劇場公開日 2022年7月1日

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リコリス・ピザのレビュー・感想・評価

全167件中、1~20件目を表示

3.0商売にアグレッシブな15歳と成長しきれない25歳の恋のさや当て

2022年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 リコリスといえば、ハリボーの渦巻きお菓子やサルミアッキなど、癖の強い味の黒い菓子を連想する。リコリスのピザとは……と思ったら、映画の舞台であるサンフェルナンド・ヴァレーにあったレコード店の名前だそうだ。リコリスの黒、ピザの円盤型、LICORICE PIZZAの頭文字で、LPレコードのことを指す。物語には、ピザもレコード店も出てこない。
アンダーソン監督の中での、物語の場所と時代をあらわすアイコンなのだろう。

 恋愛感情の芽吹きはじめの、幼い駆け引きにむずむずする楽しさがある映画だ。ただし、70年代のアメリカローカルのアイコンがたくさん出てくるので、知識がないと楽しさが半減するタイプの作品だとも感じた。アンダーソン監督の見聞が織り込まれているそうで、この時代や地域、それに根付いたカルチャーに親しみのある層にはすごく刺さるのだろうと思う。私は知識がない方なので、ゲイリーとアラナの突飛な行動にただただ振り回された。
 ゲイリーは高校のイヤーブックのための写真撮影の場で10歳年上のアラナをナンパする。ウォーターベッドの販売を始めるが、店で知り合った女の子にも手を出す。車の運転もするし、オイルショックでベッドの商売が厳しくなったらピンボール店を始める。
 いや、15歳でそんなにガツガツ商売するんだ?なんでそこでフロントガラス破壊すんの?(直後の展開は笑ったけど)当時のハリウッドの子役ってあんな感じなの?と面食らった。
 それに対してアラナは、年齢の割に幼い印象がある。10歳差と聞いて、お姉さんの手のひらで少年が転がされる話を連想したが(ポスターの影響もあります)、不器用な恋のさや当てをする姿は、まるでゲイリーと同年代だ。撮影現場ではメイクをしないことがルールだったそうで(登場人物が物語の中でメイクをするという設定の場面のみ、俳優が自分でメイクをしたそうだ)、余計に幼く見えた。
 ふたりのやり取りのテンポのよさは楽しい。レトロなファッションがかわいい。ショーン・ペンとブラッドリー・クーパーが拝めたのもよかった。でもやっぱり、一見脈絡のない展開は、こまごま詰め込まれているであろう小ネタや時代背景、当時を表すアイテムなどを知っていてこそ初めて生きてくるのだろうという気がする。
 そのニッチさがアンダーソン監督の作風ではあるが、好みが分かれる映画の典型という気がした。というか、日本に住んでいてこの内容にピンとくると言えたとしたらよほどの何か(賞賛でも揶揄でもない)。それくらいのローカル映画。
 深く考えず、ひとつひとつのシチュエーションを刹那的に楽しむが吉。

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ニコ

4.5本筋がなんなのかわからないのが青春映画としてとてもいい。

2022年8月31日
PCから投稿

もう本筋がなんなのかわからないし、あえて方向性を定めることもなく、それでもどこかに闇雲に走り出したいような衝動があって、それをカメラの横移動と物理的に走るという行為で表現されていて、年が離れているとはいえ若者2人を取り巻いている大人たちは誰もが胡散臭くていい加減で、どこかタガの緩んだ1970年代の空気をみごとにすくい取ったような映画だった。

ハイムのファンとしては、アレナ・ハイムが主演というだけでなく、バンドメンバーでもある2人の姉と、彼女たちの両親がそのままの役どころで出演していて、それだけでファン心をくすぐられてたまらないのだが、この映画の特徴として、ノンプロフェッショナルの役者たちの佇まいというのが大きく、メタなキャスティングもただのファンサービスではない(役者ではないディカプリオの父親も存在感が半端ない)。

そして面倒な脇役を演じているのが芸達者な本職のベテラン役者たちといういびつさはなんなのか。名優たちを配してみごとな演技を引き出してきたポール・トーマス・アンダーソンが試みた、いままでとは違うアプローチがどこに向かうのか。今後のキャリアの方向性への影響も気になっている。

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村山章

4.0ヤバい大人たちが若い2人に襲いかかる!!

