「良質のスリラー映画」ドント・ウォーリー・ダーリン 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
良質のスリラー映画
【鑑賞のきっかけ】
本作品は、予告編の不穏な雰囲気に興味を惹かれ、劇場鑑賞を決めました。
【率直な感想】
<違和感のある空間>
主人公アリスは、夫と優雅な生活を送っていた。
ところが、あることをきっかけに、悪夢とも幻想ともつかないものを見るようになっていく…という、いわゆる「スリラー」映画です。
アリスの暮らす町というのは、同じ企業らしきものに勤めている人たちの言わば、社宅。
社宅と言っても、日本のような集合住宅ではなく、庭付きの一軒家が並んでいる。
毎朝、その家の夫は、妻が見送る中、乗用車を運転して、出勤していく。
アリスを含め、家に残っている妻は、専業主婦らしく、家事をこなし、余暇はダンスを習ったり、隣近所の奥さんと会話をしたり…。
私が、この世界に最初に感じた違和感は、「スマホ」がないことでした。
電話は、旧式の有線のダイヤル式のもの。
そういう目で見てみると、使っている掃除機やテレビも何だか古めかしい。
時代で言うと、1960年代くらいの風景です。
そこで思ったのが、妻たちが全員、「専業主婦」ということ。
現代なら、例え夫が高収入でも、妻が働きに出るというのは珍しいことではありません。
これも、1960年代だから?
ストーリーは、どこを紹介しても、ネタバレになってしまうので触れませんが、主人公アリスの前に現われる事象がとにかく奇妙なものが多く、彼女のいる世界にはどんな秘密が隠されているのか、という興味で、物語にどんどん引き込まれていきました。
その「秘密」というのは、それほど斬新なものではないけれど、2時間という物語を十分に引っ張っていくだけの魅力に満ちた作品だと感じました。
【全体評価】
大抵の映画がそうなのですが、物語が終了すると、タイトル「Don't Worry Darling」が画面に映し出されます。
それまで、タイトルを余り意識しないで鑑賞していたのですが、物語の全てを知ったうえで、このタイトルを見ると、妙に納得してしまうのですよね。
そんな意味でも、印象的なスリラー映画でした。