エノーラ・ホームズの事件簿2のレビュー・感想・評価
全16件を表示
世の中の革新に挑む、エノーラ
シャーロック・ホームズの妹・エノーラが、兄顔負けの名推理と実行力で、謎を解き明かして大活躍する、ミステリー・アドベンチャーの第2弾。主役のエノーラには、1作目に続いて、個人的に一押しの若手女優・ミリー・ボビー・ブラウンが、エノーラ役を演じ、監督も引き続きハリー・ブラッドピアが務めている。昨日に続いて、NETFLIXでの配信を鑑賞。
本作では、長兄のマイクロフトの出演は無く、頼りになる次兄・ホームズの力が、事件解決への大きな拠り所なって行く。そして、1作目から自由奔放なエノーラに惚れ込み、今や革新派の若手議員となったデュークスペリ―卿と共に、大手マッチ工場と政府議員機関との、裏金癒着に纏わる、不正と賄賂の実態を暴いていく物語。
前作の活躍で、兄に続いて探偵事務所を開き、「さあ、これから!」と意気込んでいたエノーラ。しかし、現実はそう甘くなく、女ということだけで軽く見られ、依頼が全くなく、探偵稼業を畳もうとしていた。そんな時、1人の少女から、「共に大手マッチ工場で働いていた姉が、突然に失踪したので探して欲しい」という依頼が舞い込んできた。しかも、その工場では、最近続けて工女達が、チフスの名の元に、不審死を遂げていると言う。
そこでエノーラは、依頼人と共に、マッチ工場に潜入捜査を始めると、そこには、工場と警察、議員が三つ巴となって、裏金を操作する癒着の事実を突き止めていく。そして、その実態は、兄ホームズが追っている事件とも、大きく関わりを見せ始める。捜査を始めると、エノーラは、次々と命が脅かされ、殺人事件の犯人にまで仕立てられ、絞首刑となる絶体絶命の時を迎える。
しかし、そんな危険は何のその。持ち前の機転の利く考察力と実行力、兄ホームズやデュークスペリ―卿、そして母の助けを得て、数々の危機を乗り越えていく。クライマックスには、一番の黒幕の正体が二転三転し、思ってもみなかった、意外な人物へと辿り着き、ミステリー・アドベンチャーとしての面白さが、存分に描かれていく。また、最後のオマケ映像が、「やっぱり、名探偵ホームズは、そうでなくちゃ!」とニンマリさせてくれる憎い演出で、エンドロールとなる。
本作で1作目からの流れのまま、ホームズには、ヘンリー・カビルが、そして、母親役にはヘレナ・ポナム・カーター、デュークスペリ―卿には、ルイス・パトレッジが演じている。そして、本作の敵対役のグレイル刑事には、デビット・シュリースが務めており、『ハリーポッター』では適役のベラトリックスを演じたヘレナと、ハリーの良き理解者であったルーピンを演じたデビットが、正反対な役柄を演じていたのも、面白い取り合わせたった。
楽しい映画
テーマは重い。皮肉は薄い。主人公は前向き。
エノーラはサスペンスにシフトしちゃったのか……?
前提として
・2回目
・前作「エノーラ・ホームズの事件簿」は視聴済
・原作は未読
前回とはだいぶ毛色が違う作品に変貌。イギリス内部の、暗く不穏な雰囲気が漂う。
前回は一人の女性として成長するエノーラの物語だったのが、今回は一人の探偵として成長する物語。
探偵としてまだまだ未熟なのに、一人で無理をする姿が観ていて痛々しい。どうにも共感性羞恥が抑えられなかった。
自立している人間ではあるが、"自立しすぎている"。これが今作エノーラの障害。しかし、そこから成長するカタルシスも薄い。
その分、兄としてのシャーロック・ホームズの方に感情移入しやすくなるはずだが、彼は推理の方に全力を注いでいるために移入しづらくなっている。
誰の視点で物語を観ればいいのか、そこが定まらない。
母親との回想は全体的に少なく、兄とのやり取りが多い。
よく知られているシャーロック・ホームズが、カッコよくて頼れる兄貴になっていて興味深かった。人生だけでなく、探偵としても先輩な彼はカッコいいのだ。
でも作品の弱点になっているとも言えて、個人的に観たいのは、あのハイスペックなシャーロックが解けない謎を、エノーラとテュークスベリーがさらっと解決するところだ。彼女たちは、"シャーロックと真剣勝負ができるワトスン"的な役割を貫いていいはず。
けれども残念ながら、黒幕が強すぎるし、シャーロックがカッコよすぎた。
