「チョコレートのような完成度」ウォンカとチョコレート工場のはじまり えさんの映画レビュー(感想・評価)
チョコレートのような完成度
冒頭からミュージカル調で音楽と共にストーリーがスムーズに進行して退屈しない。映像自体がリズムになっているのでずっと楽しい。
全体を通してコメディ部分が全部ちゃんと面白い。とにかく全てがテンポ良く、彩りもよく飽きない。
世界観が絶妙なので、何があっても許される雰囲気なのは強い。細かい部分では指摘が入りそうな部分も、ケチをつける方が野暮だな。という感じで良い意味で見逃すことができる。
ストーリーも分かりやすく、しっかりとまとまっていて良かった。全ての謎や解決するべきことが、ちゃんと綺麗に回収されている。細かい伏線もこのリズム感で違和感なく回収されてると満足感が上乗せで良く見える。
例えばウォンカとヌードルが動物園に忍び込むときに、さりげなく「フラミンゴは先導が無いと動かない」とケチをつけておく。帰りながら二人で風船を持って踊るシーンは美しいが、彼らが舞い上がるのを見てフラミンゴ達が跡を追って飛び立つので、素晴らしい演出を作り出している。
映像の見せ方も楽しくて可愛い。
宿屋の部屋の窓越しで作戦会議する場面は、喋る順番に電気がつくのと、建物が内側に曲がっているの構造は普通無いと思うが、可愛くてとても良いと思った。
映像を見ているだけで別に笑うシーンとか関係無くとにかく楽しくて笑顔で鑑賞している自分に気付く。
また、楽しい、笑えるだけでなく感動シーンもしっかり泣ける。
チョコレートのことだけを学び、見てると正直チョコレートだけでなんでも解決できそうなウォンカ、そして作品通してチョコレートだらけだった本作だが、本当に大事なのはチョコレートではなかった。
実際にある板チョコにリンクすることで、これは現実に生きる我々へのメッセージでもある。(当然チョコレートだけの話ではない。)
ママを見ているウォンカ、ヌードルと母親の再会を見守るウォンカの表情がなんとも涙を誘う。
そして感動で終わるのではなくチョコレート工場への線引きを希望に満ちながら描いて終了。笑って泣ける最高のファミリー映画だった。
強いて気になるところを挙げるとすれば、どの登場人物もキャラが立っていた分、仲間のメンバーをもう少し掘り下げたり、活躍させて欲しかった。
あと、普通に会話を交わせるレベルの愛する息子に読み書きを教えてないママと、その息子にメモのメッセージを残したという部分なのだが、やはり指摘するの野暮か。