劇場公開日 2022年6月10日

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「ラストの床屋のところはよかった」はい、泳げません ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ラストの床屋のところはよかった

2022年6月19日
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思いの外綾瀬はるかは単なるコーチでドラマは阿部純子と麻生久美子のほうだった。それはそれでかなり豪華な使い方か。綾瀬はるかよく引き受けた。悪い意味でなくマシーンのように精悍なコーチ。ギャグのような弱点も見せはするが、スイミングのおばちゃん一同含めて人間というよりスイミングプールの妖精のよう。『おらおらでひとりいぐも』の心の声の具現化に近い。

テンポよくそしてトリッキーな演出(決まってはいる。特に分割画面のフリと回収、手を伸ばす、力を抜く、上に進む、など水泳と哲学を運動とギャグに置き換えるとこ)、音楽も小気味良く前半はいいテンポで進むが、この飛ばし方だと続かないな、と思うとトラウマ話になり、そもそもなんのリアルな話でもないので、とってつけたような欠損回収の展開になり、面白みがなくなる。宣伝展開の軽やかさと違うのでここで皆引っかかるのではないだろうか。タイトルからすると子供の溺死は絵面でみても主人公のトラウマとしてもかなりフィクションがかっていてそこまでの共感は得られない気がする。それだけの重みは冒頭でないもんな。
ただ、ラスト閉店時間に床屋に入ってくるワンカットは西部劇のようでとてもよかった。

ONI