「ダラダラ感が逆に心に刺さる」リコリス・ピザ いけいさんの映画レビュー(感想・評価)
ダラダラ感が逆に心に刺さる
上映当時は観逃してしまったが、青春ものは好みだし、第94回アカデミー賞で作品・監督・脚本と主要部門ノミネート作品ということでずっと気にはなっており、いよいよレンタル値引きを機に鑑賞。
観てみると、ジャケットデザインでも感じていたが、これはかなり独特だ。70年代プンプンの甘酸っぱさを背景に、行ったり来たりの結構ダルめの青春劇が繰り広げられる。
でも個人的にはこのダラダラ感がやけに好みに刺さってくる。この不思議な魅力により、ストーリーが面白い面白くないもあまり関係ないとさえ思えてくるし、趣旨のよくわからないタイトルもなぜかしっくりくる。役者陣の生々しさもうまく好転している。これもポール・トーマス・アンダーソン監督のなせる業か。
映画って、この程度の深みでもじゅうぶん心に残るのだから不思議なものだ。
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