「人種差別に屈しない人としての尊厳が胸に響く」燃えあがる女性記者たち しんさんさんの映画レビュー(感想・評価)
人種差別に屈しない人としての尊厳が胸に響く
ロケットを飛ばせるほどの科学技術を持ちながら21世紀のいまも人種差別(カースト制度)が払拭されないインド。
カーストピラミッドの最下層の女性たちがこうした差別社会に風穴を空けようと、女性だけの新聞を作った。初めは小さな声だったが、やがて、報道によって自治体や国を動かすまでも影響力を持つに至った。
レイプ被害に遭い殺される女性が後をたたず、警察もまともに対処しない絶望感に屈せず、報道というペンの力で女性や個人の尊厳を主張し、権力を動かす姿に、ただただ感動と尊敬の念を抱いた。
政府に批判的な記者が何十人も殺される民主主義には程遠い独裁国家インドだけど、声を上げ続けることで小さな波が大きなうねりとなる希望が見えました。
ひるがえって日本は、海外からメディアの沈黙と指摘されても、大きな社会問題までには至らず、他人事のような空気さえ漂っている。
人としての尊厳をかけて民主主義社会を目指すインドの最下層の人々と、民主主義崩壊の瀬戸際にいるのに危機感のない多くの日本人。
失ってからでは手遅れだと、胸に刻みました。
コメントする