生きる LIVINGのレビュー・感想・評価
全190件中、101~120件目を表示
質感が懐かしい
自分にはとてもよかったです。
現役を退いて、しみじみほのぼの観るには
ピタリとハマりました。
ビル•ナイさん、とてもいいです。
とても無理だけど、できることならああなりたいです。
顔立ちが綺麗だし、背も高いので絵になります。
時系列に進まない展開もよかったです。
オリジナル版は観ていません。
画面の質感やロゴが1960年代くらいの映画を観ているようで
とても懐かしい、柔らかい感じでよかったです。
全体的に落ち着いたトーンで
その中の光がとても暖かく感じます。
眺めているだけで心地よいです。
主人公の市民課に配属された新人のピーター役の俳優さんが
若い頃のジェームズスチュワートさんに似ているんです。
主人公が劇中で観る映画がケイリーグラントさんの映画だという設定
とかもいいですね。
エンパイアオブライトもそうですが、
昔を懐かしむ作品が最近続いてとても嬉しいです。
可能ならば、若い世代の方にも観ていただきたいですが
還暦過ぎた世代の方には特にお勧めしたい作品です。
自分の母が
オリジナル版の生きるを観ているので
ネタバレなしで、
聞いてから行ったのですが
あ〜、そういうことね。
というエンディングでした。
お気に入りの1作になりました。
チコちゃんに叱られちゃった英国紳士
かなり原作に忠実であるにも関わらず、イギリスが舞台になるとこうも違う雰囲気になるのかと驚いた。
ビル・ナイはカッコイイなー。チコちゃんに叱られちゃった英国紳士だなあと思いながら観ていた。
ボーッと生きてんじゃねーよ、だ。
でも、このチコちゃんは有吉波にあだ名の付け方がうまいな笑
あだ名の当人が出てくる度に愉快だった。
本気で生きてから葬儀後に語られる故人の思い出、そしてブランコに揺られるまで、とても素敵なストーリーだった。
されど黒澤版のかっこよくないおっさんが、葬儀後に語られるギャップが無い分、淡々と終わった気もする。悲哀による滑稽さ、シニカルな感じはないので、改めて黒澤版と見比べて見たくなったかな。
静かで熱く無駄のない脚本。陰影の効いた渋い映像。
恥ずかしながらオリジナルをしっかりと鑑賞してはないんですが、この映画はリメイクを超えて、良かった。イギリス映画らしい、陰影のある映像で、全体的にはトーンは控えめ。中年の男性ばかりでもとても美しく、雨や下町の風景も美しい。テーマは有名なので、なんとなく展開はわかるのだけど最後までワクワクしながら鑑賞しました。もう一度観たいです。
原作の展開におおむね忠実に、しかし丁寧に刷新がなされた一作
イギリス上流階級のドラマからファンタジーまで、ジャンル横断的に優れた作品を発表し続けるカズオ・イシグロが脚本を担当したことが注目ポイントの一つとなっている本作。中盤の大胆な場面転換を含め、原作である黒澤明監督作品『生きる』(1952)の物語構造に基本的には忠実な造りとなっています。それこそ場面によっては、アングルまでそっくり。
一方、役所の形式主義に不満を募らせている若い男女(エイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ)の存在感が増しているところが、本作の大きな変更点となっています。彼らのおかげで、観客が物語に違和感なく溶け込むことができ、また主人公ウィリアムズ(ビル・ナイ)の心の動きを捉えやすくなっています。
また上映時間は原作よりかなり短くなっていますが、これは原作が粘っこく描写した社会風刺の場面を縮めたことが大きいようです。このように本作は、原作の要点を的確に抽出しつつ、見事にロンドンに生きる人々の物語として移し変えることができています(作中のある設定のため、時間軸はほぼ原作と同じ)。むしろ原作の、執拗な社会批判描写や主人公の時に過剰とも思えるような感情表現といった、黒澤明作品の特徴でもある、アクの強さはやや薄らいでいます。特に映像面では、人やモノが凝集する密度の高い画面ではなく、余白の余韻や陰影を活かした描写となっていて、同じ日本映画としては、黒澤明よりもむしろ小津安二郎あたりを連想させるところも興味深いです。
本作に感銘を受けた方には、機会があればぜひ原作の『生きる』の鑑賞をおすすめします。名作人間ドラマ、という印象を良い意味で裏切るような大胆な物語展開などに、古さよりもむしろ新鮮さを感じると思います(ナレーションが最高)。
人生の目的は?
