「シンプルがゆえに物語の深さが沁み入る。日本文学の素晴らしさを再認識させられる作品」破戒 甘酒さんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルがゆえに物語の深さが沁み入る。日本文学の素晴らしさを再認識させられる作品
島村藤村の名作「破戒」60年ぶりの映画化だったそう。
日本文学と間宮祥太朗さんの組み合わせが眩しいほどに美しく、
間宮祥太朗さんってこういう雰囲気にもピタッとハマるのかと鳥肌が立った。
『部落』という差別問題も含むナイーブな題材ではあるが
時代背景もあって前を向き進んでいく意志の強さや
真っ直ぐに人を想う気持ちは
物や真相のわからない情報に溢れる今と比べて
改めてシンプルであることの直進性の大切さを考えさせられた。
今の日本って自由だとつくづく思う。
ただ自由があるから幸せとは限らないなぁ、とも思った。
苦しみや不条理や我慢があるから、打破や解放の自由をこんなにも感じることが出来る素晴らしさ。そして何より強さ。
真の意味で男も女もない強さが身体の底から炙り出され、
胸が苦しく涙が溢れた。
眞島秀和さんの孤高的存在感が時代背景も含めてさすがで
大東駿介さんの独特な悪色も素晴らしかった。
そしてウーイェイよしたかさんが良きアクセントでした
重厚なテーマではあるが、とても美しく
観終わった後にはどこか清々しく
苦しくも心が強くなる前向きな作品だった。
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