2022年7月10日
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鑑賞方法:試写会

1973年のハリウッド郊外、サンフェルナンド・バレーで、子役上がりの少年ゲイリー(15歳)とカメラマン・アシスタントのアラナ(25歳)が出会い、恋に落ちて、まるで周囲から逃げるように疾走劇を展開する。実年齢以上に世情に精通した15歳と、彼と比較すると、何を始めるにも若干遅きにしした感がある年上の女性。この年齢差も絶妙だが、何しろ、サンフェルナンド・バレーはハリウッド映画ビジネスの魑魅魍魎が集約されたような町。主人公の2人は初恋がしたいのに、青春がしたいのに、彼らの前に次々に登場するヤバい大人たちに邪魔されて、なかなか思い通りに事が進まない。そこが笑える。いわゆる青春映画の普遍性は、ここでは希薄だ。

そのヤバい連中の中でも、監督のP.T.Aが本人と直接会ってキャラ描写を詰めていったという、ブラッドリー・クーパーが演じるジョン・ピータースのぶっ飛びぶりが強烈だ。ピータースはL.A.のロデオドライブでその名を知られた超人気のヘアドレッサーからハリウッドのプロデューサーに転身した人物で、彼が開発したカーリーのショートウィグを当時の恋人、バーブラ・ストライサンドが『スター誕生』(76)で被ったことでも知られる。ピータースは『スター誕生』でプロデューサー・デビューを果たすのだが、その頃の常軌を逸したイケイケぶりをクーパーが怪演していて、若い2人の目の前に覆いかぶさってくるところが見どころだ。

筆者がより興味をそそられたのが、主人公のゲイリーが所属する子役専門のエージェント、メリー・グレイディだ。クレイディも実在するエージェントがモデルだが、相手を値踏みするように小刻みに揺れる視線や、異常なほどの警戒心は(子供相手なのに!?)、ハリウッドの子役ビジネスの熾烈さを想像させて思わず引き込まれてしまった。

そんな風に周囲がキテレツだからこそ、主人公の2人を応援したくなる異色の懐古的業界ドラマ。これはやはり一筋縄ではいかない天才監督の最新作なのだった。

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清藤秀人

4.5ふたりのフレッシュな化学反応に魅了されっぱなし

2022年7月3日
PCから投稿

前作で職人の愛を澄み切った映像で掘り下げたアンダーソン監督が、新作ではこれほど快活な恋愛劇を描ききるとは。この人の力量は本当に底知れず、まずもって出会いのシーンから輝きがいっぱいだ。長い行列に並びながらの切れ目なき会話は、相手の返しや表情の変化によって有機的なリズムが生まれ、この時点ですでに彼らの駆け引きに心底魅了されまくってる自分に気づく。これがありきたりな「ボーイ・ミーツ・ガール」ならば話も単純なのだろうが、主人公アラナとゲイリーは、片や歳上、片や早熟の高校生ということもあってなのか、両者ともに主導権を取らないと気が収まらない。それが時に驚くほど破天荒な展開へ振り切れてしまう可笑しさと哀しさ。こんな厄介な感情を持ち合いながら近づいたり離れたりを繰り返す彼らを、不思議と好きにならずにいられない。アラナとゲイリーが一緒にいたら完全無敵。今なお目を閉じると二人の走り出す様がありありと浮かぶ。