私たちは、何を目的に生きているのだろう?毎日の忙しさ・ルーティンワークの中に忙殺され、考えることを放棄してしまってはいないだろうか?
奇しくも主人公は、癌にかかり余命宣告をされることで、自分の人生の目的と向き合うことになる。かのスティーブ・ジョブズも癌の宣告を受け、あのスタンフォード大学での有名なスピーチをしたことでも知られる。”Stay hungry, stay foolish”
ゴールが見えることで、今の命の輝きを増すことが出来た主人公。ともすれば、人生は交通事故、突然の病気などで急に終わりを迎える人も少なくない。そういった意味では、幸せな人生だったのではないか。
そんな事を考えていたら、ふと加藤周一先生の次の文章が、思い出されてきた。今でも、私の中でたえず繰り返し、反芻している言葉である。この文章の全文は短いので是非たくさんの人に読んでほしい文章である。
「文学がなぜ必要かといえば、人生または社会の目的を定義するためです。文学は目的を決めるのに役立つというよりも、文学によって目的を決めるのです。そしてその目的を達成するための手段は技術が提供する。
『文学の仕事』-加藤周一『私にとっての二〇世紀』より」
どのように生きるか
映画館にて鑑賞しました。リメイク元の黒澤明監督の「生きる」は未見です。
黒澤監督の「生きる」を見ていないため比較はできないですが、本作はとても見やすかったです。
主人公であるウィリアムズが自身のガンを初めて打ち明ける相手が、見知らぬ街の見知らぬ男というのはなんとなくリアルだな、と思いました。深刻な話だからこそ、身近な人に話しづらい、というのはなんだかよく分かります。打ち明けられたサザーランドはそんなウィリアムズと夜の街に繰り出すわけですが、吐血から戻ってくるウィリアムズを見た瞬間のサザーランドの表情もとても良かったです。この演技を含め、俳優さん達の演技がどれも素晴らしかったです。
余命をどう生きるかを悩むウィリアムズはマーガレットを映画に誘ったりしてマーガレットに寄りかかってしまう部分は、ウィリアムズが少し可愛くも見えました。寄りかかられる側はたまったもんじゃないですが苦笑。
なかなか息子夫婦に余命宣告について言い出せないウィリアズムと、奥さんの不満を父に言い出せないマイケルのシーンは2人は親子だなぁ、と感じさせられました。
時折リメイク元の映画を意識しているんだろうな、と思うカメラワークがあったりしました。(もし違っていたら恥ずかしいですが笑)
状況や心情の描写が丁寧に描かれているのに冗長になっていないですし、舞台設定が1950年代のイギリスなのにも関わらず違和感もほとんどなく、とても見やすかったです。普遍的な要素で作られているんだろうな、と感じました。
「ただ生きる」のではなく、「どのように生きるか」という意味を考えさせられる作品でした。黒澤監督の「生きる」も見たいと思います。
ソンビのような生き方から抜け出した男の物語
毎日決められた仕事をこなすことだけの日々を長年過ごすと、自分が気がつかないうちに動いているだけの「ゾンビ」のような生き方になってしまう。主人公はガンの宣告と、「ゾンビ」とあだ名を付けられていたことをたまたま知ったことで、そのことに気づき、本来の自分を取り戻すべく余生を全力で生きる。その姿に感化された人たちは自分もと思うが、同じ日々をくりかえしていくうちにいつしか志を忘れて「ゾンビ」のような生活が繰り返されていく。
自分の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれる名作。
数十年前にこんな名作があったとは。黒澤監督の原作も見てみたい。
ストーリーはおなじみなので技術的な側面から
2022年に作られていながら、1950年代前半のロンドンのお話という設定のためか、いかにも1950年代に作られた古い映画のような色合いで作られているところが凄い。オープニングはおそらく当時のニュースフィルムを使っているのかもしれぬが、まったく切れ目なく自然に本編に入っていくのが斬新。ちょうど、NHKの「タローマン」が1970年代に放送されたという設定で映像化されているのと同じ手法だ。
