「貞子でホラーを作るための試行錯誤」貞子DX おにぎりママさんの映画レビュー(感想・評価)
貞子でホラーを作るための試行錯誤
あまり怖くはない。
正統派Jホラーを期待するとガッカリすると思う。
コメディ要素はわりと強め。
監督はTRICKや矢部謙三にも携わった方なので、それ系のコメディ作品が好きな方にはおすすめ。
ホラーコメディとしてみれば、全体的に設定の破綻も無く、完成度が高くおもしろい作品。
序盤で主人公の言ったセリフがラストで回収されるのも良い。
貞子はYouTuberとしてデビューしたり、始球式に登場したりと、メディアへの露出も多く、既にJホラーアイコンとして確立してしまっている。
ホラー映画の恐怖演出としては、いつ、どんな方法で襲ってくるかわからないから怖いと言う要素があるが、ここまで貞子と言う存在が浸透してしまうと、観客の恐怖感が薄れてしまう。
その為か、今作は貞子でホラーを撮る為に、設定・演出をどうしたら面白くなるか工夫して作られた作品なんだと感じた。
リングのビデオを見た7日後に死ぬという時間制限も、逆に言えば7日間は死なないと言うことになる。
本作で時間制限を24時間に変更したのは、作中に幾度もタイムリミットが迫る状況を作ることができ、観客に緊張感を待たせる良い変更だと思う。
また、リングへのオマージュが随所に見られたのも嬉しかった。
ラストの母親から子供への見ちゃったの?と言うセリフや、呪いの謎を解くと言うミステリ要素等は古参のリングファンには、嬉しいところ。
あまり怖くないといったが、それは逆に初心者や子供向けのホラー映画の入門編として、良いとも言えるので、家族で楽しめる作品に仕上がっていると思う。