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牛津厚信

4.5実話も数多く盛り込んだPTAの脚本に驚喜。P・マッカトニー好きには余禄も

2022年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

1973年のLA郊外を舞台にした王道の青春コメディかと思いきや、エピソードがいちいち風変わりで面白くて、紋切り型を巧妙に回避しているのはさすがポール・トーマス・アンダーソン(監督・脚本、以降PTA)と思いながら鑑賞していたが、あとでプレス資料を見ると、かなりの割合で実話ベースのエピソードを組み込んだそう。主人公ゲイリーがウォーターベッドの店を開く話などは、子役からのちにプロデューサーになったゲイリー・ゴーツマンの実体験に基づくとか。

ブラッドリー・クーパーが演じるプロデューサーのジョン・ピーターズも実在の人物(プロデューサーとしてのデビュー作はバーブラ・ストライサンド主演の「スター誕生」)。VarietyがPTAにインタビューした記事によると、脚本執筆段階でPTAがピーターズ本人に電話して映画に登場させていいか尋ねたとき、ピーターズは女の子を口説く場面で「ピーナッツバターサンドイッチはいかが?(Would you like a peanut butter sandwich?)」という台詞を入れることを条件に出したという。ピーターズが昔実際にナンパで使った言葉だそうで、PTA「効果あった?」ピーターズ「ああ、成功したよ」というやり取りを経て、脚本に加えたとPTAは明かしている。

ゲイリーとアラナの近づいたり離れたりのもどかしい恋愛模様を、当時流行していたポップミュージックが彩るが、ハイライトの1つである夜の店内のウォーターベッドに2人が寝転がるシーンで流れるのは、ポール・マッカートニー&ウイングスの『レット・ミー・ロール・イット』。「僕の心は車輪のよう/行かせてくれ 君のもとへ/この衝動 受け入れて」といった趣旨のロックバラードで、ポールが1時間ぐらいでちゃちゃっと書いたようなシンプルな曲想と他愛ない歌詞、しかもシングルカットされた『ジェット』のB面に収録された地味目のナンバーだ(とはいえファンには人気曲で、詞の繰り返しが多いサビは合唱しやすく、ライブで定番の演目だった)が、シーンに見事にはまっているのはやはり音楽マニアのPTAならでは。

ポール好きにはもう1つ。終盤で映画館の前景のショットがあり、入口の上に掲示された上映中3作のタイトルが一瞬映るが、あの真ん中にあった「Live And Let Die(007 死ぬのは奴らだ)」の主題曲はウイングスによる同題の歌だった。トリビアではあるが、嬉しいおまけだ。

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高森 郁哉

3.5なんだかわからないけどエネルギッシュだった70年代

2024年9月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

お話はよくわからなかったんです😂
15歳の高校生が弟たち(小学生?)を使って客商売をするとか(子供から高額商品買う?)、飲み屋に入れて酒を頼めるとか、当時アメリカの田舎町では日常的にアリだったのかな?
よその国の常識はワカラナイ

年の差10歳?13歳?の若者男女が惹かれ合ってるのに認めない意地張ってツンデレ、相手が別の異性と仲良くしてるとわかりやすく嫉妬しちゃう
若いって面倒くさくて素晴らしい
このセピア掛かったカラフルな映像も音楽もノスタルジックですごく良かったです
この年代ってよくわからないけど希望に満ちてたような気がして、それが映画からも感じとれました

余談ですが、リコリスピザを検索したら「離婚裁判」「離婚したい」などと予測ワードがてんこ盛りでちょっと怖かったです
ゲイリーとアラナのようにツンデレでも仲良しさんが増えますように!
可愛い映画でしたー

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映画鑑賞初級

3.0助演が豪華な割には?

