劇場公開日 2022年4月15日

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杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦のレビュー・感想・評価

全11件を表示

3.5土地や樹木や自然に関するすべての常識が破壊される

2022年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

主人公、矢野智徳に密着した、「情熱大陸」の長尺版みたいな映画です。そして、もの凄くためになるんです。それは、衝撃的といっていいレベル。土地をコンクリで固めてしまうと、ガスの溜まったグライ土壌になってしまう。水脈を整備し直し、風の通る道を作ると、土地が見事に復活する。今まで誰からも聞いたことのなかった学びが満載です。自然はあるがままに、「LET IT BE.」ってことなんですねえ。人間が手を加えるにしても、加える程度ややり方がちゃんとある。建築や土木や造園に関わる仕事の人や、そういう業界を目指す学生さんたちに見て欲しいと心から思います。

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駒井尚文|映画.com編集長

4.5全ては

2023年6月18日
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鑑賞方法:試写会

興奮

知的

幸せ

循環、繋がりで成り立っている。
自然視点で見れば、至極当たり前の話なのだが
コト人間視点がはいると見えなくなる箇所が多い話である

ここ最近血管の疾患により命を落とす人が増えているのも
この至極当たり前のことに気づけていないから。
なのだろうな。と映画を観ながら思い返した。
僕も数年前に血管の疾患でこの世とおさらばする寸前だった身だからw

自然は共に生きる存在から
自然は征服しマネジメントする対象へと変わった近代への警鐘作品。

良いタイミングでの鑑賞⭕️これ幸いなり(^^)
※杜は木と土を大切に汚さず穢さず使います。
と誓いを立て〆縄で結んだ場所
土は常にプラマイ0だと言うお話し◎

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tomokuni0714

4.0SDGsな

2022年8月7日
Androidアプリから投稿

 単に緑化のドキュメンタリーかと思いきや、豪雨災害とか思わぬ方向へ
風や水を通すというのは無かった発想 日本全国駆け回っておられるようだが、災害時はボランティアなのか、行政から要請あったのか、ゴミをなるべく出さないやり方も良い あのお寺の住職さん、大掛かりな手入れなのにお任せだったけど、最後の見事な桜がすべて物語っている
そもそも間違った方向で都市化しているので、都会ほど大変そうなお仕事だなと思った
北九州の白野江植物公園が元のご実家なんですね それにもびっくり

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ゆう

4.0空気の道、水の道

2022年7月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

30年以上の実務経験を持つ造園家で環境再生医の矢野智徳氏は、全国を飛び回り傷んだ植物や大地の治療を行っていた。造園業界や現代土木界、学術界でも見落とされてきた生態系全体に関わる大地の機能を、矢野は「大地の呼吸」と言っている。1970年代から始まった国土開発という名の人間の土地利用は、大地をアスファルトやコンクリートで窒息させる方向へと進んできた。せき止められた自然の循環が長い時間をかけて問題を起こしてきていることに、矢野氏は強い危機感持ち、業界では変わり者と呼ばれながらも、環境改善のやり方を実践し、伝えてきた活動は東日本大震災をきっかけに共鳴する人が増えていった。また、2018年7月、西日本で自然が牙を剥くような広い範囲を豪雨が襲った。この復旧にも携わった。こんな矢野氏の実践を映したドキュメンタリー作品。

以前より砂防ダムって本当に効果有るのか?一時的な防災にはなっても恒久的な対策ではなく、単に土木業者を潤わすためだけに工事をしているのでは?なんて思ってた自分には、なるほど、と思える内容だった。
コンクリートが全ていけないとは思わないが、大地も空気を流し、水を流さないと、澱んで窒息してしまう、という意見には賛同したい。
その大地が健全じゃないと植物も健全に育たないのも自明だと思う。
何か自分に出来ることで協力していきたい気持ちになる作品。

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りあの

4.0呼吸と循環

2022年6月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

風の目線で見て、
風が通り抜けられるように
枝や葉を切り込んでいく。

すると、木々はしっかりと根を張り自立する。

土に水が流れるように、
水はけを良くしてあげる。

すると、大地が呼吸する。

・・・

人の体で目指してることとまったく同じ。

呼吸と循環が健全の要。

呼吸が浅くなる要因はそこら中にありますし、時に呼吸を浅くするのは、体の防御にもなりますが、守りすぎて固まると不具合が出てきます。

現代医療も薬の処方も、コンクリで固めたり、ダムを作ったり、といった整備に近いです。

経済も同じく、どこかに集中すると、どこかが破綻し崩壊してしまう。

呼吸と循環がスムーズに行われたら、
代謝が起こり、自然のサイクルが回り出します。

矢野氏の手が入ると、木々達の間に空気が流れだし、スコップ一つで土を掻いていくと、溜まった水はぐんぐん地中へと流れ込んでいきます。まるで水脈が見えているかのように。ユンボの動きですらベテラン治療家と重なりました。

