「城定監督作品で、初めてイマイチと感じた映画」ビリーバーズ beast69さんの映画レビュー(感想・評価)
城定監督作品で、初めてイマイチと感じた映画
城定監督の映画が好きで、上映されると必ず観に行きます。今年前半に観た『愛なのに』も予想以上に面白かったし、その次の『女子高生に殺されたい』も見どころ豊富な良作でした。今回の新作は原作が山本直樹、更に本人出演も有り!これは観るしかないでしょう。私は遥か昔、山本直樹の新しい漫画が出ると、必ず買って読んでいたものです。そして、同好の友人と山本直樹作品について語り合った日々は、今では懐かしくも良い思い出です。この新作は良作に間違いない!と、観る前から勝手に予想して、映画館の席に座り、ワクワク気分でいました。
ところが、上映が始まって、10分、20分と経過しても、何か引き込まれるような場面が余り出てこない印象。上映前のワクワク感がだんだん消えてくるし、テンションが下がってきます。後の席では寝落ちしたらしい客のイビキ声が聞こえてきて、うむ、この内容だと疲れてたら寝落ちする人もいそうだと感じました。
そのうち、エッチな裸のシーンが増え始めます。私は貧乏暇無しながら、映画館が大好きなので、睡眠時間を削ったり、有休を上手く使ったりして、1年に150回ほど映画館に通っていますが、裸のシーンがここまで多い映画は無かった。人並み以上にエッチ好きな私は本来、こういう映画は特に引き込まれてしまうのですが、意外と個人的には不思議とエロい気分にはなれず終いでした。これは私が筋金入りのエロ好きで、エロい映像を観過ぎているのも原因の一つと思われますが、恐らく城定監督の優し過ぎる性格ゆえか、余りハードなエロ表現を出演女優に要求しなかった事も一因かもしれません。しかしながら、普段良く行く映画館の大スクリーンで、若い女性の美ボディを観るのは、さすがの迫力で非常に良いものです。エロい場面になると、何かに忖度してるのか、急に照明が暗くなる嫌がらせみたいな邦画が多いのですが、この映画はめっちゃ明るい映像ばかりというのも良いですね。「内容は置いといて、映画館で裸のシーンを多めに観たい」みたいな人にはオススメかもしれません。映画の中盤辺りで、後部座席にいたオタク風の30歳風の男性客が、もっと近くで見たいとばかりに、急に前の席に移動してきて、「おいおい、勝手に席移動するんじゃないよ」と思うと同時に、「だが気持ちは分かる」と思ったりもしました。
この映画、ハッキリ言って城定監督が初めて作った失敗作と感じました。山本直樹の原作が20年以上昔の作品だったため、カルト宗教の捉え方に時代性が強過ぎて、今では違和感があるからなのでしょうか。よく分かりませんが、この映画はリアルタイムで20年前に作られていたら、今とは評価が違っていたかもしれません。正直言って映画としての面白さが薄く、笑わせたいのか何だかよく分からない意図不明なシーンも多くて、何を伝えたいのか、映画的なメッセージ性も薄い。映画の中で現実と夢と妄想が入れ混じる箇所が結構出てくるのだが、それが効果的に上手く表現されてるという感じが無く、そこも違和感ありで、俳優陣もこの奇妙な台本を消化しきれてなさそうな印象があって、残念ながら世界に入り込めず、正直余り楽しめませんでした。城定監督の他の映画はどれも好みだっただけに、これは意外な結果でした。余り低評価はしたくないのですが、他のレビューを眺めると結構良い評価が多いのを見て、こんなレビューを書く人が1人いてもいいかな~と思い、辛口ですが低評価にしました。城定監督の次の新作が出たら、また観に行きます。次回は好きな作品になる事を祈ります。