「とてもよく出来たサバイバルムービー」ティル・デス 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
とてもよく出来たサバイバルムービー
アイデア満載の作品だ。とにかく面白かった。結婚11年の鋼婚式に合わせてプレゼントされたワイヤロープみたいな鋼のネックレスがキーアイテムのひとつとなっているのだが、よくもこういうアイテムを思いついたものだと感心した。
ミーガン・フォックスが美人かどうかは意見の分かれるところだが、本作品の主人公エマは、前半までは豪華なドレスを着て、底が赤い黒のハイヒールを履いている。クリスチャン・ルブタンだかジミー・チュウだか知らないが、とにかく高そうだ。そう見えるのは庶民のやっかみかもしれない。実際は安物かもしれないが、履くと高そうに見える主人公だということだ。
ところが後半になって本作品の主眼であるサバイバルがスタートすると、もはや美人かどうかなど無関係になる。目の前で起きたことに対するショック状態を鎮め、まずは落ち着くことからはじめる。そして置かれた状況を調べる。次に何をすればいいかを冷静に考える。
何度も来ているレイクハウスだ。湖が凍った冬に来たのははじめてだが、何がどこにあるかはすべて分かっている。とはいうものの、推定80キロはありそうな夫の死体と手錠で繋がれている以上、行動は大変に厄介であり、制限もされる。
エマは観察力があり、決断も早い。そして諦めも早くて、駄目ならすぐに次の行動に移る。そのときに口をついて出る「Fuck!!」がミーガン・フォックスらしくていい感じだ。夫の残した状況は、サバイバルホラーというジャンルのゲームである「バイオハザード」さながらの極限状況であり、ゲームと同じように敵が襲ってくる。エマは生き残ることができるのか。
カメラワークと演出も「バイオハザード」のようで、ドアを開くのがかなり怖い。人物が思いもよらぬ場所からいきなり出てくる。この出現のさせ方もかなり凝っている。エマに感情移入して見るから余計に怖い。最後は完全に主人公と一体化して、氷の冷たさまで感じてしまう。とてもよく出来たサバイバルムービーだ。