劇場公開日 2022年8月19日

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「突っ込みどころは多いと思いきや、今度は高度な知識を要求されたりグチャグチャ…」バイオレンスアクション yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0突っ込みどころは多いと思いきや、今度は高度な知識を要求されたりグチャグチャ…

2022年8月20日
PCから投稿

今年247本目(合計523本目/今月(2022年8月度)23本目)。

ここでも評価があれているこちらの映画。
私もそうですが、少なからずの方が、去年スマッシュヒットした「ベイビーわるきゅーれ」の存在は認識して見に行かれたと思います。

その前提で見ると、アクションシーンが薄く(もっとも、「ベイビー~」のまひろさん役はリアルでスタントパフォーマー(男女を問わない言い方)であり、事情は異なる)、それこそ発展途上国で作ったアクション映画で無理やりあっちこっちCG処理したんですか?みたいな、素人目にみても珍妙なシーンが進みます。

一方で原作が存在するようで、そのストーリーにはそう必要があるため、ストーリーは簡単に曲げられない事情もあります。この点に関しては若干わかりにくい点はあるものの、結局究極をいえば殴り合い祭りであり、ある程度映画の時間にあわせてストーリーを詰めたり、延ばしたりしているのだとは思いますが、あることないこと書けませんので、ここは淡々と進むし、ストーリーの「趣旨」としては理解はしやすいほうです。

ただ、少なからずの方が前提として持たれていた「ベイビー~」と比べると、CGでの「ごまかしよう」がすごく(ただ、まひろ役の方と同一視することは、実際フェアとは言えない)、いわゆる「ファン枠」(この方、ある程度ファンがいらっしゃるそうです)と思いきや、設定上「日商簿記検定2級を目指している」ということになっているため、突如恐ろしくマニアックな話をしたり(視聴者側も、大改訂された後のリアル2級以上を持っているか、少なくとも学習中、でないと、大混乱する)、「どういうターゲット層を想定しているのか」が謎です…。

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(減点1.0/映画に対する期待の裏切り)

 ・ まぁ、固有名詞…というか、もう出していますが、少なからずの方は「ベイビー~」や「ガンパウダー~」などの、いわゆる女性が活躍するアクションもの…と解して見に行かれたと思います。その点は確かにそうですが、いろいろなところをCGで無理やり修正したり飛ばしたりしているので違和感がすごいです。
この観点では「事実上、この主演の方の応援枠なのか?」とすら思えます。

(減点0.2/いきなり簿記会計のマニアックな話をするシーン)

 ・ ここも多くの方にはきついです(私自身は日商簿記2級と行政書士試験合格(商法会社法も出題される)の知識です)。

 「決算日には為替日のレートで仕訳を…」という部分(後半、「ある方が」(ネタバレ回避)教えているシーン)。「決算日」「仕訳」などは簿記会計を知らなくてもある程度わかりますが「買掛金」などは簿記3級(リニューアルされた日商簿記3級では、従来の個人商店想定から、ごく小さい株式会社想定に代わっています)でも知らないときついです。その上に、この話は結局「外貨取引の決算日の仕訳」という話であり、今は「簡便処理」が2級の範囲、原則処理は1級以上(あるいは、公認会計士や税理士など)というところです。

 このあたり、最低限の知識もないと「何の話をしているか不明」になってしまうのが正直きついです…。「ファン向け映画」と解するなら、そこまでマニアックな話をする必要もないでしょうに…(日商簿記2級でも3級寄りの話(伝票会計など)でもできたのに…)。
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 (参考/ストーリー内での「決算日には決算日のレートで仕訳」の話)

 ・ 今では大企業ではなく中小企業でも普通に外国の会社とやり取りすることが増えてくるようになりました。このため日商簿記検定もそれに対応するようになりました。ただ、処理が複数あることなど、また複雑な論点などが多数存在するので、「2級では簡便処理のみ」の扱いであり、リアル日本でも「日商簿記2級」を事実上のゴールにしている方は実際多いので、「それがあたかも正規の処理」と思われるかもしれませんが、実際には違います。

 何か外国から商品などを仕入れたときには、その取引成立日のレートで仕訳が行われます(煩雑になるし読みにくいので、仕訳は省略します)。しかし、為替レートというのは毎日動いているので、決算日にはその日のレートで仕訳をやり直す必要があります。このとき、すでに取引は成立しているので、レートの差(得になる場合、損になる場合、両方)を考える必要があります。
映画内で述べているのはこの「決算日に何の仕訳をするのかの話」です(実際には、そこに為替予約(決済日にレートがどうであろうが、このレートで決済する、という「固定レート」の予約を入れておくこと)が入ったらどうするか?などの細かい論点までありますが、そこまでは映画内では出てこない)。

 (※参考) 実際に行政書士資格を持って働いている方はいくつかの分類がありますが、ひとつのパターンに「会社の設立、定款作成などにかかわる」というものがあります(会社の登記(商業登記)は、司法書士にしかできません)。この場合、その性質上、一緒に仕事をする「士業の方」は、弁護士の方など以上に、その性質上、税理士・公認会計士などの方になります。また、何かの文書作成の代行(行政書士本来の業務)にしろ、この類型ではどうしても簿記会計の知識がいります。

 このとき、簿記の「貸方・借方すら分からない」と、実際、支障をきたしますので、この類型で働いている方は日商簿記2級以上を持っていることが多いです。

 ※ そして、日商簿記2級合格→行政書士試験 の場合、日商簿記2級の簿記会計の知識(一部、商法会社法にかかわることも学習する)で、行政書士試験の商法会社法(20点)が取れることがあります(令和3年の場合、8点(2問)はそれだけでとれた)。

yukispica