「史実を仕込む」エノーラ・ホームズの事件簿2 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
史実を仕込む
実在した労働運動指導者をからめて、エノーラの八面六臂の活躍を描く。
2時間以上あったがエノーラがこっちへ話しかけたり、シームレスに回想へ飛んだり、パタパタと状況を切り替えたり──で飽きさせなかった。
貧しい女工たちのために権力と闘う構図が共感を増幅させる。
とりわけ姉サラを探してほしいと依頼してくる少女ベッシー。Serrana Su-Ling Blissという子役。いい顔に一瞬で溶かされた。
マッチ工場というのもシンパシーをくすぐった。思い浮かべたのはアンデルセンのマッチ売りの少女。街頭で少女がマッチを売っているシーンをもっと積極的に挿入したら日本レビュアーの評点はさらに上がったにちがいない。
婦人参政権をもとめて闘った女性たちを描いたキャリーマリガン主演のSuffragette(邦題:未来を花束にして、2015)を彷彿とさせるところもあったが、シリアスへは振らない。あくまでジュブナイルっぽい軽さを貫いた。
デヴィッドシューリスがうまい。腹汚い警視役だが、いかにもな醜悪さを誇張しつつ、笑える。悪辣を体言しながら、けっこうまぬけ。──さすがだった。
wikiによると実在のサラ・チャップマンは1888年、Bryant&Mayというクイーンのギタリストみたいな名前のマッチ工場で、劣悪な環境と労働者にたいする虐待に対抗しストライキを先導した──という。
本編はその実際のイベントを巧みにストーリーに組み入れていた。
ところでサラ・チャップマンの曾孫にAnita Dobsonという女優がいる。2022年現在、73歳。彼女の旦那は2000年から元クイーンのギタリストBrian Mayだそうだ。
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