劇場公開日 2023年6月30日

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「はじめてのホン・サンス」小説家の映画 ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0はじめてのホン・サンス

2023年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

ホン・サンス監督の映画をはじめて観たが、どんな人物なのか興味がわいた。ウィキペディアで調べてみると、ある韓国の映画評論家がその特徴をうまく言い当てているようだ。
「一般的な映画は1つの事件を中心にストーリーを展開していくが、ホン・サンス作品は対話を中心に展開される。自分の周りで起こったことや行き交った会話などを脚色して登場人物の日常を描き出す。その中から人間関係や奥底にある心理など、人生の多様な側面を観客に発見させる。100人が見れば100人の解釈が出るのがホン・サンス映画の魅力だ」
「彼の映画は一見直観的に作られたように見えるが、実はとても論理的だ。テキストを細かく切り取ってみると、場面や台詞をすべて分析できる。日常の平凡さを超えた“非日常性”があり、人生の深淵にあるものを見抜き、発見させる」
それを踏まえてのこの映画だが、いわれている通り、会話が主体となり進行する。芝居がかっていない無駄の多い台詞 たまたま他人の会話が耳に入ってきたような感覚がずっと続く。監督は俳優になにをやってもいいという空間を創り出し、俳優たちはその中で自分をさらけ出しているようにみえる。一見アドリブのようなシーンも実は監督によって緻密に計算された演出が施されているのだろう。
ポスターにも描かれているガラス越しの小学生が印象的だった。
ホン・サンス監督は「ホン・サンス以前とホン・サンス以後」といわれるほど韓国映画界に影響を与え、その独特な作風は「韓国のエリック・ロメール」と呼ばれ熱烈な支持を得ているらしい。
日本では女優の筒井真理子がホン・サンス監督の大ファンとして知られ、『フィルムメーカー24ホン・サンス』という特集本の責任編集を務めている。27年間の作家人生で30本もの映画を作り出すハイペースな制作スタイル、こんな映画監督は、ホン・サンスの他に世界にひとりもいないらしい。まだ1本しか観ていない私は、まず他の作品を観てから自分の感想を述べることにしたい。

ミカエル