「トルナトーレ監督によるモリコーネ讃歌」モリコーネ 映画が恋した音楽家 ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
トルナトーレ監督によるモリコーネ讃歌
トルナトーレ監督によるドキュメンタリー。モリコーネが映画音楽に関わるまでの道のりが描かれており、彼が二代に渡るトランペッターでありかつ音楽学校で作曲をしっかり学んでいたことが描かれる。そういう意味でこの作品で興味深かったのは彼の映画音楽の作曲家としての才能や成果だけではなくどこか引き裂かれてしまった一面ともいえる、絶対音楽の作曲家という側面だった。いかに華々しい活躍をしようと、商業作曲家として依頼に完璧以上といえる質でこたえ続けていようと、恩師や学んだことを真に活かしきれてないという葛藤を長らく抱えていたようにみえた。これほど華やかな第一線で活躍している大作曲家に葛藤があったことや、それが少しずつ溶解し、共存していけるようになる様子は、驚きでもあり救いでもあった。
個人的には大好きで思い入れの強いワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカの撮影秘話などが興味深かった。長く温めていた企画で早くから曲作りに取り組んでいたこと、レオーネが撮影にモリコーネの音楽を流し、音楽とともに撮影していたことなどはかなり驚き。
観ていない映画もかなりあって、荒野の用心棒や夕陽のガンマンシリーズは、モリコーネの音楽を意識しながら観たくなる。
ミッションの作曲秘話など、粗編集でいきなりメロディが浮かんできて書き留めるとか、本当に引き出しと才能の塊なんだろうなと思った。これからも素敵な映画音楽と、絶対音楽を作り続けていってほしい。
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