主人公の課長は、70代後半に見えたが、1950年代のロンドンの定年っていったいいくつだったんだろうか。あんなに老けてはいないとは思うが。
素晴らしい作品。本家も観たくなりました
1953年イギリス、ロンドン。役所勤務。
あんな感じなのかー、と。
脚本として誇張してるとこもありそうだけど、通勤風景とか興味深かった。
案件を部署でたらい回しにしてしまうところ。人生、いつ何が起きるかわからないこと。家族とのギクシャクした関係とか。現代でもどこにでも誰にでも起きうることですね。
主人公が自分の作った公園で満足そうにブランコに揺られているところ、最期まで息子に何も言わずにいたことなど、、とても胸が熱くなりました。
あらためて黒澤明監督の作品がとても観たくなりました。
小役人から英国紳士へ
泣ける映画を1本を選べと言われたら黒澤明のこれを選ぶ。「いーのちみじぃかしぃ」とブランコに揺られながら口ずさむ志村喬の哀愁漂う姿を思い浮かべるだけで落涙できる自信がある。とは言え、レンタルのVHSで最後に観たのが30年ぐらい前だから展開やディテールはそれなりにうろ覚えだったのだが、今回の英国版リメイクを観て記憶が蘇りつつ、案外原作に沿った話運びをしているのだと思った。
舞台を1950年代の英国に置き替え、カズオ・イシグロが得意とするノスタルジックな雰囲気が映像や音効でしっかり表現されており、安心して観られた。まあ、日本人なんで当時のホントのロンドンはわからんのだけど…。
背中を丸めた志村喬の小役人・小市民風情は、ビル・ナイだとシュッとしすぎだろと想像していたが、実際元々しょぼい人物とは設定されていない印象。志村が夜遊び・女遊びとは無縁で退屈で無難なだけの人生を送ってきたのとは違い、ビル・ナイの場合は死期が迫っていなければ、こう見えて私も若い頃はねえとか、リスのような前歯でおちゃめ感あるよいキャラだった部下女子をマジに口説き出しそう。スコットランド民謡のナナカマドの木もゴンドラの唄に比べて曲調にハリがあり、ビル・ナイの背筋がより伸びそうである。
急にやる気出て公園作りに邁進しちゃう転換点が曖昧に思えたし、部下男子への手紙とかも立派すぎる気もしたのだが、それでも真っ当すぎる助言に今作でもつい落涙してしまった。
生き始めた人生に
モノクロの日々を淡々と生きる男が余命宣告をうけ、残りの人生のしっかり生きようとする物語。
無愛想で周囲からも煙たい目で見られ、この上ないお役所仕事な主人公ウィリアムズ。余命僅かと知り、仕事をサボって飲み呆けてみても心は埋まらず。。
そんな中、新しい職場で頑張る元部下と再会し、何かを感じた彼が選んだ生き方とは…
ウィリアムズの選択に心を打たれると共に、自分自身の生き方についても見直しさせられるドラマ作品。
自分自身が同じ立場だったら…
最後の努力をするどころか、開き直って遊び呆けたり、引きこもったり…多分それすら出来ずに淡々と出勤しちゃって終わりかな(苦笑)
それに加え、ただただキレイに描くだけではなく、言うなれば白々しさすら感じさせる程のリアルを描いている点がグッド。
誓いを立てよう!…って言ったってね、同僚の皆の姿…あれが現実ですよね。
そしてウィリアムズの言う通り、これは後世に永劫刻まれるモノでもないというのもまた現実でしょう。
それでもモノじゃなく、たった一人でもピーターのような人が出てくれたのなら…それこそが彼の残したものなんじゃないかな〜と思ったり。
またそれだけでなく、粉雪の舞うなか幸せそうにブランコに揺られる画や雰囲気の美しさも特筆モノ。
そんなこんなでも、明朝目が覚めればきっと嫌々出勤するであろうワタクシ…
まだ時間がある今だからこそ、チャンスを逃さず生きないといけませんね!
シンプルにも心を打たれる名作だった。
LIVING DEAD
原作は未チェックです。
こむずかしい話かな?と思ってたら観やすかった。
原作が日本ってのに納得で、実に日本的な話だな…と思いながら観てました。
いい話なんだけど、ありがち?かな…
これの原作が引用されてるのかもしれませんが…
ザ・モッズが、
俺は逃げない 絶対逃げない
死んだように生きるなんて
って歌ってたの思い出した。
50年代のロンドンが舞台ですが、街並み、2階建てバス、ファッション、などなど、とてもオシャレでした。
歓楽街が出てくるけど、ソーホー?
