劇場公開日 2022年11月3日

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ヒューマン・ボイスのレビュー・感想・評価

全21件中、1~20件目を表示

3.5演劇と映画の融合を試みる実験的手法を楽しめるマニア向き

2022年11月13日
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鑑賞方法:試写会

知的

文芸分野の創作のほか画家や映画監督としても活動したフランスの芸術家、ジャン・コクトーが1930年に発表した戯曲「人間の声」を、スペインのペドロ・アルモドバル監督が翻案して実験的な短編映画に仕立てた。「ティルダ・スウィントンによる一人芝居」という紹介もどこかで目にしたが、一度だけ外出して買い物をするシークエンスでは店員との会話もあり、厳密な一人芝居ではない。それに、元恋人が飼っていて女の部屋に残されたという設定の犬も、なかなかに達者な演技でスウィントンをサポートしている。

元が戯曲ということもあり、撮影スタジオ内に作られた部屋のセットの壁(=パネル)の裏側を意図的に見せるなど、劇空間の虚構性が強調されている。女がかつて同居していたであろう男から冷たくされ、精神安定剤を大量摂取し、破壊衝動にかられていくのか、あるいは役にのめり込むあまり精神に変調をきたしている女優の役をスウィントンが演じているのか、どちらにも解釈可能だろう。演劇と映画の融合を試みるセットの点で、ラース・フォン・トリアー監督の「ドッグヴィル」「マンダレイ」を想起させもする。

本編30分なので、同じ日に日本公開となったアルモドバル監督の「パラレル・マザーズ」と併映かと思ったら、この一本で一律800円の鑑賞料金だとか。尺は短くても実験的な作品に価値を見出せるマニア向きという気がする。

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高森 郁哉

3.5【”貴方は必ず帰って来た。三日前までは・・。”恋人に捨てられた女性の見栄と本音の狭間にある怒り、哀しみ、無力感をティルダ・スウィントンが一人芝居で圧倒的な存在感で魅せる作品。】

2023年10月22日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

 - コロナ禍の中、ペドロ・アルモドバル監督がジャン・コクトーの『人間の声』を翻案した、電話での会話劇だけで展開するドラマ。 -

■スーツケースを取りにくるはずの元恋人を待ち続ける女性。
 傍らには、主人に捨てられたことを理解していないイヌがいる。
 元恋人を待つ3日間で1度だけ外出した女性は、斧と缶入りガソリンを買ってくる。
 彼女は無力感にさいなまれ、絶望し、やがて理性を失っていく。
 が、そんな時、元恋人から電話が掛かって来て・・。

◆感想

・元恋人に対し”機械人形みたいな私”と言ったり、ありもしない見栄を張ったりする真っ赤な服を着た女の愚かしさ、哀しさ、虚しさをティルダ・スウィントンが独り芝居で魅せる作品。
ー 真っ赤な服は女の情熱的で、激情的な性格を暗喩しているし、実際に彼女はその様な行動を取るのである。ー

・全ては舞台セットの中で進行していく。

<ペドロ・アルモドバル監督は、そんな彼女に部屋の中にガソリンを撒かせ、火を付けさせる。
 そして、女は男のモノだった筈の犬を”ダッシュ”と呼び、燃え盛る舞台セットを後に、自由なる世界へと足を踏み出させるのである。
 それにしても、本作のフライヤーも含めて、ペドロ・アルモドバル監督の豊かなる色彩感覚には驚かされるし、そのような中で真っ赤な服を着たティルダ・スウィントンの一人芝居が冴えわたる作品だと私は思うのである。>

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NOBU

4.0ささやかな、圧巻

2023年3月3日
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鑑賞方法:映画館

ドールハウスのような舞台、独り芝居、かっこいいファッション、主人公の抑えられない感情。
驚かされるし、時間あっという間だし、満足感高かった。
やー見事なお芝居って感じ。
豪華。