原作がヤングアダルト小説であることを考えるとしょうがないのかもしれない。
前作と比べて、フェミニズム要素も強すぎる。
女性労働の革命関係でサラ・チャップマンが出てくる。
もちろん「エノーラ・ホームズ」全体のテーマと、サラ・チャップマンの親和性は非常に高いのだが、
「エノーラ・ホームズの事件簿2」のストーリーで観るとしっくりこない。
あと黒幕も。
演出・編集面で言うと、全体的に前振りが物足りない。
特にエノーラとテュークスベリー卿のロマンティック。前振りがないわけじゃないし、なんなら多い。なのに途中で別の話題が入るからテンションがぶつ切りになって、盛り上がる前にピークが来てしまう。
その他のシーンも同じ。最後の方の乱闘シーンとか全然盛り上がらない。
多分、ミスリードや伏線を作ろうとした結果だと思う。ミスリードが多い。要らない伏線もいくつかあった。
編集や演出が全体の情報量に負けている。
色々と悪く書いたけど、前作からパワーアップしたところもいくつかある。
まずはエノーラのカメラ目線。表情が可愛らしいものから、大人として成長した複雑なものに変化。観ていて"楽しい"というよりも"共感できる"ものに変化していた。ミリー・ボビー・ブラウンがすごい。
そしてテュークスベリー卿のヒロイン感マシマシ。これが非常にうれしかった。観ていて応援したくなる。エノベリカプ厨が喜びます。
探偵・ミステリー要素も増量。ただし、そういうジャンルの作品として観るには物足りない。もう一歩必要だと思う。
前作からパワーアップした部分もあるが、前作が好きすぎるとどうもしっくり来ない、そんな作品でした。
史実を仕込む
実在した労働運動指導者をからめて、エノーラの八面六臂の活躍を描く。
2時間以上あったがエノーラがこっちへ話しかけたり、シームレスに回想へ飛んだり、パタパタと状況を切り替えたり──で飽きさせなかった。
貧しい女工たちのために権力と闘う構図が共感を増幅させる。
とりわけ姉サラを探してほしいと依頼してくる少女ベッシー。Serrana Su-Ling Blissという子役。いい顔に一瞬で溶かされた。
マッチ工場というのもシンパシーをくすぐった。思い浮かべたのはアンデルセンのマッチ売りの少女。街頭で少女がマッチを売っているシーンをもっと積極的に挿入したら日本レビュアーの評点はさらに上がったにちがいない。
婦人参政権をもとめて闘った女性たちを描いたキャリーマリガン主演のSuffragette(邦題:未来を花束にして、2015)を彷彿とさせるところもあったが、シリアスへは振らない。あくまでジュブナイルっぽい軽さを貫いた。
デヴィッドシューリスがうまい。腹汚い警視役だが、いかにもな醜悪さを誇張しつつ、笑える。悪辣を体言しながら、けっこうまぬけ。──さすがだった。
wikiによると実在のサラ・チャップマンは1888年、Bryant&Mayというクイーンのギタリストみたいな名前のマッチ工場で、劣悪な環境と労働者にたいする虐待に対抗しストライキを先導した──という。
本編はその実際のイベントを巧みにストーリーに組み入れていた。
ところでサラ・チャップマンの曾孫にAnita Dobsonという女優がいる。2022年現在、73歳。彼女の旦那は2000年から元クイーンのギタリストBrian Mayだそうだ。
シャーロック兄妹の冒険
火はたった一つの火種から起きる = 結束した女性の力!社会派エンタメ・ミステリー
これはゲーム!ルールが分かれば面白い
友人が必要、みんなですれば怖くない!何でもかんでもカメラに向かって言うのイタいし、相変わらずハマりきらない語り口のトーンではあるけど、アクションありミステリーあり特盛りエンタメ。おまけに女性の権利向上という社会派。Netflixオリジナルといったらミリー・ボビー・ブラウン?力の入った本編尺。ヘンリー・カヴィル演じるシャーロック・ホームズも前作より見られるし大活躍!…ということはモリアーティも?ヘレナ・ボナム・カーター演じる過激派なエキセントリックママも彼女らしくてハマり役。英国コンテンツを描くにはハリポタ・キャストは避けられない?? 髪型は変なまま本当に厄介な子に育った。ドラマ『ピストル』シド・ヴィシャス役の人か!
兄妹の絆が映えるシリーズ2作目
全16件を表示