2024年9月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

CSで録画視聴。
ブラッドリー・クーパーやショーンペンなど
助演は豪華。
しかし、ストーリーは平凡だし、地味。
何か海外ドラマを観ている感覚だった。

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ナベウーロンティー

4.5こんなにポップをP・T・アンダーソンに驚き

2023年11月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

今まで観たポール・トーマス・アンダーソン監督作品の中で最もポップで分かりやすい、余りにらしくないノーマルさで驚きを隠せない。
ポール・トーマス・アンダーソン監督といえば、勝手な思い込みかもしれないが、陰鬱でよく分からないドロっとした作風だと信じていた。
「マグノリア」が今までで一番ポップだったのだから、この驚きも分かってもらえるかもしれない。

実はポール・トーマス・アンダーソン監督はちょっと苦手で、しかしなんだか面白そうでつい観てしまう監督なのだけれど、この作品に関しては本当に観て良かったと思った。
本当に真っ直ぐで普遍的な恋愛もので、最高だったとしか言えない。

一応、歳の差があること、片方が未成年であることが特殊といえば特殊なんだけど、そこは余り中身と関係ないから。
すんなり付き合い始めないための設定みたいなものだ。

簡単にいえば嫉妬についての作品で、その応酬だけが内容だった。
しかしその応酬が面白くて、なんか素直になれない感じとか、よせばいいことをやっちゃう感じとか、青春の愚かさみたいなものが垣間見えるのがいい。
なんてことない内容ってところがいいんだよ。

ここでの点数はそんなに高くないし、一緒に観た妻もそれほどでもない感じなので、こんなに喜んでいるのは自分だけかもしれないが、個人的にはフェイバリットロマンスムービーにランクインさせるか悩む程には最高だった。

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つとみ

5.0リコリスは魔法のキャンディー

2023年10月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

あらら。この雰囲気、大好きかも。
好き勝手やりながら、変な大人たちに出会っていくゲイリー&アラナの青春グラフィティ。

なんの予備知識も無しに、レンタル屋の棚からチョイスしてみた本作。

一切の予備知識無しに観るから、後から俳優や、メガホンを取った監督や、その他の登場人物を知ることになるし、
当然何が起こるのかまったく知らずにあれよあれよと見てしまう、すべてが初対面の、とっても新鮮な世界なのだ。

「リコリスピザ」??
どうやら黒いアナログレコード盤を指すスラングらしい。
ピザ屋は出てこないけど、ノリノリのご機嫌な音楽はどのシーンをも満たしています。

DVDを観る僕は当然のこと、この先何が起こるのかまったく知らずに生きているティーン本人たちの、彼らにとっても、すべてが初体験の 冒険の世界なのでしたね。

そして有名な俳優やミュージシャンが軒並み出てはくるけれど、高校生たちはその目の前の大人が何者なのか知らないんです。
そこが良い。とても良い。【大人】=【変な人たち】なんです。
ティーンたちはキャラクターだけが青臭くて、生き生きと息づいていて、行き当たりばったりの毎日。その独特の初々しさと世間知らずぶりがたまらないです。
だから一見まとまりのないように見えるこの物語の所々の展開に、観客は目を見張らされるんですよ。

全員が 不細工です。はい。

主演の二人に注目が当たるのは当然なのですが、脇を固めるバイプレーヤー【=変な大人】たちの演技。特に表情や上半身の演技が印象的だから、是非これは見落とさないようにたのみます。
ゲイリーの母親、
レストラン・ミカドの主人とwifeたち、
アラナと面接する芸能プロのおばちゃん(ハリエット・サムソン・ハリス)=特にこの女優は監督が一目置いているのでしょう、大写しのアップでロングカットが◎。
もちろんショーン・ペンもトム・ウェイツも。
それらの大人たちが、アラナたちには分からない大人たちの符号で話しかけるから、理解出来ずに戸惑うアラナが良いんです。
特にダイニング、テイル・オコックでのアラナとショーン・ペンの会話は、照明やカメラの妙技もあって珠玉の光景。
その他、“奇人”登場は、ブラッドリー・クーパーと、レオ様の実父ジョージ・ディカプリオさん⇒ベッド屋の変なおやじ。

