「本当にスポット的な知識がないと理解難易度アップ+軍事英単語祭り。」オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
本当にスポット的な知識がないと理解難易度アップ+軍事英単語祭り。
今年49本目(合計322本目/今月(2022年2月度)21本目)。
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★「グッバイ、ドン・グリーズ!」については、ある程度の調査が終わったので(実はこの映画、天文ネタが混ざっている…)、別途起こしました。それについては当該作品のほうで。
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ということで、こちら。
史実としては存在するので、あることないこと書けない状況です。描かれるのは第二次世界大戦のナチスドイツと他国の争い・作戦(「ミンスミート作戦」という語は、実際に存在します)を描いたものですが、日本の高校世界史ではこのような1日単位のマニアックな内容まで扱うことは絶対ないので(教科書が六法全書並みな分厚さになりそう…)、一般的知識で見に行くか、あるいは事前に調べるしかないと思いますが、後者はネタバレになります(史実通りである以上、事前に調べると大半わかってしまうので、あえて映画館で見る価値が損なわれてしまう)。
すると、一般的知識(中学までの義務教育と、準義務教育と言えうる高校の世界史レベル)で見に行くと、実にマニアックな内容が登場するので、本当に理解が難しい映画です。スパイ活動なども当時は平然と行われていた関係で、作内でもそれに配慮して、いわゆる「コードネーム」(相手側に知られないように、あえて別名を付ける)ことが日常的に行われていたのですが、「二重の裏切り」なども配慮して、「コードネームのコードネーム」まであり、理解はかなり難しいです(理解というより、固有名詞の多さに圧倒される?)。
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※ 作内でも序盤に説明されますが(ネタバレ扱いしません)、「二十委員会」はそのまま表記されますが、「二十(20)」をローマ数字表記すると XX になるところ、これは「二重の裏切り」(いわゆる「ダブルクロス」)を意味する語です。
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正直、かなりの長時間映画である割に、この「わかりにくい展開」がかなり占める一方で、この作戦に反応してドイツがどう動いたか、という点が見どころであり、逆に言えば序盤の「わかりにくい展開」はかなり圧縮できるのではないか…と思えます。もちろん日本だけ別に編集することはできませんが、イギリス・アメリカ等で常識扱いされていても日本ではそうではないこともあるので(逆に、日本映画では逆の現象が起きる)、他の方も書かれていますが「最後の30分だけでいいんじゃない?」というのも理解可能です。
さらに輪をかけて混乱するのが作内のセリフで、英検準1程度まで持っていれば、聞き取りに関しては1級には及ばないとはしても4~6割程度は理解できます。ただ、この作品は「軍事もの」であるため、一般的な映画で扱わないような特殊な単語がどんどん登場して、結局「英単語がどうだの聞き取りがどうだの」というレベルではなく「最低限の英語力があって、さらに当該分野の特殊な単語・表現を知らないとはまる」現象は避けられないかと思います。要は「英語力+特定分野の深い知識の理解」の二重でせめてくるパターンです。
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※ 単語自体は極端に難しい語はでませんが(上限でも準1程度)、「意味として、軍事用語として使われる意味」のほうで使われている表現のほうが多いところ、平和主義の日本でふだん意識することではないので、ややきつい印象です。
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なお、映画内では7割英語、2割スペイン語、1割が他の言語、といった感じですが、スペイン語等「他言語」に関しては字幕が丁寧なので、そこで「さらに混乱させる」ということはないかと思います。
ということで採点です。
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(減点0.4) 結局のところ、上記の部分につきるというところで「一般的知識でみにいくか」「事前に予習するか」のどちらかですが、後者はもう「映画館に行く必要がないほど詳しくどこでも書いてある」くらいなので(実在する事件のため)、すると前者の類型しかないと思いますが、そこでマニアックな英語セリフと「スパイ活動などを恐れて単語の入れ替えが二重三重に登場する」という事情があるため、「何がなんだか最初の100分くらいわからない」というのはやはりあるんじゃないか…と思います。
パンフレットには詳しく書いてあるようですが、パンフレット購入を前提にするのであればそれもそれでどうかと思いますし、何らか工夫があって欲しかったかな…というところです。
※ だから、他の方が書かれている通り「もう少し圧縮できなかったのか」「極論、最後の30分だけでいいだろう」というのも理解はできます。
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