「傑作なのでヒットして欲しい」BLOODY ESCAPE 地獄の逃走劇 桜春さんの映画レビュー(感想・評価)
傑作なのでヒットして欲しい
個人的にテレビアニメのエスタブライフは面白くなかったのでそのスピンオフという事で最初は本作に興味がなかった。個人的に合わないギャグキャラが多かったのと社会経験のない女子高生達が社会人より超有能という使い古された設定にちょっとうんざりしていたので。
しかし、改造人間VS吸血鬼VSヤクザというインパクトあるキャッチコピーと予告編の作画が良かったので念の為見に行った。
結果かなり傑作。相当面白かった。エスタブライフの主人公である女子高生逃がし屋達は要所にしか出て来ず有能さの片鱗を見せるだけなので本当にちょうどいい登場具合だった。ストーリーは普通に労働現役世代の大人が活躍していて子どもばかりに重荷を背負わせたり無能な大人だらけでなく本当にスッキリした。
全編かなりなアクション量なのだがクライマックスは優勢劣勢が二転三転。手に汗握る展開でバッドエンドも覚悟するくらいだった。バッドエンドを覚悟したのは途中で唯一某キャラの結末に納得いかなかったからだが、それもラストで事情が明かされ完全納得ではないが腑に落ちた。脚本も優秀だった。
それから主人公が戦う相手の事情も個人的には価値観が違うのだから仕方ない気がして気の毒でつい両方に感情移入してしまった。
絵作り脚本演出どれも素晴らしかったが、今回ストレスなく見れたのは声の演技の力量も理由の1つだったと思う。個人的にはお馴染みの声ばかりでなくキャラに色の付かない新鮮な声がいいと思っているので新人声優でも顔出し俳優でも賛成派なのだが、しかし今回ばかりは出来の良いアニメーションには出来の良いお馴染みの声がピッタリで実に清々しかった。山寺宏一はウィッシュより緩急自在を要求されるこちらの演技の方が遥かに合っていたよ。エンドロールで驚いたのは内田雄馬だった。あんな演技もするんだなと。確かにいつもの主人公声では登場キャラの中で最低でも2人くらいは似てしまいそうではあったが。
続編見たいくらいの傑作なのだが、とにかく人が入っていない。打ち切られる前に少しでも興味がある方は映画館へGO!こんな作品が埋もれるのは残念の限りなので。