「犬の気持ちを踏みにじって、自己満足に浸っている主人公が、どうしようもない偽善者に見えてしまう」ハウ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
犬の気持ちを踏みにじって、自己満足に浸っている主人公が、どうしようもない偽善者に見えてしまう
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最初から、結末が予想できそうな話なのだが、実際には、予想とは少し違う結末になって、驚かされる。それと同時に、「それでいいのか?」と、大きな疑問が湧き上がる。
主人公が、本当にハウのことを大切に思っていたのなら、やっとのことで再会できたというその時に、ハウを手放すという選択をするだろうか?ましてや、ハウは、自分に会うために、多くの時間をかけて、長い距離を歩き続けてきたに違いないと、主人公は、恋人に話しているのである。そんなハウの気持ちを理解していながら、どうしてハウを他人に譲ることができるのだろうか?まったくもって納得できないし、何よりも、苦労して主人のもとに帰ってきたハウが可哀想である。
主人公は、猫を失った恋人や、父親を失った少年に寄り添おうとしているのかもしれないが、ハウの気持ちを置き去りにしている時点で、それは自己満足でしかないし、そんな自分に酔っている主人公の姿は、不気味ですらある。捨て犬の保護を訴える映画なのに、主人公が、犬を「モノ扱い」するとは、どういうことか!?
それ以前に、ハウが道中で知り合う人々との交流にも、あまり心が動かない。特に、修道院のエピソードは、偶然が過ぎるし、あんなことでDV夫が改心するのだとすれば、おめでたいとしか言いようがない。
結局、ジンときたのは、ハウがいなくなる最初の頃のシーンだけで、あとは、犬好きを狙ったあざとさだけが鼻についてしまった。
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