「たとえまやかしの愛だとしても」僕の名前はルシアン モルスァさんの映画レビュー(感想・評価)
たとえまやかしの愛だとしても
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映画《僕の名前はルシアン》は、予告から想像していたストーリーとはまったく違う印象に着地しました。
特に衝撃的だったのはラストシーンです。
主人公のミミが、ネット経由で知り合ったルシアンと心中ごっこをした結果、ミミが身体障害を抱えながらも生き残るという結末でした。
車椅子に乗ったミミらしき女性が、あきらかに「なんかマズそう」なだらりとうなだれた姿勢で映し出されたとき、
(うわあ、えっ、そういうこと?ええ……)と頭の中でずっとパニックを起こしていました。
自分からすれば、死ぬよりも苦しいかもしれない結末だからです。
でもラストシーンのミミのモノローグは驚くほどさっぱりしており、後悔や絶望感はあまり感じさせられませんでした。
またエンドロールとともにポップな主題歌が流れたことから、ミミがこの結末に納得していたようにも感じました。
画面越しに見るルシアンは素性のわからないサイコパス野郎でしたが、
現実世界で誰からも愛情をかんじとれないミミにとっては、唯一、「愛してるよ」と想いを寄せてくれる存在だったのでしょう。
たとえそれがまやかしでも、愛してくれる人が一緒に死のうとしてくれるなら、その結果として未遂による身体障害生活があるなら、
ミミにとっては満足できるものだったのかな、と。
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