劇場公開日 2022年9月1日

「偽りの家族」この子は邪悪 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0偽りの家族

2022年12月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

鑑賞前は、呪いとか怨念とかのホラー映画かと思っていた。しかし、よい意味で期待を裏切ってくれて、よく練り込まれたストーリーに、最後の落としどころも、納得のいく展開。突っ込み所もいくつかあるが、亡き者への未練が交錯する、サスペンス映画として仕上げられている。決して声を上げる恐怖ではなく、ジワジワと締め付けられていくような、息苦しさにも似た恐怖に包まれていく。

冒頭部で、精神を崩壊し、目線も定まらない人々が映し出され、最初から一気に、不穏な空気に包まれていく。そして、物語の舞台となるのが、心理療法の古びた和洋折衷の病院で、そこに住む仮面をつけた謎の少女に、足を引きずっている医師とくれば、それだけでもダークな雰囲気を醸し出してくる。

5年前に交通事故で、妻が昏睡状態で寝たきりとなり、次女は顔に大やけどを負い、自分も足が不自由になった心理療法士の窪。ただ1人、ケガの無かった長女の花も事故がトラウマとなり、心を閉ざしてしまった。そんな花は、精神疾患の自分の母親の事を気に病んでいる高校生の純に出会う。花は、自分と同じような境遇の純に、心を開き始める。

そんな折に、花の母が奇跡的に昏睡状態から回復し、家に戻ってくる。次女は、母が戻ったことを心から喜んだのだが、花は母に対して、何か違和感を感じ、それを純に告げる。純も、自分の母が精神疾患になった要因が窪の療法によるものではないかと考えており、2人で花の父と母、そして妹についても不信感を抱き、調べ始める。

出演者は、花の父である窪役に玉置宏と母役には桜井ユキが、謎めいた役所を迫真の演技で恐怖を煽ってくる。また、主役の南沙良も、本作の世界観にピッタリの影のある美少女を演じている。これからも期待値の高い女優さんである。

bunmei21