだろう??という点も一応あります(以下に述べる部分)。
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 (減点なし/参考/一部の資格と絶対・相対的欠格事由のお話)

 ・ 日本ではいくつかの職業について、「絶対になることができない」(絶対的欠格)か、「なることができない場合もある」(相対的欠格)という2つがあります。20年くらい前は圧倒的に前者のほうが多かったのですが、これは身体障害者の方の配慮不足等によるところです(絶対的から相対的に変わり、個々の事情を考慮して決められるようになった)。

 一方で、絶対的欠格も実際に残っており、たとえば、行政書士では、「禁固以上の刑が確定し、そのあと3年」等と、資格ごとにバラバラにあります(主に士業が多いが、医師免許を頂点とする厚労省管轄の医学系免許にもみらる。また、士業ではないが、「一般人からして士業と思われうる」職業(その頂点が、警備員と警備員法)にもこの規定は存在します。

 つまり、特に意味もなく(ストーリー的に法律ワードは一切飛んでこない)登場する割に、やっている内容はどう見ても刑法(当時)に触れる内容で(弁護士の場合、確定して10年は絶対的欠格)、「出す意味があるのか?」という点は思ったものの、この点は原作重視なのでしょうし、引いてもこの程度です。

 この点、リアル日本では、弁護士を頂点とする法律系資格と、医師を頂点とする医学系資格の2つに「現在も」残っているため、法学部・医学部(看護学部)等では「車の運転だけは絶対に注意せよ」等とよく言われます(道路交通法は誰しも触れうる法律の頂点)。実際に資格だけ持っていても「寝かせておく」だけの場合でもこの点は注意するべきものであり(私もその類型)、一部で誤解もあるところの、交通事故や酒酔いによる暴行傷害(帰責性が少ないもの)について、弁護士が「被害者に対して」割り言って、いろいろ交渉することが、「なぜ加害者の味方をするのか」というのがあるのは、こういった事情です(被害者との示談が有効に成立している場合、起訴猶予等になることがあるため、この示談が取れるかどうかは「加害者にとって」も重要なもの。特に法学部・医学部といった一部の学部についての(現行民法の)成人とはいえ、「ちょっとしたトラブル」で起きるものに対して、「前科回避」の論点は、実はここにあります)。

 ※ この点、特に、日本では「どうしても過失的に起きうる交通事故」や、「酒酔いからはじまる暴行傷害」といった、「帰責性がそれほど高くはない」事案について、弁護士が割り入ってくるのは、こうした事情(資格を取れなくなる、という事情)によります。

yukispica