劇場公開日 2022年9月1日

「序盤中盤よし、山場うーん、オチは及第点」この子は邪悪 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0序盤中盤よし、山場うーん、オチは及第点

2022年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

事故で寝たきりになっていたお母さんが奇跡的に帰ってきたが、どこか様子が変で…というあらすじのサスペンス。こういう話はほかにもあるし(グッドナイトマミーとか)様子が変なのが大体お母さんに偏ってるのはなぜなんだろう。さらに言えば、変なのは母親の方ではない、ということも共通している。まあ、母親がヘン!と盛り上げて本当に母親がヘンだったら面白くないものね。

登場人物は同じく事故で心に傷を負った主人公の花と事故のやけどが理由でずっと仮面をつけている妹と脚の神経に傷を負った父親、そして自分の母親と”同じような”人たちの写真を撮ることを習慣としている少年の純。
このレビュータイトルの通り、序盤と中盤はかなり良い。純がなぜ母親と同じような人たちの写真をとるのか。奇跡的に帰ってきた母親は本当に母親なのか。仮面の下にある妹の素顔は。そして、絶対になにかやってそうな父親役の玉木宏の笑顔。
不気味な情景を小出しにして順調に恐怖心をあおるのはサスペンスの醍醐味。怖い雰囲気が出てきたら何が出てきても良いように薄目にしながら観ていた。そのくらい、いい雰囲気だった。

問題は山場、すべての謎がいよいよ明かされるというのに、その真実が期待を数段下回るものだったということだ。端的に言えば雰囲気ぶち壊し。ただでさえ、心理療法=催眠=他人を思い通りという手あかのついたストーリーを展開しているのだから、このありきたりなサスペンスを壊していい意味で期待を裏切るものが真実であってほしかった。
オチは良かったと思う。最後のあの「指の動き」は蛇足に思えたが、ゼロからスタートした一家が今後どのような悪夢にうなされるのか楽しみにさせるものではあった。

サブレ