若者たちもニキビ面です。
「ファット・バーニーズ社」を立ち上げたファットなゲイリー。彼の父親 (フィリップ・シーモア・ホフマン) 似のその情けない顔と言ったら!横に間延びした彼の顔。とろんと離れた目と垂れ下がった眉。お腹も出てる。犬のバーニーズにもどこか似ているゆるい風貌。
かたや写真屋の娘アラナは、収縮系。
痩せぎすの細身で、キュッと中心に寄った顔。眉と鼻にシワを寄せて言い返すし、笑う。繫がり眉毛のとんがった子。

なぜに君たち、お互い惹かれ合うのかな。

・・・・・・・・・・・・

レビューが長くなりますが、
3回鑑賞して、まだ飽きません。
のっけから変わってる。
高校の廊下ですれ違うゲイリーとアラナ。
なぜ声をかけたのか、なぜ振り返ったのか、イントロなしに突然物語がスタートするから。
何が始まったのかよくわからないうちにいきなりストーリーが歩き出すから。
だから置いてけぼりにならないように、僕らも彼らを追いかけて、走りながら (走るシーンが多い) 、スクリーンを観ていて、
観終わったあとには胸の動悸と上気した頬に、多幸感に満たされていた僕でした。

第一部がゲイリーの自己紹介、
第二部がアラナの自分探し、
そして最後は二人の再会という結末。
こういう組み立てだと思って観れば、後半部もダレずにあの二人に付き合えます。

あの「ファントム・スレッド」の監督=PTSが作ったのだとは、にわかには信じられないです。これはちょっとした驚きでしたね。
一流俳優を立てての綿密な純文学作品も作れれば、かたやその後にこんな予測不能な“素人映画のようなこと”もやれてしまえる。
PTAはやはり突出した才覚のお人だと思いましたよ。

大人でもなく、もう子供でもない。
そういう宙ぶらりんの微妙な季節。
首を突っ込む大人たちの世界に、大人たちの生き方を覗き見、その喋る言葉に聞き耳を立てて 真似をしてかじりながら、かたや姉たちと暮らし、弟たちの世話もしながら、
全部があの頃の、僕らも体験した、断片的な、十代、二十代の思い出の日々なんですよ。
高回転の走馬灯。流れていく風景。
SPレコードの疾走感。
あれでしたよね・・♪

最近、ねっとりした味の濃い映画ばかり観ていたもので、
こんなにサバサバと、追い付けないほどにテンポよく物語が進む若者映画は、実に気持ちが良かった。

(お尻に根のはえた) おっさんばかりを揃えて、ボソボソ話の茶飲み話を撮れば、きっとジム・ジャームッシュの「コーヒーアンドシガレット」になるだろうし、
若者ばかりを揃えて撮れば、「ウォールフラワー」みたいに こうもなる。
でも、大人版も子供版も《友達付き合い》という骨格は一緒だ。世代だけが違う。
でも若さの躍動がここにはある。
とにかく登場人物たちの、あり得ないほどに、こんなにも自然な表情、表情、表情には、驚きだったのです。
レンタルして良かった。
☆5つ。

どう思います?
「ファントム・スレッド」だって、そういえば中身は実によく似ていました ―
《ダニエル・デイ=ルイスがレストランでウェイトレスに一目惚れ。ナンパして自分の店に女の子を連れてきちゃった》というストーリーなのですから、筋書きは両作共にまったくそっくりじゃないですか。
あのオスカー連覇俳優ダニエル・デイ=ルイスが「ファントム・スレッド」で垣間見せた“いたずらっ子少年の面影”は、本作のゲイリーとなんら変わりないのです。
監督はそこ、大切にしてますよね。