コンクリートも悪者扱いせず、穴を開けたり、組み直したりすることで、大きな岩のような役割を持たせていたのが印象的でした。

"杜"の意味も納得。

矢野さんに惚れ込んで映画デビューしたという監督さんの熱意に感服です。
どうしても、関心の高い人しか観られないテーマでありますが、良質なドキュメンタリーでした。

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osinco

4.0ナウシカのようにマスクは外して、地球も人も息をしている限りまだ間に合う。

2022年6月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

名古屋のシネマスコーレにて、朝一の上映。
友人たちの何人もが、公開前からよい噂をたくさんしてたのもある。
しかし、なんの予備知識なしで、#杜人 を観てきました。
ナウシカのような人というキャッチフレーズをチラシで見てしまったけど、そんな先入観など必要ないほど、もっと身近で現実味のある深いドキュメンタリーでした。
はじまってすぐさま泣きそうなくらい、でもその感動は大袈裟なものではなく、日頃から自分も常に意識して大切に思う心とまったく一緒の当たり前の眼差しだから、うんうん頷きながら響鳴し、染み込んでいきました。
環境再生医。
結のコミュニティ。
初めてきく言葉も多く新鮮だけど、この方が矢野智徳さんなのか。
スクリーンで初めてお会いする、でもどこかで会ったことあるような、本当にかっこいい人だ。
風の草刈りとか、風の剪定とか。
自然がやってる風の道を作り、表層の水切りや点穴を開けて空気を流し込み、水の流れを取り戻す、なんと地道で手間ひまかけた優しい作業。
それだけ、戦後から今日まで一直線に進めてきた開発という名の環境破壊で都市部だけでなく列島全土の自然を痛め傷つけてきたコンクリートの世界を、わたしは何のためらいもなくペロッと引き剥がしたい気持ちでずっといた。
それでも矢野さんは、ハチドリのひとしずくのように、水脈の滞った場所を見つけ出して流れを作り直す。
コンクリートやU字溝に穴を開けるだけでも、人工物を完全撤去せず、残りは大岩のようにそのまま利用し、水と空気の抜け道さえ取り戻せば、大地は再び呼吸をしはじめることを、わたしはこの映画で学ぶことができた。
被災地の映像もでてきて、こういう復興が行われていたことも初めて知った。
砂防ダムや無駄な開発で本来あった目に見えない水の流れが鬱血して滞り、土砂災害となって犠牲者は出るけど、実は自然は自らの治癒力で滞った場所を破壊し、新たに水脈を再生して死にかけた土壌を回復しようとしているだけだ。
矢野さんの「土砂崩れは大地の深呼吸」という言葉が響く。
ここまで来たら、災害がきっかけでこれから目覚めていくんだなと改めて思った。
ハチドリもそうだけど、人はそんなことして間に合うのかと、死にゆく自然を横目に素通りしてきたのが今までだけど、自然は人間が居なくなっても回復する力を秘めている。
滅びゆく真っ只中にいる人間だけが呑気に、まだ大丈夫と思ってる。
自然を守ろうではない。
わたしたちはどれだけ開発して自然を穢しても、どこまでも自然がわたしたちを守ってくれている。
医療で病気を治すのではなく、人の持つ自然治癒力を高めて治すように、人が思い通りに自然をコントロールしたり壊れた自然を回復させることもできない。
しかし、そのお手伝いならできる。
矢野さんの「息をしている限りは可能性がある」という言葉。
それはこの世界に落胆して、ハチドリのような行動ができないわたしに突き刺さる。
わたしがあきらめようが、生きとし生けるものすべては生の最期まであきらめず生きる選択をしつづけているという意味だったかから。
目の前でまだ息をしてるのに素通りしたら、いくら後で後悔しても死んでからでは救えない。
この数十年の開発を元に戻すのは途方もない労力と時間がかかる。
矢野さんのような人が100人いても叶わない。
そうじゃなくて、わたし一人が気づいて、わたしの周囲だけでも半径1mだけでも開発をやめて、意識するだけでも、変わっていくと思うし、そういう小さな広がりがやがて集団心理に働きかけるところまで行けば、相乗効果で思ってた以上に早くことが進む。
そんなことより、自然の回復力を心から信じることができれば、人のことなどどうでもいいのだ。
自分だけの世界といわれようと、人と人が結のつながりで命や生を大切にする集団とならないかぎり、前に進むことは困難となる。
それより大切なことは、人と人がつながる以前に、大地としっかりつながり直すこと。

