「繋がりのない新作」ウォンカとチョコレート工場のはじまり コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
繋がりのない新作
全編ミュージカル。
パディントン風味なハッピーストーリーで、ティモシー・シャラメの歌と容姿と魅力をたっぷり堪能できます。
ただし、ティム・バートン『チャーリーとチョコレート工場』に出てくるウィリー・ウォンカとは、同じ名前、同じスキルだが全くの別人。
主演俳優が違うとかの話ではなく。
厳格な父と決別したために家族の愛を知らないのが『チャーリー』のデップ・ウォンカ。
ところが、本作は母の愛で育ち、先に病死した母との約束を果たし、人びとを幸せにするためにチョコを作ろうとするのがシャラメ・ウォンカです。
人を信じ、人の苦しみを放っておけない優しい魔法使いというキャラ。
全くの別人なので、バートンの作品とは繋がりのない新作として捉えることにして観るのがおすすめ。
というか、おそらくこれは原作児童小説『チョコレート工場の秘密』と、その映画化であるメル・スチュアート監督の『夢のチョコレート工場』 (1971) の前日譚であり、バートン版とのリンクはないではないかと。
そして、ヒュー・グラントをはじめ、オリビア・コールマンやローワン・アトキンソンのコメディ・リリーフ具合も軽妙で楽しい。
ウォンカの母を演じるサリー・ホーキンスが本当にいいお母さんで、観てるだけでジーンとする素晴らしい演技。
ラストへ向かってハッピーな気持ちへと持っていくために、一度ならず主人公とその仲間たちを徹底的に陥れ、酷い目に合わせていくので、そこまで耐えられるかが鍵かな。
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