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

【きりんの青春】
忘れないうちにメモ。
ゲイリーは15歳。アラナは25歳。
男の子ゲイリーとちょうど同じ年代に、たくさんのアメリカ人に囲まれて '70sを生きた僕には、懐かしさでいっぱいの2時間+の映画でした。
建物や町並みや走る車もあのまんまでした。
日本人がほとんどいない町内で暮らし、店員はみんな英語を使えるガソリンスタンドやスーパーマーケットで買い物をし、オレンジ色のミニスカートのドライブインで車の窓からインタホンでルートビアを頼み、2つのアメリカンスクールに挟まれていた地域だったから。
(そうそう、うちの弟はアメリカンスクールに通ったので、イヤーブックの「写真」撮影はゲイリーたちと同じ、斜め前からのポーズで口を開けて笑顔でのパチリ)。
もちろんマックでバイトをしていた僕も、英語での接客と$支払いのレジ応対は必須だったのでした。

時代の昂揚感に乗って いつもハイテンション=早熟の長男ゲイリー。
姉たちの下で鬱々としていた=奥手のアラナ。
ゲイリーが15歳。アラナは25歳。
ピンボールゲーム店でのプロポーズ。
「年上の女房は金(カネ)の草鞋を履いてでも探せ」と言うじゃないですか。

二人の付き合いを見ながら、僕も過ぎ去ったあの頃をふと思い出してしまうのです、
・何でも2回ずつ言ってたおかしな同級生のこととか、
・喧嘩腰に突っ掛かってきたクラスの女の子のことか、
・姉のようであり、友人以上の感情を抱いた女性がいたこととか、
ふと昔を思い出したりするじゃないですか。
人気はないけど自分としては密かに好きだったクラスメートのこととかね。

そしてこれはあくまでも僕の主観ですが、
この映画は、敢えて美男美女とかの美形をキャスティングしないで、そうではない太めで浮いた高校生男子と 誰からもモテない風貌の田舎娘を起用したことで、ストーリーが夢物語などではなく、いきなりの既視感と実体験の追想の世界に
我々を冒頭から投げ込んでくれたのだと思います。
そこがとても良かったんです。

リコリス。黒い飴。
大人も子供も全員が不細工。
旬を過ぎたちょっと哀れな大俳優の老人たちと、思春期真っ盛りの若者との対比。出会い。共演。
監督の目のリアリティ。

あのリコリスのへんてこな味は、
そんな《あの頃》に僕らをワープさせてくれる、きっと魔法のキャンディーなのだよねぇ・・

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きりん

2.0ちょっと気持ち悪い

2023年9月17日
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25歳(といったけど28とか30という数字もポロッとこぼすからホントはもっと歳いってるよね)の女性と15歳の少年が対等に恋愛するのはちょっと気持ち悪い。70年代だったらそんなに異常なことじゃないのかな?15歳の子どもがジャンジャン起業するのは映画だから百歩ゆずっていいとして、定職もないしやりたいこともはっきりないアラサー女が少年に嫉妬したりするのは共感できないよ。PTAはファントム・スレッドもピンとこなかったしもうムリかも。

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三毛猫泣太郎

5.0主役の男女の見た目が気になって仕方ない

2023年9月10日
PCから投稿

主人公の男はゼア・ウィル・ビー・ブラッドのポール・ダノみたいに見える。主人公の女(アラナ・ハイム)はちょっと微妙な顔で美人なのか美人じゃないのかよくわからないです。この二人の見た目に慣れるまでに30分ぐらいは要するかもしれません。一番気になったのが主人公の女がノーブラなのか常に乳首が立っていて乳首と乳輪の位置もわかるぐらいでした。この年代の人は常にこうだったのか、外国人は常にこうなのかも微妙に気になります。

この映画の見所は余韻です。顔芸と仕草芸を楽しめます。

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関学にチー牛はおらんのんじゃ

0.5ちゃんと退屈。

2023年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ヒロインの顔も性格も、魅力的じゃなかったから、観るのに耐えられなかった。あと、どう見ても15歳には見えない、ヒロインの相手役の子も、個人的に行け好かなくて嫌いだった。映画の中心となる二人がそんな感じなのはともかく、話の質というか、脚本のクオリティがなんかうーん。結局この映画は何が伝えたいのか、表現したいのか、さっぱりわからなかった。途中で何度も見るのやめようと思ったぐらい、ちゃんと退屈できる映画でした。

