「※超ネタバレしてます、映画未視聴の方は閲覧されないことをオススメします」忌怪島 きかいじま tabotyokoさんの映画レビュー(感想・評価)
※超ネタバレしてます、映画未視聴の方は閲覧されないことをオススメします
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舞台は日本の南のほうの島。
この島には"ユタ"と呼ばれる民間霊ばい師(シャーマン)が住んでいます。
(ユタは、沖縄県と鹿児島県奄美諸島のシャーマンのことで、彼らは霊的問題や生活の中の問題点やアドバイス、その解決を生業とする人たちのことです。[Wikipediaより引用])
その島に、天才脳科学者の主人公・片岡友彦が、「シンセカイ」と呼ばれるVR研究チームのチーフである脳科学者にチーム参加の依頼をされ、訪れます。
(同じ頃、父親が急逝してしまい遺骨を取りにきたヒロインと友彦は運命的に出会います)
ところが、友彦がシンセカイに訪れたときにはチーフの女性は亡くなっていることを知り、驚きます。
またシステムエラーや赤い何かが映るバグが発生するようになり、その赤い何かは仮想空間だけでなく現実世界にも現れるようになります。
VRチーム(と巻き込まれた島民たち)の
命がけの謎解きと、襲いくる何かへの抵抗が始まります。
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謎は映画が進むにつれ解明されます。
●シンセカイのチーフ、亡くなった女性・井出文子が研究していたものとは?
「ブレイン・シンクロニシティ」。
脳のデータを他人と共有できるというもの。
脳に蓄積された記憶や思考、感情まで共有できる
システムのこと。
他人が主観的に感じた喜怒哀楽や恐怖を
シンクロすることができ、
仮想空間では100%相手と同化が可能。
(2023年5/1発売のムック、「異界Walker」の
転載記事より引用)
●赤い何かの正体
「イマジョ」。
イマジョとは奄美大島の本当に
伝えられている伝説のことです。
むかし、農奴であった女性・イマジョは
たいへん美しい女性でした。
豪族の主は美しいイマジョを見初め
無理やり関係を持ちます。
不貞に気づいた奥方が激しく嫉妬します。
そしてイマジョを納屋に呼び
閉じ込め、拷問の末、◯害してしまいます。
非業の◯を遂げたイマジョは
怨霊となり、島に呪いをばら撒き
豪族の一族を次々に呪い◯していき
その一族は根絶したそうです。
(正直…これには胸がスッとしました)
●システムエラーはなぜ起きた?
島民の一人、シゲルというお爺さんのせい。
シンセカイの心臓部たるコンピューターに
シゲルお爺さんの脳のデータが
勝手に混入されていました。
●シゲルお爺さんとは? 目的は?
シゲルお爺さんは、島で村八分に遭っている
お爺さんのことです。
彼がなぜ村八分に遭っているのか。
それは彼のお母さんが
「イマジョ憑き」だったからです。
イマジョ憑きとは、イマジョのように
島に揉め事・争いごとを起こす火種のようなもの。
シゲルお爺さんのお母さんがどんな
揉め事を起こしたかは省きますが
シゲルお爺さんはイマジョ憑きの親の子
というだけで
ずっとずっと村八分のままです。
シゲルお爺さんの目的は
再び島に災いを撒くことでした。
●金城リンさん
シゲルお爺さんに優しくする島で唯一の
女子中学生。
とても優しい女の子。
しかしシゲルお爺さんに優しくするせいで
彼女も「偽善者」とそしられます。
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後味の悪いホラー映画でした。
主人公とヒロイン、
そして金城リンさんのラストをみると
なぜこんな終わりにしたのかなと
悲しくなってしまいます。
感じ方は人それぞれでいいのでしょう。
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※ここから読み飛ばし推奨です
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【私の個人的な解釈】
問、主人公とヒロインはどうなった?
答、彼らは仮想空間の世界にいる。
根拠①二人の腕に光る英数字が浮き上がったから。
根拠②現実世界で燃やした鳥居が海の中にあるから。
根拠③誰もいない船。おかしい。
根拠④イマジョを連想させる「鎖を引きずる音」が
したから。
…とある方のブログでは、『二人は仮想空間に囚われた』と解釈してましたが、私は違うと思いました。
私は
彼らは進んで仮想空間の中に留まることにした
と思いました。
理由は、主人公とヒロインは
もともと人のいる世界が好きではないからです。劇中で言っていだと思います。
ではなぜ、この二人は共にいるのか。
ここからは勝手な想像ですが
主人公はヒロインが。ヒロインは主人公が【必要】と思ったから、『二人だけの世界=彼らにとっての理想郷』に行ったんだ
と思いました。
たとえイレギュラーな存在のイマジョがいたとしても。(この時頭に浮かんだことは、旧劇場版エヴァンゲリオンの「まごころを君に」のラストシーンでした。シンジとアスカだけが存在する世界)だからメリーバッドエンドなのかなと思いました。
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もう一つ。
問、金城リンは、なぜイマジョを磔にした鳥居がある海の中へ入って行ったのか?
答、分からない、です。
これは私は分かりませんでした。
無理やり考えるなら
金城リンさんは、シゲルお爺さんのお母さんの
生まれ変わりだったのかな、と。
生前のシゲルお爺さんのお母さんは、
息子にたくさん迷惑をかけ、さらに息子の貞操まで見境なしに奪おうとした自分をとても恥じて
◯してくれと頼んだように見えたので、
転生したら何があっても絶対に味方でいてあげよう、
何をしても許してあげよう、
そして彼がこの世を去ったなら
喜んで後を追いかけよう、
そういうお母さんの気持ちがリンさんを突き動かしたから、ああいうラストだったのかなと思いました。
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後味が悪くても
バーチャル世界と現実世界の行き来、
ユタのようなスピリチュアル、
哀しい伝説がお好きな方には…少しオススメです。
長々すみませんでした。
ここまでのご一読お疲れ様です。そして
ありがとうございました。