「日本はすべてが叶う、可能性の国よ。」MISS OSAKA ミス・オオサカ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
日本はすべてが叶う、可能性の国よ。
北欧人にとって未知の国、日本。それを、観光地の美しさではなく、エキゾチックな夜の世界で描く。そこは、望む自分になれるところ、望んなものが手に入るところ、と言うマリア。あることを経て、日本に向かう変身願望のイネス。そしてたどり着いたキャバレー、ミス大阪。イネスにとっては、逃避行でもあり、変身前のサナギの期間のつもりでもあるのだろう。天国に思えたろうし、なりたいものになれると信じていたのだろうな。でも、気付く。いろんなもの、いろんな場所、いろんな人を通り過ぎた後に最後に残るものは、結局、自分自身そのものなのだと。不安定な感情で悩んで現在地に迷ったあげく、誰かになりたくて、誰にもなれなくて、所詮、自分は自分にしかなれない。でもそれこそが特別なことではなく、ごく普通の人生だ。最後のイネスの脱力した姿は、浦島太郎のようだった。あのあと、どう落とし前をつけるのか気になるが、冒険を経験したイネスは、かつてのひ弱な女性ではないから心配は不要だろう。
森山未來、改めていい役者だなって思った。
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