「中絶禁止法案が再度生まれている情勢を考えると、啓発のためには必要な映画だと思う」コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
中絶禁止法案が再度生まれている情勢を考えると、啓発のためには必要な映画だと思う
2024.3.28 字幕 MOVIX京都
2022年のアメリカ映画(121分、PG12)
1960年代後半に実在した「Jane Collective」の活動を基に描かれるヒューマンドラマ
監督はフィリス・ナジー
脚本はヘンリー・ショアー&ロシャン・セティ
物語の舞台は、1968年のアメリカ・シカゴ
弁護士の夫ウィル(クリス・メッシーナ)との間に娘エリン(ビアンカ・ダムブロシオ)とシャーロット(グレイス・エドワーズ)を授かった専業主婦のジョイ(エリザベス・バンクス)は、3人目を身籠っていて、幸せな生活を過ごしていた
時折、隣人のラナ(ケイト・マーラ)に家事を手伝ってもらい、シャーロットも彼女に懐いていた
ある日、めまいがして失神したジョイは病院に運ばれ、医師のフォーク(Geoffrey Cantor)から「鬱血性心不全」の診断を受けてしまう
出産にはリスクを伴うものの、無事に産まれる可能性は高いと言われる
だが、母体に関しては言及されず、ジョイは医療的措置としての中絶が可能かどうかを打診することになった
物語は、ウィルの計らいも虚しく、病院の会議で拒否され、闇医者を訪ねるために不正に出金したりするジョイを描いていく
だが、いざ手術に向かうとなると怖くなって逃げてしまい、途方に暮れてしまうのである
その後、ジョイは街頭に貼られていた「Call Jane」の連絡先を見つけ、すがるような気持ちで電話をかける
支援団体のメンバー・グウェン(ウンミ・モサク)の案内のもと、とある建物に連れてこられたジョイは、そこでディーン医師(コリー・マイケル・スミス)の手術を受けることになる
手術後にはパスタが振る舞われ、創設者のバージニア(シガニー・ウィーバー)は、ジョイに「Call Jane」に参加しないかと打診するのである
映画は実話ベースになっているものの、モデルのヘザー・ブースの役割をジョイとバージニアにわけている
ヘザーが設立した由来はバージニアと同じ動機で、後半になってジョイが手術をする流れもヘザーが行ったものとされている
そこから波及する動きには虚実が混じるものの、再び中絶禁止法案が施行される州が増えている今としては、必要な対抗措置なのかもしれない
いずれにせよ、具体的な中絶の手順が登場するものの、決定的な映像というのは避けられている
個人的には中学校時代に「中絶で掻き出す映像」を見た事があるので、もっとヤバいところまでいくのかと思ったが、そこまでは描かないので耐えられる映像であると思う
中絶を希望する理由は様々だと思うものの、レイプだろうがなんだろうが関係なくとりあえず産めという州があるのは驚きで、その根幹にあるのが宗教というところも根深いのかな、と感じた