アンネ・フランクと旅する日記のレビュー・感想・評価
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「アンネの日記」を新鮮なアプローチで語り直す。
あまりにも有名になった「アンネの日記」から、こびりついた「伝説」という殻を引き剥がして、ホロコーストという大きすぎる悲劇の渦中にいたひとりの女の子であることを取り戻そうとする試みだと感じた。アニメーションとしても流麗な表現に目を奪われるし、「アンネの日記」を新鮮な形で語り直すアプローチに感心した。ただ、現代に繋がる問題として、移民や難民の問題を扱っているのだが、イスラエル人であるアリ・フォルマン監督がパレスチナ問題はスルーしてしまっているように見えるのは惜しいというか残念というか。難民を救えというメッセージも、単純化されて絵空事になってしまった感はある。
わかり難いところもあったが面白い設定
博物館のショーケースに展示されていた日記の文字から現代に生み出されたキティが、現代とアンネの生きていた時代とで行きつ戻りつしていたので、わかり難かった。出版された日記や劇の台詞にキティが異議を唱えるのは、内容全部を把握している証左とは言えるのだろうが、アンネの行く末を知らなかったというのは、別れができていなかったということになるのだろう。ナチスから逃げ回ったアンネのように、キティが日記泥棒として逃げ回る設定は面白かった。ナチスによるユダヤ人迫害と現代の難民排斥とは必ずしも同一ではないけれども、同じ誤りを繰り返さないようにとの提起は興味深く感じた。
ひとことReview!
「アンネの日記」に書かれた架空の友人「キティー」目線でアニメーションで描かれた、実にファンタジックな「アンネの日記」の新解釈。設定や時系列がゴチャゴチャだが、昔も今も宗教と難民の問題が影を落としているんだな...と。
理性と感情
2022年3月、まさにロシアのウクライナ侵攻による難民が生まれているタイミングでの上映。この映画のいくつかのテーマのうちの重要な一つを、現実が大きく超える形で迫る。50人ならバス一台で足りるだろうが、(短期的かもしれないが)300万人を超える状況にはどう対処すべきなのか。難民を受け入れることも身近な問題だが、当たり前だが生まないことがより大切ではある。
たくさんの人がアンネの日記の背景の事実を知る必要はある、その意味でファンタジックで可愛らしいアニメーションは良い選択でありこの作品の存在意義は大きい。だから星は3つにしておく。
しかし一個の映画作品として乗り切れない自分はアカン奴なのだろうか。どうしてナチスをカオナシにしてしまったのか。段々と何を描きたかったのかわからなくなってしまった。
アンネ・フランクの人生を「友人」を通して語りかけてくる作品です。幻想的な表現が効果的で、ゆっくりと心に沁みてくる感じです。
実のところを言いますと
アンネの日記もアンネ・フランクの伝記も
これまで読んだ記憶がありません。 うーん
第二次世界大戦時、収容所に送られ命を落とす
一人のユダヤ人の少女が書き残した日記。
戦争の悲惨さを突きつけられる話に違いない と
その重さに耐えられる自信が無く
意識的に手にとるのを避けてきたような気がします。
で、今回
アニメ作品が上映されているのを知りました。
実写よりは表現の生々しさは薄れているかも
これを観なかったら今後見る機会が無いかも と
一大決心をして観に行きました。
(※ 鑑賞前日に「学習まんが アンネの伝記」で
アンネ・フランクのことを予習したのはここだけの話)
◇
ドキュメンタリー風なのかと思ったのですが
そうでもなく、特に後半
ファンタジーの色合いが濃くなります。
アンネの友=日記帳が擬人化したキティが現代に現れ
居ないアンネを探して回ります。
「 Where Is Anne Frank ?」 (アンネはどこ?)
