「マンガと映画、メディアの特性と時間」マイ・ブロークン・マリコ jsさんの映画レビュー(感想・評価)
マンガと映画、メディアの特性と時間
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原作はいきなり頭を殴打されたようなインパクトで一躍話題になったマンガ。私も当時夢中になって読みましたが、細かい内容は大体忘れたところでの鑑賞です。
原作マンガはそれこそインディーズ映画のような、突き進む勢いとエネルギーが魅力だと思いますが、実際に映画になると同じストーリーを描きながら全く印象が異なる。時間の流れをいかようにでも扱えるマンガと、一定の時間の流れの中で進まざるを得ない映画というメディアの特性をとてもよく現した例なのではないかと思いました。
例えば冒頭、食堂でたまたま流れていたテレビのニュースで親友の死を知るシーン、原作を読み直すと、1ページ目の3コマと2ページ目の扉絵という、たった2ページで描かれている。これを実写ドラマ映画で状況がわかるように組み立てると、どうしても1、2分はかかるということになりますね。
結果、主人公の無謀で衝動的な行動とともに一気に読ませるマンガに対して、映画は死者との対話を軸に構成された内省的な内容という印象が強い手触りとなっていました。骨壷との逃避行でたどり着く海岸は、原作読んでいた時には何となく九十九里程度の印象を持っていましたが、映画では青森でしたね。これもスピード感の違いから生まれる印象だと思います。
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