「【心に傷を負っていた人達を、迷子になった白い大型犬のハウが、次々に癒していく犬のロードムービー。石田ゆり子さんの柔らかく温かい声のナレーションが素敵な作品でもある。】」ハウ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【心に傷を負っていた人達を、迷子になった白い大型犬のハウが、次々に癒していく犬のロードムービー。石田ゆり子さんの柔らかく温かい声のナレーションが素敵な作品でもある。】
ー 民夫(田中圭)はある日、婚約者(深川麻衣:このワンシーンだけ登場。良く引き受けたなあ・・。)に一方的に婚約解消を言い渡され、傷心の日々を過ごす。新居も買ったのにね・・。-
◆感想
・そんな民夫を気遣った上司(野間口徹)とその妻(渡辺真起子起)は、保護犬だった白い大型犬を民夫に進め、彼は飼うことに・・。
ー ここら辺でも、民夫の気の弱さ、人の良さ、優しさが垣間見えるよね。-
・そんな民夫に”ハウ”と名付けられた犬もドンドン懐いて行くが、彼が郊外で午睡している時に、ハウは子供が打った打球を追いかけて、行方不明に・・。
ー 懸命に探す、民夫や上司たち。だが、見つからなくって・・。そんな彼を気遣う職場の女性、足立さん。(池田エライザ:ショートカットにして、今までの妖艶さが薄れ、可愛らしい女性になっている。)-
■ハウが旅先で、心を癒した人たち。
1.東北大震災で、福島の家に帰れなくなり、同級生から嫌がらせを受け、学校に行けなくなった少女。
- ハウは彼女と一緒に電車に乗り、校門まで一緒に登校する。-
2.シャッター街で、夫を亡くしながら傘店を営むお婆さん(宮本信子)
- 亡き夫(石橋蓮司)の姿をハウと重ね合わせてみるお婆さんの姿が印象的である。-
3.愚かしきDV夫から逃げ、修道院に身を預けた若き女性(モトーラ世里奈)
- DV夫が修道院に強引にやって来て、カッターナイフを振り回すシーン。嫌なシーンであるが、坂道を嫌がる彼女を連れてDV夫が失踪し、車が横転した際にハウがDV夫を助けた理由。それは、彼ら夫婦が且つては自分を飼ってくれて、一時的にしろ大切にしてくれたからであろう。-
・今作のナレーションは、石田ゆり子さんが担当されているが、柔らかく温かい声が作品のトーンに合っている。
<そして、700キロ以上も、ハウは民夫を目指して帰って来るが、新しい飼い主が既にいて・・。それは、父を亡くしたばかりの男の子と、母親だった・・。
民夫は、それを理解して哀しみを堪えて、ハウと別れる。
けれど、彼の元には彼を気遣ってくれる猫好きの足立さんがいるのである。
どうか、民夫と足立さんが幸せになれますように・・。
今作は、脚本にやや粗い箇所があるが、一匹の迷子の大型犬が、心に傷を負った人々を、次々に癒していく過程を綴った犬のロードムービーなのである。>