「ミステリーの姫君」ドント・ウォーリー・ダーリン shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
ミステリーの姫君
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フローレンス・ヒューはミステリーに持って来いのキャラクターのようだ。小柄なぽっちゃり型の体型でチャーミングな容貌がシリアスな局面になった途端にその魅力が増す変わったタイプのヒロインである。今回もその役柄を十二分にこなし、ハマリ役とも言えるほど、人を惹きつける演技だった。
白々しいほどの豊かな生活環境に疑問を持つのは当たり前のように思える。全てが幸福に満ち溢れた環境だと人は不安になるのも当たり前のように思える。その「当たり前のように思える」世界が実は当たり前ではなく「誰かに与えられた」世界、作られた演出過多の世界だったといったヴァーチャル・リアリティを上手くミステリーに仕立てた佳作である。本能的な疑問と不安が見事に真実を暴き出す演出のやり方がこの監督の優れた力量だと思った。時代設定がアメリカが夢と希望に満ちていた豊かな1950年代にしていたのも納得が行く。
作品の終わり方が続編を匂わせるような感じだったので、もし実現するようなら、また鑑賞したい。作品もフローレンス・ヒューも次回を期待させる素晴らしさだった。サントラも中々良かった。
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