「緩やかなエモーションが失われてしまったけれど」君は放課後インソムニア つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
緩やかなエモーションが失われてしまったけれど
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アニメが面白かったのでこの作品を観ることにした。原作は知らない。
実写映画として出来は良かったと思う。及第点だ。
しかしどうしても尺の問題で色々と削らなければならず、アニメにあった緩やかなエモーションが薄まっていたのが残念だ。
丸太が写真撮影に対して頑張るところがほとんどない。
元々は天文台を守るため、自分の眠りを守るためだが、次第に伊咲との時間、伊咲との関係のため、に変わっていっているように見える感じが良かったのに。
主人公二人以外のキャラクターのシーンがほとんどない。
主に丸太がだが、周りの人間に支えられて変わっていく効果がなくなってしまった。
ポジティブにエネルギッシュに前進していく変化へのきっかけの一つだったのに。
伊咲が部活をやってない。
伊咲が運動部に所属しているというのは、心臓はもう大丈夫なのだという一種の証明で、大丈夫にもかかわらず眠ることができないところに意味があったのに。
そもそもこの作品では心臓は大丈夫じゃなかったのだけどね。これだと、眠れなくても不思議じゃないになってしまう。
変更点についての不満だけを書いたけれど、映画としてはうまくまとめたと思う。
自分にとって一番印象的だった緩やかなエモーションが失われてしまったので、良かった良かったと絶賛することはできないが、単純な青春ロマンスものの側面は概ねカバーできていたんじゃないか。
逆にいえばロマンス以外の部分、主に「眠れないことについて」に関係するロマンスとは少し外れたドラマ部分がなくなってるんだな。
これはまあ仕方ないのは分かっているが。
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