『ラストナイト・イン・ソーホー』が好きなので、勝手に決めつけてテンション上がった(笑)
最後の方、少し退屈かな?ウトウトしちゃいました…
もう1回観たいです。
美しい映画
生きる喜び、生きる醍醐味って意外と小さいことで得られるのかもしれない。そんな思いになった映画でした。
喜びは人によって違う。
刹那的な快楽で幸せを感じる人もいれば、
人のために役立ったというたったひとつの思い出だけで、それまでの人生が悔いだらけであっても満足できるのかもしれない。
夜の遊び方を教えてくれた見知らぬ彼も、生きることの意味を考えただろうし、
生き生きとした姿で魅了した彼女もまた、一人ひとりが生きる人生のあり方を学んだのでしょう。
また最後の同僚たちの姿も、またすごくリアル。
皆、一時自省をしながらも人生はそうやって続いていく。
見た私も、自分や自分の家族、大切な人が最後大切な思い出を胸にできればいいなと涙を流して思いつつ、きっとすぐに日常に戻っていくのだな、と思う。
刹那、素敵な、美しい映画でした。
満足して逝く事こそ望ましい死に様
アカデミー賞候補と言う前振りと、レビューの評価が高いので劇場へ観に行った。
ビルナイ扮する市役所市民課課長ウイリアムズは、典型的な公務員よろしく真面目だけが取り柄で過ごして来たが、ある日末期癌と宣告された。
そりゃあ茫然自失となって当たり前だろうなと思った。しかしウイリアムズは自分を振り返り、突然目覚めた様に縦割り行政の極みを調整していく。後半まで観て、何となく志村喬版生きるを思い出した。誰しも死に様は分からないが、満足して逝く事こそ望ましい姿だろうね。
足りないものを補って逝く
胸熱と言うよりは胸痛ですがとても感動的なストーリー、オリジナルを観たくなった 家族には言えんけど赤の他人には言えるっていうのも気持ち分かる ナナカマドの木を唄いながらブランコに乗るシーンにはもう涙が... 亡くなる前は正反対の性格になったり意外と人の死って謎が多いもんだなと思ったことがあるので、徐々に明らかになっていく構成も順序がちょっと変わってるけど刺さりまくり 1950年代の雰囲気や映像、ピアノのBGM、ファッションやエンドロールで流れる昔の映画みたいな字体も全て良かったです
原作も見たくなります。
黒澤監督の「生きる」は見ていませんが
原作を是非見たいと思う映画でした。
お役所のタライ廻しやクレーム婦人会
など、やや日本的な脚本にも笑える
イギリスでも、役所はこうなのだろうか
主人公も紳士的、渋くてカッコイイ
ストーリーの展開も良くお勧めできる
良作な映画でした。後半の展開は特に
色々と想像させられて良かったです。
ただ、個人的には年齢も近いので
他人事とは思えない。
ここまで直截なタイトルも珍しいです。しかし優れた物語は青臭い命題もしみじみと考えさせてくれるものです。映画館の暗闇で浸るのにふさわしい良作といえるでしょう。
本作は数ある黒澤明監督の傑作の中でも、指折りの一本である「生きる」の英国版リメーク。黒澤と橋本忍、小国英雄の脚本をノーベル賞作家のカズオ・イシグロが脚色、日本ではなじみがないが国際映画祭では常連のオリバー・ハーマナスが監督しました。
そびえる高峰に挑んだわけですが。頂にたどり着いたかはともかく、その精神は間違いなく受け継がれていると思います。生きることなく、人生を終えたくない。死を前にした男の痛切な気持ちは洋の東西も、時代も超えます。名作をなぞっただけではない、意味あるリメイクといえます。カズオと73歳の主演俳優、ビル・ナイは米アカデミー賞の候補にもなりました。
筋立てやエピソード、構成は黒澤版をほぼ踏襲。ただこちらの基調はリアリズムで、紳士然として感情を表に出さず人を寄せ付けないウィリアムズの苦悩を、ビル・ナイが抑えた演技でにじませいました。
舞台は第2次大戦終結から久しい1953年のロンドン。市役所の市民課に新人ピーター(アレックス・シャープ)が着任してきます。課長のウィリアムズ(ビル・ナイ)はじめ同僚たちは、問題先送りが仕事のようです。
ある日、子どもの遊び場建設を求め、広場の排水改善を陳情に来た女性たちの案内を命じられたピーターは、役所の中をたらい回しにされて市民課に戻り、書類は保留の棚に放置されてしまうのです。それが役所の日常でした。
