「思わず目を覆いたくなる凄惨さと熱き漢の姿」チェルノブイリ1986 スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
思わず目を覆いたくなる凄惨さと熱き漢の姿
本作は実際に旧ソ連で起こった凄惨な原発事故から着想。その事故の最中、さらなる被害を抑止するため、家族を救うため、何度でも立ち上がるある消防士の闘いを描く。
とにかく目を覆いたくなるシーンが続く中、ただただあきらめないで欲しい。ただただ生きて帰ってきて欲しいと手に汗握るヒューマンドラマだ。
主人公アレクセイはとにかく身勝手で無鉄砲だが、家族への思いは本物で、消防士としての確かなスキルとタフさ、仲間想いの強さも兼ね備えている絶望の中のヒーローだ。
原子炉の爆発により、放射能が漏れ、
このままいけば水蒸気爆発によりヨーロッパ中に放射能の被害が広がる。
そんな中主人公たちに与えられたミッションはぐつぐつ煮えたぎる汚染水の中を潜り、バルブを開け、原子炉から放水しきるミッション。
過酷の環境の中、犠牲者たちを尻目に何度でも立ち上がる主人公アレクセイに純粋にカッコいいと感じた。
「太陽」を人類ごときが作ってしまった罪は重いのか。無限のエネルギーという理想郷には代償がつきものだ。事実我が国でも起こってきた。それでも悪魔との契約は切らせてもらえない。もし悪魔と縁が切れるとしたら、その時人類は一人残らずいなくなっている。
そう思うと劇中の英雄は何のために命を賭したのかと感じずにはいられない。
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