「"破壊"」ナイブズ・アウト グラス・オニオン とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
"破壊"
ライアン・ジョンソン×テクノロジー=ネット民の次は、内実は薄っぺらいくせに自分はオニオンみたいに何層にもなった複雑な人間だと思い上がってはまるで自分が固定観念をブッ潰す"破壊者"ぶってる連中をネタにこき下ろす?
何があったか見たろ?往年ミステリー作品の形式に倣いながらも、あくまで中身は現代らしい要素で構築されていて、ミステリー"謎解き"それ自体が必ずしも肝心ではないところがいい。そのことであれこれと露呈しブツかり合う人間の滑稽さこそ醍醐味。金持ちのゲームに振り回されるクソ頭たちを見てご満悦な私たち。この復讐劇、お見事!主人公が男キャラということもあるかもしれないけど、前作の嘘をつくと吐いちゃうアナデアルマスの次は酒を飲むと大活躍する女性キャラ?! それによって見え方の変わる後半。温故知新で物申す本シリーズを見ていると、ライアン・ジョンソンが自分に似て、モノの見方曲がってそうだなと思えて勝手に親近感。
"内満たし"てくれるもの、それは極めて退屈な明白さの裏に隠れている。舞台はコロナ禍当初の2020年5月、ロックダウン最中。観察力に富み、ウェス・アンダーソン的ファッションを好むブラン in ブロン?ジェームズ・ボンドをやり遂げ有終の美を飾ったダニエル・クレイグの次なるシリーズ。頭がすごく良いかはさておき、時事ネタも交えた小粋なセリフのやり取り・掛け合いから映画ファンが熱狂するような気の利いた"謎解き"を今日撮らせたら右に出る者はいないライアン・ジョンソン監督オリジナルシリーズ待望の2作目。なのにもうフォーマットができてきているかのような安定感。成功した前作と同じ作りをなぞりながらも、やっぱり真実は眼の前にある。時間はかからない、あっという間にその面白さに魅せられる。
今度は招待されて"集められた〜"モノ。メソッド俳優エドワード・ノートン演じる大富豪マイルズ・ブロンの金の乳房をくわえている有名人たち。彼に名前を出されるセレブリティは同じくメソッド俳優でやり過ぎ伝説残しているジャレッド・レト、本当は同じくMCUで活躍していたかもしれないジェレミー・レナー、そしてサスペンス/ミステリーと言ったらこの人なギリアン・フリン。最後はスカッとする!腕をクロスさせて中指突き立てるの流行りそう。モナリザのように皆が話題にするようなことに関わりたい不滅の精神は、作品を彩る名曲たちとして出ているわけだけど、まさか最後に本当に"グラス・オニオン"で終わるなんてね、粋だ。
友人、破壊者
This is a smokeless garden.
P.S. サプライズ・イーサン・ホークにヒュー・グラントも