エンディングのロールスーパーに友人の名前がちらほら、なるほど。
この映画は、専門知識のある方や、環境オタクでなくとも、普通の人でも、どんな考えの人であってもそれぞれの中で腑に落ちる言葉や映像が込められてると思うので、たくさんの人に観てもらいたいなぁ。
シネマスコーレは17日まで。

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fuhgetsu

5.0政府や、農林水産省、土木学会の方にも見て頂きたい! 土砂崩れを防ぐ秘儀

2022年5月25日
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鑑賞方法:映画館

大手建築ゼネコンや、林野庁、土木学会の方々にも、ぜひ見て頂きたい。
地球の声を聴いて、味方にし
自然災害を防ぐ
縄文由来の人間の生き方
山師のような理想的・地球に寄り添う生き方
これは、観なければ、文字だけでは理解できない、自然の摂理を用いた
土砂崩れ・自然災害の防ぎ方。
子供でも出来るが
まさに大勢の人の命を救う、秘儀である。

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suzy6

5.0存在の大いなる連鎖、あるいは衝撃的である希望

2022年5月17日
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鑑賞方法:映画館

予告編を観たときから、監督が初心者であることなど気にならないほど衝撃的だった。わたしたちを支えている大地が、鳥や虫や植物や動物や人間たち同様に呼吸をしているのだとは!だから大地にも空気が必要だし、大地の血液とも言える水と空気がうまく流れなければ、大地は息を詰まらせ、その上に立つ植物も息を詰まらせ弱ってくるのだとは!雑草だって虫だって知っているのに、人間だけが失った認識。太古の人々には備わっていたかもしれない、しかし今や絶滅したに等しい知恵と認識が、奇跡のように矢野さんのなかに蘇っているように思える。これをどれだけ学べるかに、日本の、世界の、
地球の、未来への希望はかかっているように思える。

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チュンチュン

3.0大地と水と風

2022年4月25日
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鑑賞方法:映画館

「環境再生医」とは、どんな仕事なのか、造園とどのような関係があるのか、興味があって観に行った。
環境問題は色々と取り上げられているけれど、大地の声を聴いて、造園という方法をとりながら、壊された自然環境を整えていく作業なのだと感じた。
人間が自身の都合だけで壊した環境って、計り知れないのだと思う。
その影響で自然災害が起こっているとしたら、それは人災に等しいのだろう。
主人公の矢野さんのような考え方が少しでも広まれば、人々の環境問題への考え方も変わるのではないかしら。
土木的観点から日本の国土が開発され自然が破壊され今に至っているけれど、今後はもっと本来の自然に寄り添った環境再生が必要なのだと考えさせられた。

「環境問題に関心あります~」なんて、上っ面だけの思考では、問題の核心には到達するわけないだろうな。
NHKスペシャルか何かでも、取り上げてもらいたいものだ。

ナレーションが一部甘々だったのが気になったので、-0.5ポイント。

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Jo

4.5監督前田せつ子さんにブラボーです。

2022年4月23日
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鑑賞方法:映画館

萌える

第七芸術劇場で、
せつせつと矢野さんのことを語る惚れ込み方に、
嫉妬しまうぐらい矢野熱を感じてしまった。

ところが、
客席に矢野さん監督以上をベタ惚れしている現場秘書か来席していて、その惚れ方は尋常ではない。

映画以上に楽しいライクではなくバトルを見させてもらった。

さて、
本題のドキュメンタリは、
造園業界や現代土木の世界、学術界でも見落とされてきた生態系全体に関わる大地の機能を、矢野は「大地の呼吸」だと言う。

う〜ん、
人間は大自然の森羅万象を舐めてる、としか言いようがない。

矢野さんの微力で、
このコンクリートジャングルに風洞や水脈を通すことが何処までできるだろうか!!!

前田せつ子監督、頑張れ!!!

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カールのおっちゃん

5.0自然を大切する人の営みとは?

2022年4月17日
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素晴らしい!長編作品監督デビューでここまでの作品を創れるとは!しかも撮影まで!!
いかに監督が矢野氏に衝撃受けたのか、そして杜との付き合い方がいかに間違っていたかに気づいたかが伝わる。この映画が教えてくれた人と自然の付き合い方が大きな波紋となることを望む!

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ころ