劇場公開日 2022年2月18日

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「登場人物多すぎ!」オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0登場人物多すぎ!

2022年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

寝られる

劇場予告が流れてなかったのでよく知りませんでしたが、名優コリン・ファースを迎え、第二次世界大戦中のナチを騙すスパイサスペンスを描く、という紹介サイトの内容に興味を惹かれて鑑賞してきました。

ストーリーは、第二次世界大戦中にイギリス軍のモンタギューが、シチリア島上陸作戦を成功させるため、標的はギリシャであるという偽の情報をドイツ軍に信じ込ませるため、入念な準備のもと、作戦を決行するというもの。

実在の作戦を元ネタとしており、ここにスポット当てたアイデアはおもしろいです。メインストーリーも、とにかくドイツを騙すという目的に向かってひたすら突き進むのでわかりやすいです。また、そのために虚構に真実味をもたせようと、死体にまつわる架空の設定を細部まで詰めていくくだりもなかなかよかったです。

しかし、登場人物がとにかく多いのには参りました。身内、同僚、上官、協力者、敵軍など、さまざまな立場の人物がわんさか登場し、頭の中で整理が追いつかず、正直理解できない場面が多々ありました。おまけに当時の勢力状況やイギリス軍部や諜報部に関する知識がないので、それがさらに理解を難しくしていたように思います。

また、あくまで諜報戦として描かれるので、激しい戦闘シーンはほとんどなく、絵的に地味な場面が続くのも少々退屈でした。その補填の意味合いかもしれませんが、ロマンス的なシーンが挿入されています。しかし、これがかえって話をわかりにくくしているようにも見えました。

当時の内情は複雑で、二重三重スパイも暗躍していたということを描きたかったのはわかりますし、それだけ興味深い元ネタだということもわかります。だからこそ、もう少しわかりやすく描いて、ラストは単純に作戦成功を喜び合えるような締めくくりでよかったのではないかとも思います。ヨーロッパ戦に詳しい人やイギリス人ならきっともっと楽しめたと思うのですが、知識の乏しい自分にはこのように感じられてしまいました。

主演のコリン・ファースは、ベテランらしい安定の存在感で、渋くきめています。しかし、それ以外はヒロインポジションの方も含めて、あまり知らない俳優さんばかりだったのも、ちょっと魅力に欠ける印象でした。

とはいえ、この突飛とも思える作戦が実際に成功したというのは興味深いです。きっと歴史の表舞台には表れない、このような諜報戦や謀略はまだまだ無数に存在しているのでしょう。その一つを世に知らしめたという意味では、本作の存在価値は十分にあったと思います。

おじゃる