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しゅま子

3.5原作を知ってた方が良いのかも

2022年12月4日
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鑑賞方法:映画館

あまり知識を入れずに見たからか、劇の良さを映画でどう活かしてるのか分かりにくかった
監督の解釈も分からなかった

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moto

4.0スペイン巨匠監督が紡ぐ"現実から目を背ける女"が死者と対話する映画

2022年11月22日
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鑑賞方法:映画館

 同じペドロ・アルモドバル監督最新作『パラレル・マザーズ』と同時公開の本作。かたや恋人との別離後の僅か四日間でそれまでの四年間の甘い日々と比べ物にならないほどの怨嗟を溜め込んだ女性の魂の恨み節、もう一本は我が子と親友の子との産院での取り違えを悟った女性が真実を打ち明けるか悩み苦しむ姿に"過去の独裁政権の積弊を忘れるべからず"という政治批判の意思を託した社会派作品。同じ監督の手による作品ながら全く情緒の違う作品に仕上がっています。
 奇しくも、現実を受け入れることを全力で拒絶する女性の、そして現実に苦悩しながらもそれを受け止める覚悟を示す女性の、それぞれコントラストの利いた2本になっているところが面白いところです。
 "芸術のデパート"ことジャン=コクトーが1930年に発表した戯曲『 La Voix humaine(人間の声)』をアルモドバル監督が現代風にアレンジした30分の短編映画。
 主演のティルダ=スウィントンのほぼ一人芝居で、監督初の英語作品とのことでございます。
 原作は、5年間付き合っていた恋人から他の女性と結婚するために別れを告げられた女が彼からの電話を受けて疑い・絶望・愛の告白・非難を浴びせたうえ、電話のコードを首に巻き付けて自ら命を絶つ…というもの。
 その原作の余情に囚われた展開に比べ、本作では未練のみならずその裏返しの憎悪すらも吐き出し切って一切の余韻を残さずに別の人間に人為的に転生しようかというぐらいの狂気的な意気込みを感じます。
 別れた恋人の表象としてはただ電話口だけですが、それに対して彼女は言葉を尽くすのみならず斧(過去三日間唯一の外出の証)を彼の残したスーツに振り下ろし、全身全霊で己から彼の成分をデトックスしようとしているかのようです。
 あるいはそれだけ吐き出し続けてもなお元恋人に囚われている自らの身を恥じて業火に晒そうとしたのでしょうか...。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

4.0良い

2022年11月18日
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映画を観た。
出演者を揃え、長時間に渡り演技を見せずとも
出演者を限り短時間でも見せることのできる映画が作れると言う事実をいたく感じた映画だった◎
魅せる映画は結局詰まるところ、原作脚本クリエイティブ次第ということなんだろう。

個人的には色んな意味で新しい発見に満ちた観賞だった!

感謝

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tomokuni0714

4.0タイトルなし

2022年11月13日
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鑑賞方法:映画館

耳を舐めないで!

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NAO

3.030分の感性的映像美。

2022年11月12日
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鑑賞方法:映画館

男に別れを告げられた女の話。
男がスーツケースを取りに来るのを待っているらしい。
斧を買ったり、ガソリンを撒いたり、火をつけたりとちょっと物騒だが、途中で寝てしまった…。
長編映画を撮るための習作のようなものかもしれない。セットや衣装などの色彩が美しく目を引く。
「パラレル・マザーズ」と合わせてみると、ペドロ・アルモドバル監督の映像世界を理解することができる。

#183

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caduceus

2.5悪くはないけどこれで800円取るのはどうなの?!

2022年11月9日
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点数は低いけど、内容は決して悪くないんです。
主人公の電話片手に話す1人劇は素晴らしいし、とんでもなく難しいことをしている。様々な想像を膨らませてくれる余白も残してくれている。それに、インテリアもポップで芸術的。
見ていて楽しいんだけど、800円を払って見る価値はあるのかと問われると…NO!!

隙間時間とか、次の予定まで時間があって、ちょうど予定が合えば見るのもあり!な、作品。

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あさ

3.0久々に普通の人間の役だと思ったらそうでもなかった

2022年11月6日
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鑑賞方法:映画館

ここ最近拝見したティルダ様の役柄が、声だけで謎の遺跡を延々と見せてくる役だったり、謎のパワーを使う役だったり、謎の生命体を追う役だったりしていたので、人間らしい生活をしているティルダ様をかなり久々に拝見した気がする。
相変わらずイケメンすぎる。自分が雑貨店の主人だったらティルダが斧を持参してきた段階で平伏する。オーラが違いすぎる。もう無料で持ってってくれってなる。
そんな30分。

出てくる人はほぼほぼティルダとワンコしかいない。ラストにちょろっと顔見せる程度の数名。それまでは延々とティルダの独擅場。

珍しく普通の人間らしい役だな、と思っていた頃もございました。
やはり、普通の方ではなかった。

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BONNA

3.0アルモドバルとスウィントンとは言え、、、

2022年11月5日
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「パラレル・マザーズ」と続けて観たペドロ・アルモドバルの30分の短編。ジャン・コクトーの戯曲「人間の声」を翻案した初の英語作品とのこの。

