「「バラバラのピースがつながる…」というコピーがあるが、ちょっと違うと思う。」彼女のいない部屋 caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)
「バラバラのピースがつながる…」というコピーがあるが、ちょっと違うと思う。
人は過去の記憶が思い浮かぶ時、時系列で思い浮かぶ訳ではなく、その記憶は断片的で時に曖昧となる。
人は過去にとらわれ、前に進めない時、とりとめもない記憶が次から次へと頭の中に去来し、自分を見失う。
この映画は、最後まで観るとバラバラのピースがつながるというものでもなく、パズルが組合わさるというものでもない。
すべてはクラリスの頭の中に去来する記憶と妄想を描いた映画と言える。
監督からのインフォメーションは、冒頭のシーンに関して「彼女は家出をしているようだ」というものと、「何が起きるのか、観る前の人に明らかにしないでください」というものだ。
この映画の中で何かが起こる。その他のシーンは現実もあり、妄想もある。
妄想に関しては、クラリスのいないところで元気に暮らしていてほしいという願望を含んだ妄想になる。
後は劇場で観て、どのシーンが現実で、どのシーンが妄想かを判断すれば全体像が見えてくることになる。
それでもわからなければ、公式ホームページの「映画観賞後の方だけに」というページを見れば、この映画の意味はわかる。
そう考えると、映画としては不完全、解説を見ないとわからない映画ということにはなる。
クラリスの頭の中に去来する動揺と混乱の中の映像は、あなたに何を感じさせるだろうか。ぜひ、劇場でお確かめください。
#142
コメントする