柳川のレビュー・感想・評価
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また訪ねてみたい
『福岡』と似たような設定ながら、柳川になぜ行くのか、どんな町なのかが語られていて、納得しながら観ていけた。池松壮亮氏演じる宿の主の印象が最初薄かったものの、ジョン・レノンと会ったことがあると言い出したり、中心人物である中国人女性チュアンに求愛したり、謎の少女の父親だったりして、だんだん存在感が高まっていった。中野良子氏演じる居酒屋の女将は端から目立っていたが、中国人のチュアンと言葉が通じないことを承知のうえで言いたいことを言い合う場面が面白かった。『福岡』では、違う言語でも通じ合うという設定であったのとは異なって、自然に感じた。チュアンが夜中の街角で突然踊り出したり、オノ・ヨーコ氏の縁のある家跡で歌う女性が出てきたところが、ちょっと見せ場でもあった。川下りの場面ばかりではなく、見覚えのある場所がいくつか、そして見知らぬ場所もそれなりに映されていて、また訪ねてみたいと思った。弟ドンが死んだ後、チュアンが中国の家に来て兄チェンの妻と鉢合わせしたときには、一悶着あるのではないかと予想した。冗談の内容は、居酒屋で言った通りなのだろう。結末で、チュアンが発見したドンの唯一の遺品が、エンディングの歌の録音で、何事にも控えめだったドンの言い遺した想いを知ったということなのだろうか。
なんか上手く言えないけど、良かった 見終わった今も、どこが良かった...
なんか上手く言えないけど、良かった
見終わった今も、どこが良かったとか言葉で言えないけど、
良かった
一瞬眠くなりそうなのに全然寝落ちなんかしなくて、
ずっとガン見してた
独特の魅力
「心残りとの折り合い」の空気感に浸る
チャン・リュル監督の作品は、静かに始まり、特段の事件が起こるわけでもなく、突然、終わりを迎える。そのため、どのように評価すればよいのか、戸惑う。
『柳川』は、『群山』(’18)『福岡』(’19)と合わせて「福岡三部作」と呼ばれるが、今回、本作の上映と合わせてこの三作品を同時期に観ることができたことで、チャン・リュル監督作品の空気感に浸ることができた。
パンフレットの中で東山彰良さんが「心残りとの折り合い」と表現しているのが、わかりやすい。過去の「心残り」にどうやって折り合いをつけるか。これは人生の大きなテーマかもしれない。観ているうちに、自分自身の過去の「心残り」を思い出し、胸がチクリとする。
そんな感情を、チャン・リュル監督は、慌てず、ありのままを丁寧に描く。まるでドキュメンタリー映画のように。
なるほどチャン・リュル監督は、事前には台本というものがなく、大まかなあらすじだけがあり、現場でセリフや演出を決めていくのだそうです。
まさに「空気感」を作っていたんですね。
そして、そんな空気の中では、日本、中国、韓国の言葉が入り乱れてもお互い何となく通じ合い、結局は人として何ら違いはないということを改めて思い出させる。そんなボーダーレスな作品。
【"ジョン・レノン&オノ・ヨーコ作の美しくも切ない名曲”oh my love"が印象的な作品。様々な愛の形をアーティスティックに描いた、どこかノスタルジックな雰囲気が横溢する作品である。 】
- 劇中、三度流れるジョン・レノンとオノ・ヨーコ作の美しくも切ない、オリエンタル調の名曲"oh my love"が、印象的な作品である。
一度は、リウ・チアンが柳川のバーで歌っている・・。
オノ・ヨーコさんが、柳川と関係がある事は、本作で初めて知った・・。-
◆感想
・ドンとチュンの兄弟は、20年前にお互いに愛したリウ・チアンに会いに、日本の柳川(中国語でリウ・チアン)に来る。
- ドンは末期の癌を患っている・・。-
・彼らが柳川で過ごす穏やかで、昔の北京での生活を懐かしむ日々。
- ノスタルジックな風合いの、此の柳川のシーンの描き方が、私は好きである。-
・ドンとチュンの兄弟が訪れる居酒屋の女将(中野良子)の風情も良い。
ー 人生の全てを悟ったかのような、女将の発する言葉の数々・・。中野良子さんの畢生の演技であろう。-
・彼らが宿泊している宿を営む妻を亡くした男(池松壮亮)は、自分に馴染まない娘(新音)を愛しているが、上手くコンタクトが取れない。
- 彼が”娘からは嫌われている・・。”と語る、どこか屈折した姿を池松壮亮が見事に演じている。-
・一年後、”ドンが居ない”北京で再開したチュンとリウ・チアン。
- ドンが住んでいた家にチュン夫婦は、ドンが頼んでいた事もあり引っ越している。
その且つてドンの部屋だった所にポツンと置いてあるベッド。
ドンの様に身体を曲げ、ベッドに横になるリウ・チアンの姿が印象的である。-
<今作品は様々な愛の形をアーティスティックに描いたノスタルジックなテイストの作品である。
私は好きだなあ、この作品が醸し出す雰囲気が・・。>
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