「悲惨な話を観やすく」カラーパープル だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
悲惨な話を観やすく
シュグのパパ役の牧師は、ボーンズS6E4にゲスト出演したバンスン・デュード教授だね。すんばらしーってゆう科学番組のホストの人。歌える人なんだね。
(養)父に性的虐待され2人の子を産んだが、その子らは産まれてすぐにどこかに連れ去られ生きてるか死んでるかもわからない。この悲惨さがパワフルで生き生きとした音楽で若干薄められている。大変観やすい。
その事を歓迎していいものか迷う。
道行く近所の人が、セリーに子どもの名前決めた?って聞いてたけど、その子が誰の子なのかわかってて言ってんのかな?誰の子がわからんけど少女が妊娠させられる事があまりに普通で、なんか祝福ムードなんかな?とか思った。
助産師がウーピー・ゴールドバーグだったと思う。ちゃんとクレジット確認してないけど。
セリーはシュグと恋愛関係になって、というのがセリーの解放には大きな要素だと思うが、描写がまろやかでもっとしっかり女同士の恋を描いてほしかったなぁ。
あと、「カラーパープル」なのに、紫があんまり明確に出てこない。花の色もピンクっぽいコスモス系だし、洋服屋を開いてからのパッピーなダンスナンバーでのセリーの服を赤じゃなくて紫にするとかなんでせんかったんやろうと思った。
黒人である男たちも白人社会から差別されていてたいへんなんだと思うが、そのひずみを女を虐げる事に転嫁する様の醜悪さに、ずっーっと眉をしかめて観ていた。
とはいえ、彼らに何ができただろうとも思う。
みなさん歌がうまくて、音楽はどれも良かった。
日曜日の教会へ行こうの歌とか、パンツ屋の歌とか、単純に私も歌って踊りたいと思ったけど、黒人音楽は、奴隷労働の苦しみから労働歌ができて、そこからゴスペルやらブルースやらたぶんジャズもロックも派生していったはず。であるならば、その歴史の惨たらしさを理解せず、表面的にいいなと思って黒人以外が歌ったりするのは、やっぱり文化の盗用なのかな?
表面的でもいいと思う表現を使いたいと思うのは、私は悪い事じゃないと思ってしまうけど、特に白人がやると当事者はムカつくだろうなとも思った。
映画に関係ないけど。
あと養父の葬式で、性犯罪者をなんでたたえなあかんねんと思って腹立した。
そして、セリーが虐待されて産んだ子を愛することは、素晴らしい事だと思うけど、虐待されて産んだ子を愛せなくても、産んだ人は悪くないから、これ観て自分を責めないで欲しいと思った。
シュグの語る神は、一神教というより八百万の神っぽかった。陽の光にも花にも神が宿るて、まんま八百万やん、って思った。