「バート・バカラックさんご冥福を(日本時間2023年2月9日)」モリコーネ 映画が恋した音楽家 マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
バート・バカラックさんご冥福を(日本時間2023年2月9日)
エンニオ・モリコーネは偉大な作曲家である。
しかし、彼だけが特筆して偉大である訳では無い。ヘンリー・マンシーニ、クィンシー・ジョーンズ、ミッシェル・ルグラン、ジョン・バリー、バート・バカラック(本日お亡くなりになりました。ご冥福を祈ります)ジェリー・ゴールドスミス、そして、大御所のニーノ・ロータ。
では、彼の偉大な所は?
これは推測なのだが、録音の時に、フルオーケストラを使った、最期の作曲家だったのじゃないかと推測する。ジョン・ウィリアムズをあえて除外したが、アメリカの映画音楽はそう言った生のオーケストラを使わずに、電子的な楽器の音を使って、場面を盛り上げていたと推測する。(ジョン・ウィリアムズがそうであったかは知らない。単純に僕の好みてはない)エンニオ・モリコーネは生の音楽をやり通した最期の作曲家なのだろう。と思う。しかし、
彼の不幸な事は、選んだ映画が決して良い映画ばかりでなかったって事だ。『アンタチャブル』が『ラストエンペラー』と比べて良いとは決して言えないし『ミッション』が音楽相当の名作な訳では無い。言うまでもなく、彼はマカロニウェスタンの様な血なまぐさい映画が大嫌いと言い続けている。だから『荒野の用心棒』も彼の力作である訳では無い。
また、『荒野の用心棒』のテーマ曲は、映画の中でも語られている様に『みな殺しの歌』をリスペクトしている。だから、この曲を作曲した『ディミトリ・ティオムキン』の世代まで遡れば、アメリカンミュージカルまで行きついてしまう。
彼は『リズ・オルトラーニ』等のイタリアのローカル作曲家と見るべきだと思う。マンシーニもニーノ・ロータもイタリア系若しくはイタリア人である。
そう言った要素を考慮して、
残念だが、200年後、名が残る作曲家であるとは言えない。何故なら、既に故人なので彼の偉業は現在潰えている。でも、多彩な才能を持ったクラシックの作曲家であったと断言できる。
僕個人としては、メロディの奇麗なストリングスの楽曲が良い。しかし、映画の評価も含めて良い印象があるのは『アルジェの戦い』『死刑台のメロディ』『海の上のピアニスト』かなぁ。ドンピシャな音楽だと思う。
しかし、映画が忘れ去られているように、エンニオ・モリコーネもバッハやモーツァルトの様に200年は生き残れないと思う。やはり、20世紀後半はJAZZなのだと思うし、世界各国の音楽も一筋縄ではくくれなくなった。僕自身の持論だが近代音楽の始まりはジョージ・ガーシュウィンだと思っている。いゃ、その前に、ドボルザークとJAZZの融合から20世紀は始まったと勝手に思っている。
エンニオ・モリコーネをマカロニウエスタンと『ニュー・シネマ・パラダイス』だけの作曲家と固定概念が癒着したまま、人々の記憶から消えて行くのかと思うと大変に残念だ。せめてアカデミー賞は『海の上のピアニスト』であれば、良かったと感じた。何で『ヘイトフル・エイト』なんだ、とつくづく悔やむ。但し、『ヘイトフル・エイト』が、からっきし駄目な映画だと言っている訳では無い。
また、余談だが、20世紀の代表的作曲家がガーシュウィンと言っている訳では無い。ラフマニノフやプロコフィエフやストラビンスキー、そしてガーシュウィンに直接影響を与えたラベル等など沢山いる。従って、ここでは映画音楽のクラシック作曲家と言う事。
追記
『荒野の用心棒』と『夕陽のガンマン』のテーマ曲が、僕は区別が付かない。だから、リー・バン・クリーフとジャン・マリア・ヴォロンテの決闘前の時計オルゴールとストリングスが大好きだ。『ウェスタン』のハーモニカも好きだ。本当はエンリオ・モリコーネは僕の青春みたいなもの。