少ない見どころシーン
・アラナがゲーリーの知り合いのタレント事務所の女社長?らしき人との面接のシーン
女社長役の演技がよかった。あんな感じのこわい女社長いたら、やだな。
・ゲーリー・クーパーのシーン
なんか見たことある俳優だなと思ったけど、初めて俳優の名前を覚えた。演技の狂気さがアメリカらしくて最高だった。最後、仕返しに車を破壊するシーンがあったけど、個人的にはもっとガンガン破壊しろよ!って思った。やな奴の車を破壊しているシーンは、見ていて気持ちがよかった。

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kenken

2.5冒頭からずっと怒ってるなぁという第一印象

2023年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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870

4.0一途でブレないゲイリーよりも迷走しまくりのアラナに魅了された…

2023年6月21日
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鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

男が描く女って、理想化されていることが多いんだよね。美人でグラマーで、よく気がつくすてきな女性って感じ。まぁ、逆も然りで、女が描く男も同じ。でも、この映画のヒロインは違った。美人でもないし、グラマーでもない。ゲイリーの気持ちを知りながら、いろいろな男たちと付き合っている。そんな等身大に描かれているアラナが、存在感があって、彼女の気持ちに寄り添いながら、映画を観ることができた。まだ25歳。自分が何をしたいか? 何ができるか?なんてわからないもの。いろいろやってみて、正解だと思う。私は彼女のあがきを応援しちゃうな。それから、映画ネタが満載なのも楽しかった。ビッグネームがカメオ出演していてびっくり。終わり方も私が予想していたものとは違って、新鮮だった。よくある年上の女性に憧れる年下の男の子映画ではなかった。さすがPTA❗️

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瑞

3.0やっぱりPTAはよくわかんない

2023年6月3日
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鑑賞方法:映画館

字幕翻訳:松浦美奈

お父さんの面影が強いクーパー・ホフマンはかわいい。
アラナが年上って設定を知らずに見たから、最初シニアの子が下級生のアルバム撮影の補助バイトしてんのかと思って見てしまって、20代後半という設定に頭を書き換えるのに苦労した。
見た目で年を測るの苦手なん。

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だいず

3.5人間のダメな部分に恋をする。

2023年5月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

やはり一筋縄ではいかない監督ポール・トーマス・アンダーソン
"なんかお洒落"で終わらせていいわけがない!

15歳と25歳の恋は単純だけどどこか複雑で、呆れるほどもどかしく、何故か輝いている
妙な不穏な空気が終始漂っているところもハラハラする感覚に拍車をかけて良いスパイスになっており良い

キャストの雰囲気も絶妙で観ているうちに愛着が湧く

どうな映画かと聞かれると答えづらいが、素直に良い映画だよ。とも答えたくない感覚もある

色々考えさせられる映画は良いものだ

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ezio

3.0残念ながら感情移入できず

2023年4月7日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

70年代に主人公たちの同じ世代であったが、どうも「ああ、これこれこの感覚」とはならず。アメリカの話だから、というだけでなく、男女の精神的な駆け引きが良く理解できなかったです。

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にこにこどり

3.5リコリス・ピザ

2023年4月5日
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面白かった…のだろうか。途中寝てしまったのは、疲れていたからではないと思う。だが、特段見れなかったと言うか、話がつまらなかったと言うわけではない。

