「可哀想じゃなくてカワウソ」映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
可哀想じゃなくてカワウソ
総集編という噂を聞いたので、アニメ版は見らずに鑑賞。ミステリーなら何も知らない方がいいだろうと思い完全無知で見たけれど、かなり面白い作品だった。これはすごいや。
アニメ版を見ていないものからすると、これ総集編なの!?と感じた。1本の映画として綺麗にまとまっており、通常の放送ではどんな風に話を展開していたのか気になった。完全映画向きな気がしたけど、映画版として落とし込む上でかなり編集をこだわって行ったんだろうなぁと思った。既に内容を知っている人でも話の構成は楽しめるんじゃないんだろうか。
可愛らしい見た目とは裏腹にストーリーは本格ミステリー。圧倒された。アニメなのにこの重厚感とはすごいな。骨太で、見ごたえがあって、時間を感じさせず面白い。締め方はあまりしっくり来なかったけれど、話の見せ方とか進み方とかはかなり好みだった。ミステリー見ている!って感じ。あの視点には疑問が残ったままだったけど...笑
ストーリー以上によく出来ているのは、キャラクター。ここまで多い登場人物をしっかりと描けるのだろうかと冒頭で思ったが、杞憂だったようだ。一人一人、いや、一匹一匹、過去とか思いが完璧と言っていいほどに描かれていて、様々なキャラに情が湧いてしまった。個人的には矢野が結構好きだったな。色んなスピンオフ作品が作れそう。
ミステリーとしてだけでなく、たったひとつのタクシーから起こる群青劇としての面白味も、キャラクターがよく出来ているだけに十分にあった。この作品が伝えたかったこともきちんと示し出されており、見た後の満足感もとてもいい。
少々気になる点はあるけれど、総じて質の高い映画でした。あまり評価はよろしくないけど、私的にはオススメの1本です。にしても、人多かったな。ここまで人気とは知りませんでした。アニメの力って奥深い...