「一番怖いのは、人の悪意」きさらぎ駅 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
一番怖いのは、人の悪意
ロケ地に近い所に住んでいたり、勤務していたりした者として、よく知っている場所が出て来るのはとても楽しいのだけれど、知っているからこそ「きさらぎ駅」が、いつもの駅に見えてしまい、遠州鉄道だったはずの電車が、いつの間にか別所線の丸窓電車になっていて、いつもの車窓風景にしか見えなくなってしまった。
例えば、上田映劇をロケ地にした「青天の霹靂」や「浅草キッド」だと、「雷門ホール」とか「フランス座」という設定が、楽しみながらもすんなり受け入れられたのだが、何が違うのか。予算的な問題なのか、異世界という設定の問題なのか、そこが自分として興味深かった。
全体を通した作品の内容に触れると、「一番怖いのは人の悪意」というのが感想。結局、訳の分からないものへの恐怖より、訳の分かっている狂気の方が、薄寒い怖さを感じた。
それにしても「怖いもの見たさ」というのは、人間の特性なのか。自分は、見ないで済むものは見ないでおきたい方だが、それでもどこかしら、やっぱり惹かれるものがあるのも事実で、そこを一人称目線を使いながら描きだそうとしていることが伝わってきた。
中では、芹澤興人がいい味を出している。
最後に、エンドクレジットが終わった後が、ある意味、監督が一番描きたかった部分かもしれないと思うので、未見の方は、最後の最後まで観ることをおすすめします。
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