ただ、本質的に僕の好きな映画なのかと問われると違う気がする。その原因はなんなのか、探ってみる。

人の弱いところが見えたかどうか。それは見えた。見えたと思う。主人公の少年は、体格はいいものの、心はガキでまっすぐであるが故に、他人の気持ちを考えない横暴な身振りが目立つ。それによって、女性は振り回され、主人公も本当に好きな女性に対し、素直になれない。その女性もまた弱者であった。家族からの目。相手が15歳と言うことに対して引け目をずっと持ってしまう。そんな年下を相手にしてはいけない。そんな恋愛はおかしい。好きになってはいけない。そんな先入観と、本当は彼を求めてしまうと言う自分の中の潜在的な欲求との中で揺れ動き、わざとなのか偶然なのか、自分は大人なんだと言わんばかりに政治や経済に興味を持とうとする。しかし、彼女が1番輝いているのはプールベッドを運ぶトラックを運転している時と、彼を求めて走っている時だ。しかし、にそんな人の弱いところがたくさん見えたのに、特段面白いと思えなかった」と言うところに、僕の好きな映画の秘密がある気がする。劇的なシーンがあまりなかったのは印象的だった。これもまた、ある人物の周辺を覗き見ているような感じ。リアリティ?なのか。しかし、一つ一つのシーンで心を揺さぶるシーンはいくつもあった。若い女とセックスする主人公を見る女性のシーンや、バイクから落ちた女性に真っ先に駆け寄る主人公のシーンなど。しかしなぜこんなにも感情移入できないのか。お話に流れがないから?もっとなんか本質的でシンプルなものの気がする。黒い部分がなかったのはそう。例えば、男が他の女との関係を持つことに迷っていて、背徳感の中でバレるかもと言う感情を持ちつつ関係を持ってしまい、その現場を女性に見られる…。とか?男の正体は、女の金目当てだった…。とか?青春群青劇としては良かったと思うが、誰かの欲望欲求やどうしようもないものに抗っているところを見たかったのだろうか?例えば、「2人は恋に落ちるが、周りの目や、一般的な観点というものが邪魔をして、好きになることが出来ない」みたいな。

「どうしようもないものに対して、翻弄されたり、立ち向かっていく人間」を見るのが好きなのだろうか…?でも、それだと「ソーシャルネットワーク」や「ファイトクラブ」とはテーマがまた違う気がする…。

やはりここでも「生の感情」なのだろうか。果たしてこの「リコリスピザ」、人物の生の感情が出ていただろうか。まっすぐで実直で失敗を恐れない人間と人間同士がぶつかったりしただろうか。2人とも「人間らしさ」があっただろうか。「性」という一つのテーマの中で「人間らしい」感情の起伏はあった。だからこれじゃない気がする。けど、これな気もする。言語化が難しい。
「生の感情」が出ると言うより、その「生の感情」の扱い方がどうかと言うところなのか。「生の感情」は誰もが持つ。その時に思う印象、感覚。それを隠すのか、曝け出すのか。隠すからこその「生」なのか。大人は「生の感情」を調理する術を知っている。しかし子供は「生の感情」の調理の仕方を知らない。隠している「生の感情」を人物がどうするのか?と言うものが面白いのかも。これも一つの「謎」なのかもしれない。

一つの答えが出た。
「隠している「生の感情」をどう処理するのか?」を僕は映画を通して見てみたい。

これには、まず主人公が「生の感情」を抱えていないといけない。

マークザッカーバーグなら「天才的な自分というプライド」の後ろに隠れた「認めてもらいたいという承認欲求」

ファイトクラブなら「ミーハーで周りと同調しようとする」の後ろに隠れた「何もかも破壊して生きている実感が欲しい」

百円の恋なら「男に振り向いて欲しい、私を見て欲しい」の後ろに隠れた「男性有利の社会で、復讐したい」

この構図なのか。

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tyshi

3.0平行線ではなかった

2023年3月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

交わることがないと思ってた平行線は(僅かばかり角度が違った。
いや遠回りしたけど、最初から交わっていたのかも。

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上みちる

3.5青春のあれこれ、70年代か

2023年3月14日
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全体の色感が70年代
うーん?と咀嚼しないと分からない所があったけれど、これが若さ、青春なのよね
大人のいい加減さも絶妙
ブラッドリー・クーパー、あそこで出るんだ、しかもあれだしね
結局、見てよかった作品

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chagall