エノーラ・ホームズの事件簿2のレビュー・感想・評価
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テーマは重い。皮肉は薄い。主人公は前向き。
エノーラはサスペンスにシフトしちゃったのか……?
前提として
・2回目
・前作「エノーラ・ホームズの事件簿」は視聴済
・原作は未読
前回とはだいぶ毛色が違う作品に変貌。イギリス内部の、暗く不穏な雰囲気が漂う。
前回は一人の女性として成長するエノーラの物語だったのが、今回は一人の探偵として成長する物語。
探偵としてまだまだ未熟なのに、一人で無理をする姿が観ていて痛々しい。どうにも共感性羞恥が抑えられなかった。
自立している人間ではあるが、"自立しすぎている"。これが今作エノーラの障害。しかし、そこから成長するカタルシスも薄い。
その分、兄としてのシャーロック・ホームズの方に感情移入しやすくなるはずだが、彼は推理の方に全力を注いでいるために移入しづらくなっている。
誰の視点で物語を観ればいいのか、そこが定まらない。
母親との回想は全体的に少なく、兄とのやり取りが多い。
よく知られているシャーロック・ホームズが、カッコよくて頼れる兄貴になっていて興味深かった。人生だけでなく、探偵としても先輩な彼はカッコいいのだ。
でも作品の弱点になっているとも言えて、個人的に観たいのは、あのハイスペックなシャーロックが解けない謎を、エノーラとテュークスベリーがさらっと解決するところだ。彼女たちは、"シャーロックと真剣勝負ができるワトスン"的な役割を貫いていいはず。
けれども残念ながら、黒幕が強すぎるし、シャーロックがカッコよすぎた。
原作がヤングアダルト小説であることを考えるとしょうがないのかもしれない。
前作と比べて、フェミニズム要素も強すぎる。
女性労働の革命関係でサラ・チャップマンが出てくる。
もちろん「エノーラ・ホームズ」全体のテーマと、サラ・チャップマンの親和性は非常に高いのだが、
「エノーラ・ホームズの事件簿2」のストーリーで観るとしっくりこない。
あと黒幕も。
演出・編集面で言うと、全体的に前振りが物足りない。
特にエノーラとテュークスベリー卿のロマンティック。前振りがないわけじゃないし、なんなら多い。なのに途中で別の話題が入るからテンションがぶつ切りになって、盛り上がる前にピークが来てしまう。
その他のシーンも同じ。最後の方の乱闘シーンとか全然盛り上がらない。
多分、ミスリードや伏線を作ろうとした結果だと思う。ミスリードが多い。要らない伏線もいくつかあった。
編集や演出が全体の情報量に負けている。
色々と悪く書いたけど、前作からパワーアップしたところもいくつかある。
まずはエノーラのカメラ目線。表情が可愛らしいものから、大人として成長した複雑なものに変化。観ていて"楽しい"というよりも"共感できる"ものに変化していた。ミリー・ボビー・ブラウンがすごい。
そしてテュークスベリー卿のヒロイン感マシマシ。これが非常にうれしかった。観ていて応援したくなる。エノベリカプ厨が喜びます。
探偵・ミステリー要素も増量。ただし、そういうジャンルの作品として観るには物足りない。もう一歩必要だと思う。
前作からパワーアップした部分もあるが、前作が好きすぎるとどうもしっくり来ない、そんな作品でした。
史実を仕込む
実在した労働運動指導者をからめて、エノーラの八面六臂の活躍を描く。
2時間以上あったがエノーラがこっちへ話しかけたり、シームレスに回想へ飛んだり、パタパタと状況を切り替えたり──で飽きさせなかった。
貧しい女工たちのために権力と闘う構図が共感を増幅させる。
とりわけ姉サラを探してほしいと依頼してくる少女ベッシー。Serrana Su-Ling Blissという子役。いい顔に一瞬で溶かされた。
マッチ工場というのもシンパシーをくすぐった。思い浮かべたのはアンデルセンのマッチ売りの少女。街頭で少女がマッチを売っているシーンをもっと積極的に挿入したら日本レビュアーの評点はさらに上がったにちがいない。
婦人参政権をもとめて闘った女性たちを描いたキャリーマリガン主演のSuffragette(邦題:未来を花束にして、2015)を彷彿とさせるところもあったが、シリアスへは振らない。あくまでジュブナイルっぽい軽さを貫いた。
デヴィッドシューリスがうまい。腹汚い警視役だが、いかにもな醜悪さを誇張しつつ、笑える。悪辣を体言しながら、けっこうまぬけ。──さすがだった。
wikiによると実在のサラ・チャップマンは1888年、Bryant&Mayというクイーンのギタリストみたいな名前のマッチ工場で、劣悪な環境と労働者にたいする虐待に対抗しストライキを先導した──という。
本編はその実際のイベントを巧みにストーリーに組み入れていた。
ところでサラ・チャップマンの曾孫にAnita Dobsonという女優がいる。2022年現在、73歳。彼女の旦那は2000年から元クイーンのギタリストBrian Mayだそうだ。
シャーロック兄妹の冒険
火はたった一つの火種から起きる = 結束した女性の力!社会派エンタメ・ミステリー
これはゲーム!ルールが分かれば面白い
友人が必要、みんなですれば怖くない!何でもかんでもカメラに向かって言うのイタいし、相変わらずハマりきらない語り口のトーンではあるけど、アクションありミステリーあり特盛りエンタメ。おまけに女性の権利向上という社会派。Netflixオリジナルといったらミリー・ボビー・ブラウン?力の入った本編尺。ヘンリー・カヴィル演じるシャーロック・ホームズも前作より見られるし大活躍!…ということはモリアーティも?ヘレナ・ボナム・カーター演じる過激派なエキセントリックママも彼女らしくてハマり役。英国コンテンツを描くにはハリポタ・キャストは避けられない?? 髪型は変なまま本当に厄介な子に育った。ドラマ『ピストル』シド・ヴィシャス役の人か!
兄妹の絆が映えるシリーズ2作目
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