「走り疲れたら頼れ」Gメン sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
走り疲れたら頼れ
彼女を作りたいという理由だけで名門私立高校に転向してきた勝太だが、彼が入ったクラスは問題児だらけで隔離されたG組だった。
一度G組に入ったら二度と上のクラスには上がれない。
それでも勝太は「プライドを守れ」と仲間に発破をかけながら、前向きに全力で生きていく。
ものすごく昭和感が漂う設定ながら、ノリは完全に令和である。
ギャグなのか真剣なのかよく分からない中間の展開が続くが、色々と展開にバラエティがあって楽しめる作品ではある。
見た目も垢抜けず、完全に軟派キャラだと思っていた勝太が、実はとても仲間想いで喧嘩もめちゃくちゃ強いというギャップが面白い。
漫画原作だからかそれぞれのキャラクターも立っている。
ドがつく天然だが文武両道で性格も文句のつけられないイケメンの拓美。
プロレスオタクの肝田に、昭和感あふれるヤンキーの梅田、演じるEXITのりんたろー。そのまんまのキャラの薙、勝太に恋心を抱く空手の達人伊達、そしていつも車をぶつけてばかりいるが実はGメンのヘッド八神。
一方女性のキャラクターはステレオタイプであまり面白みがなかったが、G組の担任の雨宮は演じる吉岡里帆が振り切っている分かなり印象に残った。
この作品が大切に描くのは仲間との絆だ。
勝太はかなり強い。
が、彼は仲間を想うあまりに一人で全部を背負おうとしてしまう。
一人で得られる強さには限界がある。
八神が勝太にかける「走り疲れたら頼れ」という言葉が心に残った。
人に頼ることは決して弱さではない。
本当の強さとは自分を信じて走り続けることだが、疲れた時は誰かに頼っていいのだ。
個人的にはノリが合わない部分もあったが、全体的に高評価なのも頷ける作品だった。
田中圭の高校生姿は絶対違和感あるのに、世界観にうまく溶け込んでいるのは面白かった。
が、よく考えるとこの作品に高校生らしい俳優は一人もいないのではないか。
尾上松也のサイコパスっぷりもはまっていた。