劇場公開日 2022年4月9日

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「死後20年間の「封印」に萌える。」見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界 masayasamaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0死後20年間の「封印」に萌える。

2022年4月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

彼女の存在を知ったのは2年前位に「神秘的な」で絵を検索してた時だと思う。幾何学的な模様と文字のような線、柔らかい色、、、まるで宇宙人の文字のような今まで見た事のない絵だった。気に入って名前を検索してAmazonで画集を購入した。洋書だったので詳しい経歴は分からないまま今回の映画を楽しみにしていました。

芸術史を変えるであろう彼女の作品は自然や物事の抽象化、、、いや彼女流にいうと本質を捉えるという事らしい。良い家の産まれ、知識人である父親の影響と庇護のもと学生時代から卓越した画力で自立し稼いでいた事に驚いた。パンフを見るとスウェーデンの美学校はパリの美学校よりずっと早くから女性も入学できたらしい、、それも凄いよね。
映画は彼女のプロフィールから作品遍歴、、そして再発見された後の美術界の動揺、、、神秘主義への偏見(当時はお金持ちの嗜み)、、自由なはずの芸術の世界でのジェンダー問題まで浮き彫りにされるのが面白い。
作品は売らずきちんと整理保管されていたようで、、なんで自分の死後20年間作品を封印したんだろう?、、まるで時限爆弾のようだ。プライベートな記録が極端に少なく疑問は残る。
今後ここまでの発見は美術界ではなかなか起きないだろうし、女性作家の発掘、地位向上は重要課題になった。

NYのグッゲンハイムで60万人を超える最高集客記録を打ち立て、ヨーロッパ全体では100万人が観ている今一番儲かる美術展、本人は質素な人だったからこんな状況は喜ばなかったかも知れないが、、、早く日本でも原画を観れる事を願う。

たぶん交渉は進んでるんだろうなぁ、、。

masayasama