「マンハッタン計画を連想させつつ最後は『マトリックス』のちっぽけな模倣に転落」ドント・ウォーリー・ダーリン 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
マンハッタン計画を連想させつつ最後は『マトリックス』のちっぽけな模倣に転落
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1942年、テネシー州オークリッジに突然、何万人もの住民を擁する都市が出現した。マンハッタン計画における原爆製造の中枢施設として建設されたのである。住民の仕事は徹底的な秘密主義に貫かれており、後にアトミック・シティ(原爆の町)、シークレット・シティ(秘密都市)と呼ばれるようになった。
映画はこの街を連想させるかのように、住民は物質的に満ち足りたユートピアに暮らしながら、仕事は秘密で尋ねてもいけないとされる。流行歌や自動車、ファッション等から1950~60年代という時代設定で、原発製造のような不穏な場所であることを製作者側が暗示したがっているのがわかる。
このユートピアで何が製造されているかがまずは興味の中心になる。一種のディストピアなのかと見ていると、どうも違うようだ。現実生活の秘密云々というより、住民に心理的な操作が行われているようだと気付かされる。主人公が悪夢や幻覚を見る姿は、『マトリックス』に近いようではないか…。
話はその後、予想外の展開もないまま、結構あっけなく『マトリックス』のしょぼい模倣に転落していく。前半でいろいろ匂わせたのだから、少しは芸のあるところを見せて欲しかったが、驚くほどちっちゃくまとまってしまうのであったw
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