そう。
キティは、アンネが記した日記。
そこに、アンネの最期は書かれているハズも無く
キティはアンネを探します。
街で出会ったペーター少年や難民の少女。
アンネの日記の「原本」を手に、彼らと共にアンネを探すキティ。
最後の場面では
難民の少女の父親が作っていた気球が空に浮かびます。
その飛行船の横腹に書かれた文字が
「 I am here 」 (私はここにいる)
この作品のタイトル(原題)の問いかけ。
それに対する答えが、これだと言うことなのでしょうか。
一見して分かりやすい対比に見えるのですが
すごく意味ありげにも思えて、
飛行船のメッセージの意味をあれこれと考えています。
・アンネ・フランクはここにいる。
・難民は現代でも無くならない。
けれど寄り添う者もここにいる。
・人は自分の意志でどこにでも行くことができる。
うーん。
正解はあるのかなぁ。
この作品、
アニメーション作品なので表現は柔らかいのですが
実はかなり奥の深い作品だなという気がしました。
「アンネの日記」も読んでみようかな。
そんな気持ちになりました。
観て良かった。
◇あれこれ
知らなかったこと その1
劇中でアンネは「アン」と呼ばれていました。
本名が「アン」なのかと混乱したのですが
調べてみたらアンネ・フランクの本名って
「アンネリース・マリー・フランク」 だとか
そうだったのか と納得。
※けど
「アン」と呼ばれる場面の字幕が
「アンネ」なのがすごく違和感でした…
知らなかったこと その2
「アンネの日記」が
収容所で書かれたものと思い込んでました。 (…汗)
そうなら没収されてますよねぇ…
考えてみれば分かりそうな事
知らなかったこと その3
収容所に送られたアンネの家族の中で、
父親が唯一生き延びたこと。
アンネの日記が後世に伝えられたのは、せめてもの救い。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
難解
メッセージ性の高い作品で、しかも、アニメだから表現が抽象的で難しいかもしれないけど、なんで、アンネではなくて、キティが主人公なのかを理解すると、今に生きて未来を作っていく我々へのメッセージだと理解が出来ると思う。
戦争は偶然で起こるものではない。
誰かが誰かを殺す目的で起こるものだ。
被害者にも加害者にもなってはならない。
アンネ・フランクの Imagenary Friend が世界を変えようと現代で奮闘する切なすぎるファンタジー映画
アンネ・フランクのことはあんまり知らないおじさんですが、この映画を支持します。
いまウクライナで起きていることが80年前の世界と何ら変わらないことに人類として情けない気持ちで一杯です。
秋田犬返せ❗
難民の問題は戦争や内紛、無能な統治者の問題と直結します。難民がめざす国に選ばれたオランダにも限界はあるでしょう。しかし、救いを求められるだけマシ。この素晴らしいファンタジーに敬意を表したいと思います。
過去の映画へのオマージュも感じられました。
たとえば、飛行船を作る場面では船の帆を縫う職人が気球を作って東ドイツから西ドイツに亡命した話とか。
ツェッペリンはドイツですが、ナチスとは関係ありません。I am here. と書かれた飛行船は輝く未来への希望とキティの覚悟の象徴です。
アンネの日記を商標などに使うことへの抗議もありました。
難民問題に話をすり替えたとは全然思いません。戦争や内紛と難民問題は切り離せないからです。
キティを支えたいと頑張るスリの少年ペーターには悲しすぎるエンディングでした。それだけに、アンネがキティに託した思い=キティがアンネを想ってやり遂げようとしたことはとても尊いことだった思います。
アニメの表現
アニメならではの表現を盛り込んでナチスの怖さ等々をわかりやすく表現していて良いと思った。
アンネの名前を街や施設に残すことに意味があるわけではなくそこから人々がアンネの想いを受け取ることが大切だと言う主張は現在の戦争なんかを思い出してとても強く刺さった。
オランダ・アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」にて展示さ...
オランダ・アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」にて展示されている「アンネの日記」の原本。
嵐の朝、展示ケースのガラスが割れたことで、館長はアンネの部屋の机の上で展示することにした。
不思議なことに、日記を宛てたアンネの空想上の友だちキティが日記の中から飛び出し、現代の世の中に現れてしまった。
キティは、21世紀だとは思わず、アンネの姿を探すが、当然にして、アンネはいない・・・
というところからはじまる物語で、実態を持ったキティが現代の世でアンネを探す物語と、日記に書かれた第二次大戦中のアンネとその家族の物語が時空を超えて絡み合っていきます。
有名な『アンネの日記』だけれど読んだことがなく、1959年につくられたジョージ・スティーヴンス監督、ミリー・パーキンス主演の映画『アンネの日記』も恥ずかしながら未見です。
なので、本作の第二次大戦中のエピソードで日記の内容を知りました。
第二次大戦中のエピソードは、戦闘シーンなどは少なく、アンネの父が経営する会社ビルの隠れ部屋で複数の家族が息を殺しながら生活する様子が描かれているわけですが、それぞれの家族のキャラクターの描きわけがしっかりしています。
アンネ一家が隠棲生活をするようになった経緯は、子どもたちが強制労働収容所に送られそうになるので身を潜めた、ということで、これは初めて知りました。
また、この大戦中エピソードの中で、なぜユダヤ人が迫害されるのか、というキティに対して、少数民族が迫害されるのは歴史の常で、ロマ(ジプシー)やアルメニア人やその他の民族と列挙していき、それが現代的なテーマへとリンクしていきます。
現代エピソードでは、博物館の来訪者たちから金品をスリ獲って生活をしている移民の少年が登場し、彼がキティを行動を共にします。
映画が進むうちに、アムステルダムに暮らす移民・難民の問題が表面に大きくせり出して来、先に述べたユダヤ人迫害問題と根っこが同じであることを示していきます。
ということで、かなりの社会的テーマを扱っているのですが、絵の魅力があり(たぶん、実際の俳優の動きを元にしたロトスコープではないかと思うのですが)、現代と大戦下を自由に行き来するファンタジックな要素も魅力に富んでおり、大人のみならず、小学校高学年ぐらいの子どもでも楽しめる映画になっていると思います。
ファンタジー要素の中では、アンネの空想の中で登場する、クラーク・ゲイブルら映画スター軍団とナチスドイツ軍との戦闘シーンが、絵的にもかなり面白かったです。
#映画アンネ
今の時期だからこそ見てほしい作品ではある
オンライン試写会で鑑賞しました。
人種差別のことだったり、戦争や自由への考え方、またアンネ・フランクの思いを学べる。
正直難民の一件は現実味なくてやや不満に思うが、とにかく学びの深い時間だった。
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