お役所仕事にどっぷりつかっていたウィリアムズが、体調の異変から診察を受けたとき、医者からがんで余命が短いと告げられます。彼は絶望し、人生を見つめ直そうと職場を欠勤し、夜遊びにふけますが満たされません。自分の人生の空虚さに打ちのめされるのです。けれども、かつての部下マーガレット(エイミー・ルー・フド)と再会し、人生を謳歌する自由な生き方に刺激されて、職場復帰。廃虚を子供用公園にするために行動を開始するのです。
物語の内容も構成も、オリジナルと細かな描写も重なる部分は多く、キザな帽子やウサギのおもちゃなども出てきます。もちろんブランコも。あえて変えなかったところに、イシグロやオリバー・ハーマナス監督の黒澤作品への敬意を感じました。
ストーリーはオリジナルに忠実ですが、舞台設定や主演俳優のアプローチの違いによって、かなり印象の異なるリメークになりました。狂気すら感じさせた志村喬のギラついた芝居と比べると、いかにも英国紳士然としたビル・ナイのたたずまいはずいぶんお上品に映るのです。
オリジナルで志村喬が演じた主人公は猫背でしょぼくれているのに対し、リメイク版の主人公は背筋を伸ばして威厳があり、周囲から一目置かれています。しかし、余命が短いと宣告された後のうろたえぶりは同じです。最も近しいはずの息子にも打ち明けられない。一人立つナイの姿から、圧倒的な孤独がにじみ出ます。
ナイの演技は、志村喬よりも抑制的に見えます。これについてプロデューサーの一人であるスティーブン・ウーリーは、「面白いことに、日本の笠智衆さんからインスピレーションを得ています。イシグロが笠さんのようなストイックな演技を求めたんです。その方が英国人気質にも近いのではないかと感じました」ということで、笠智衆からのインスパイアだったことを明かしています。
だったら小津安二郎監督の「東京物語」のリメイクはどうだろうと水を向けると、「『東京物語』は女性の人権についての物語です。小津や成瀬巳喜男は、結婚によって女性の人権が失われることを、女性の視点から描いている。素晴らしいと思います。これは、英国に置き換えることは出来ません」とのことでした。残念!
さてウィリアムズが「生まれ変わる」後半の重要シーン。オリジナルでも黒澤監督の才気がほとばしる、出色の場面でした。今作でも見どころです。
しかし作品全体から受ける印象は異なります。脚本を手がけたカズオ・イシグロの筆致は穏やかで、夢中で遊ぶ子どもの姿に仮託し、生きるとは何かと問いかけ、人生がすり切れていく悔恨をにじませる。ノーベル賞作家の面目躍如のところ。
また抑制の利いたビル・ナイの演技と言葉の力は、抑制されたナイの人生の悲哀を味わわせ、見る者の胸に静かに染み込んでくるかのようなのです。
エイミー・ルー・ウッド演じる、はつらつとした元部下の女性とのエピソードもどこか軽やか。50年代のロンドンの街並みや衣装も素晴らしく、日本映画のリメークでありながら、イギリス映画としての見応えもある作品に仕上がっていると思います。
気になるところは、セリフがない間をたっぷりと取り、叙情的な音楽を使って情感を盛りあげてゆく演出は時にけれんが目につきます。黒澤版を意識して力が入ったのでしょうか。ただウィリアムズと息子夫婦の関係や役人気質は現代でもさもありなんと感じられました。そして映画が訴える、人生を充実させるのは自分次第なのだというメッセージは、陳腐には見えずいささかも古びません。
「人生の意味」は芸術表現の普遍的な主題といえるでしょう、ただ、ここまで直截なタイトルも珍しいです。しかし優れた物語は青臭い命題もしみじみと考えさせてくれるものです。映画館の暗闇で浸るのにふさわしい良作といえるでしょう。
オリジナルは1952年に公開されまし。日本は復興の途上にあり、人々は貧しかったのです。同時代を生きた40歳代の黒澤監督は、役所という冷たい組織、ひいては社会そのものに対し、厳しい視線を送ったのでした。
終戦間もないという時代設定は同じでも、今作は復興を終えた現代からの視点が加わる。最終盤、語る順番を少し変えたことで、作品の印象は少し違ったものになりました。人は変わることができのるだ、そんな普遍的で前向きなメッセージを受け止めました。
「THE END」
黒澤映画を
カズオイシグロがリバイバル。
このキャッチだけでも基本評判OKなんだろうが、
残念ながら僕は実際に観て感じることが全てな質故
ご鑑賞
結論から書くと、晩節を汚しに汚しまくって去っていく
中高年が多い現代に再び紳士とはを見せてくれる映画でした。
生憎まだ、黒澤映画の生きる🎞️を観てないので比較できないが、観ながら浮かべた。宮仕武士の葛藤姿とは違い
黒澤映画も同じく役人ベースだと知り驚いた!
全190件中、101~120件目を表示