そしてこれはティルダ・スウィントンの独演。家を出た男と電話で交わすかなりイタい会話劇。

アルモドバルの美術とスウィントンの名演を味わうも、何しろ尺が・・・

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エロくそチキン2

3.0オシャレ♪

2022年11月5日
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鑑賞方法:映画館

ポスターのイメージ通り、オシャレで変わった映画です(笑)

時間は30分ですが、意外と長く感じました。

ほとんど、ティルダ・スウィントンの1人芝居で、

同じく、トム・ハーディーの1人芝居で進む、

『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』を思い浮かべた。

まあまあ(笑)です(笑)

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RAIN DOG

2.0キレてます。

2022年11月4日
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悲しい

怖い

難しい

突然姿を消した男を待つやさぐれ女の話。

斧を買い部屋で待ちつつ荒ぶり始めた女の電話に着信が…。

倉庫の様な広~い部屋にセットのような壁という、ちょっと変わった家かと思ったら、鳥瞰でみせる描写とかをみるに、アーティスティックに表現しているだけで、実際はそうではない体なのかなこれは…。

やっと掛かってきた電話にブチ切れて、やば~い主張を捲したてたりもするけれど、まあ、言いたい気持ちは良くわかる。
しかしながらその中にも見える言いくるめられる弱さ…そして電話も切れてます(´・ω・`)
その後はイッチャッてる様でもあり、コロッと切り替わってしまった様であり、なんか中途半端なかんじもしてイマイチしっくり来なかった。

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Bacchus

3.5ずっと引き込まれたまま見てました 最後は、突然まともになった?

2022年11月4日
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ずっと引き込まれたまま見てました

最後は、突然まともになった?

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jung

3.5ポップなティルダ・スウィントン

2022年11月4日
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萌える

アルモドバルの色使いが、私はやっぱり大好きです♡

ここまでティルダ・スウィントンをポップに撮るとは思わなかった。斧ですらもポップでした。彼女の狂気がちょっとお馬鹿な初期アルモドバルテイストになっていて、一流の監督と俳優はこうやって融合するんですね。

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ミカ

3.0本当に通話しているのか疑ってしまう、妄想なのでは?と。 彼氏を殺め...

2022年11月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

萌える

本当に通話しているのか疑ってしまう、妄想なのでは?と。
彼氏を殺めてしまったのか去ってしまったのか、色々と彼女の狂気を想像してしまう。
ティルダ様リップつけてからのパパパパがキュート過ぎて萌え死ぬー

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UPtwHmNNLjBjFuAF

4.0昔にコクトーの原作を読んでいたので

2022年11月4日
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コクトーの意向とは大分違ってアルモドバルらしく自由に演出されているのが良かった(特にラスト)

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m m

3.0理性を失った人間の狂気

2022年11月3日
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公開初日に鑑賞。一人芝居で魅せる30分の短編作品。女性の揺れ動く感情や理性を失った人間の狂気を限られた時間の中で上手く表現している。
2022-199

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隣組

2.0振り切れてない。

2022年11月3日
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鑑賞方法:映画館

ティルダ様は本当に仕事楽しんでるなぁと思う。
かなりの低予算インディーズ実験映画から、ハリウッド超大作まで、、、声がかかることも凄いし、両立してるのも凄い。ギャラも内容、予算にフレキシブルにしてるんだろうな。

そんなティルダ様の比較的実験色の濃い作品。
ロケもしてるけど自室はあえてスタジオのセットまんま解るように撮っている。
現実と虚構が交錯してますが芝居自体は男に捨てられた女の嘘と見栄と本心そして居直り、立ち治り。
わりとベタな感じで彼女の1人芝居+犬を追った30分。

色は美しかったが構図にキレがなく、割と撮影自体はふつうに見え、、、中途半端な感じがした。
まあ、普段感情的な演技が少ないティルダ様だが本作はかなり人間ぽくて、そこが見所と言えるかもしれない。

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masayasama

4.0私の手の延長線上にある工具

2022年11月3日
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泣ける

知的

赤、緑、青とクリアな服の色に20年代のインテリアの部屋。スウィントンは身体も衣装も顔も頭部もOsker Schlemmerの世界。だから/でも通信もコーヒーも現代。殺し抹消するのは古代からの方法。交わした愛の言葉も古代からの手段、手紙。嘘をつき私は大丈夫、でも本当は違う、何も食べずどこにも行かず待っていた。なんでわからないの?モダンな室内の裏は舞台の書き割り。化粧し着替え髪を洗い犬と電話の向こうに語る台詞。色んなことを思い出して考えた。年とった女ってそんなに悪いの?

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talisman